下見の結果、広州・深セン・東莞・珠海への移住をなしとした理由

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これまで、深センや広州、珠海に住む日本人に会ったり、
現地を何度も訪れて移住を念頭に下見をしてきたりした。



これまではマレーシアやフィリピンに住んできたし、
現在は台湾で暮らしている。

次に住む場所として、
北京や上海の可能性も検討したし、
広州・深セン・東莞・珠海についても同様。

これらの4つの街は
香港やマカオに近い位置にある。

深センは香港と国境を隔てて対峙しているし、
珠海はマカオに隣接している。

深センから東莞までは高速鉄道で30分、
広州までは約1時間。

このエリアには、
条件面で北京にも上海にもない特色がある。


というのも、ビザの面で実質的に優遇されているようなものだから。

珠海に住んでいた友人一家は、
ビザなしで滞在できる15日の期限内に
マカオや香港に日帰りで行って戻ってきていた。

これで新しい15日がスタートするため、
わざわざビザを取る必要がない。

もちろん、就労して中国で仕事をするならビザはいる。

しかし、彼らはプログラマーで
中国国内で雇用されているわけではなかったため、
特にビザの必要はなかった。

ビザを取るための手間や費用をかけることなく、
面倒な手続きをすることなく移住できる。

これが深センや珠海にロングステイする場合のメリットであり、
広州や東莞についても少々手間はかかるが、
この手は使える。

鉄道で片道1時間の距離ということは、
ちょっとした通勤時間程度。

それを2週間に1度行えばいいことになる。

ただし、現地で仕事ができないので、
すでに十分な資産のあるリタイアメント層であるとか、
マネジメントを後継者に任せられる経営者、
仕事の場所を選ばない人等がこの方法の対象。

私もこの条件に当てはまるため、
広州や深センに移住する条件は整っていた。

面倒なビザの手続が必要ないのは魅力的。

そして、広州や深センなら東南アジアの首都と比べても
見劣りしないレベルで発展している。

むしろ地下鉄網が整備されていることを考えれば、
いまだに市内交通としての電車や地下鉄がない、
もしくは使いづらいハノイやジャカルタ、マニラより
進んでいるとすら言える。


しかし、広州にしろ深センにしろ、移住はしなかった。

それどころか、今後住む街の候補からも外した。

そこにはいくつか理由がある。


まず、治安面を考えた場合。

広州や深センは特別危険な街ではないが、
それでもスリやひったくりは多い。

一方、東莞は今回テーマとしている4つの街で
もっとも危険なエリアとなる。

街の発展度もまだまだ。

あえて東莞に住むメリットはないだろう。

家賃の高騰している広州に比べて価格面でのメリットはあるが、
住みたいと思える街ではなかった。


珠海では実際に事件に巻き込まれ、
マカオとのイミグレ付近のタクシー乗り場で
中国人と思われる中年男から中身入りの缶を顔に投げつけられた。

おかげで鼻と額からの流血は止まらないし、
警察に無理やり連れて行かれて事情聴取を受けるも
捜査する気はまったく見えない。

指紋がついた缶もあったので渡しても受け取らない。

彼らの捜査に期待する気もなかったので帰ろうとしても、
それは頑なに拒むし、
その間も血は止まらず、病院に行くのが遅れるばかり。

どうやら日本人に向けての警察の嫌がらせだったらしい。

中国在住の知人に聞いても、
日本人が不当逮捕されるリスクもあるので、
犯罪の被害者になっても不用意に警察に行くのは避けた方がいいとのこと。

そういう国だという認識も、
移住を差し控えることにした背景にある。


物価面で見ても、
広州や深センは日本の地方都市よりもよほど高い。

アジアの他の国で言えば、
バンコクやクアラルンプールよりも高騰しているし、
現在住んでいる台湾の台中よりも高い。

台北よりも家賃を含めて割高感があるほど。

こうなってくると、
生活費が下がるから中国に住むという構図は崩壊する。

仕事を求めて移住する人は今でもいるし、
駐在員として望むかどうかに関わらず派遣される人もいる。

上海に住む駐在員で、
中国滞在を懲役に例えていた人とも香港で会ったが、
合わない人には本当に合わない国。


そして、私も中国人の国民性やマナーの悪さには
ストレスを感じずにいられない。

仮に物価が今の半分で、
治安も大きく改善されたとしても住むことはないだろう。

なぜなら、住む理由がないから。

たしかに広州や深センは発展しているが、
大都市なら世界中にいくらでも替わりがある。

一方でマナーの悪さ等は短期間で良くなるものではない。

また、食品の安全性等の問題を考えた時、
中国に住むことが健康にプラスに作用するとは思えない。

わざわざ身体を痛めつけてまで暮らしたいと思う理由は
何一つ見つからなかった。


広州や深セン(あるいは東莞や珠海)に移住ぐらいするなら、
もう日本に帰国するだろう。

実際は他にも暮らしたい国の候補がいくつもあるので
日本での生活を再開するのはずっと先になる予定だが、
仮に選択肢が中国にしかないとしたら
海外生活に終止符を打つだけ。

ビザの条件面で有利だとしても、
それを打ち消すだけの住環境の問題があるし、
そもそもビザなしで住めるというだけで、
住みたいと思う理由がない。


なお、隣り合っている街であっても、
深センと香港では街の雰囲気も人のマナーも違う。

珠海に住んでいた知人が香港に行くと、
マナーの差に驚かされると語っていたが納得できる。

雑踏の中で人がぶつかってきた時、
香港では謝罪の言葉を聞くことがある。

珠海ではまずないことなので、
予想外過ぎて咄嗟の反応に困ってしまったらしい。

なお、彼らは中国の治安の悪化を理由に
珠海からセブに一家で再び引っ越していった。


街を歩いているだけでも、
香港と深センで雰囲気が違うのはよく分かること。

これは現地を何度も訪れて痛感した。

国境を越えただけではあるが、
実際に大きな差がある。

香港は現在でも投資関連の用事で何度も訪れているが、
特にストレスを感じることはない。

そして、台湾はそれ以上に柔和な人が多いし、
中国と違って親日の国。

中国語を使っている点は共通していても、
暮らしていく環境としてはまったく違っている。


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