海外移住先にアジアを選ぶメリットとデメリット



この4年半ほどフィリピンやマレーシアを中心に、アジアに住んできた。

海外移住をして、3年間定住をした後で、1年半の非定住生活、つまり各国を回ってのホテル暮らしをして、最近は再びフィリピンに戻り、今度はマニラではなくセブに住み始めた。

日本を出てから数ヶ月単位で、ヨーロッパや北米、オセアニア等に行くことはあっても、腰を据えて住んだことがあるのは、フィリピンとマレーシアだけ。

それ以外の国を見ても、特に通算滞在日数が多いのはタイで、これまでに滞在した日数を合計すると、1年近くになるのではないかと思う。

タイについては、ビザを持っていないので、無期限で勝手に住み付くわけにはいかないが、フィリピンやマレーシアには、それぞれ永住権とリタイアメントビザを取ったので、いつでも住みたい時に住むことができる。

非定住生活をしている時でも、このような条件が整っていたので、アジアにいるかいないかは別として、日本の他に、フィリピンとマレーシアというビザの上でも、移住する条件が整った国を確保できていることになる。

今後も東南アジアが私の拠点として、重要な意味を持っているが、その理由についてここではお話ししたいと思う。


ビザの取りやすさ

バンコクのエムクオーティエ
日本人は元々海外移住について、強い思考を持っているわけではなくて、メインターゲットというのは、留学生とか駐在員、あるいは現地就労等の会社員であって、リタイアメント層も話題にもなっているが、そこまで数が多いわけではない。

そうなってきた場合に、多くの日本人が集中して移住している国というのは、それだけ情報が整備されていたり、ビザ業者も日本人向けに営業していたりするので、現実面で見た時に、海外移住をしやすいということになる。

特にアジアの中であれば、タイやフィリピン、マレーシアといった国が人気だし、それ以外にも富裕層であれば、シンガポールや香港がある。

これ以外にもベトナムやカンボジア、インドネシアといった国もそれなりに人気があるし、台湾も日本からの距離が近く、親日的だと知られている。

そして、シンガポールのような既に先進国レベルの金融立国は別として、多くの東南アジアの国であれば、まだまだビザが取りやすいので、リタイアメント層にしても、あるいは現地で働くにしても、リタイアメントビザやビジネスビザを取りやすい。

ビザが取れなければ、住み付くということは事実上できないので、この点は本気で海外移住を考えるようになった段階で、最も重要な鍵となる。

移住先の希望として、カナダやオーストラリア等を上げる人も多いが、そのビザの条件を調べて断念する人が大部分。

現地で就労しても、物価が高いので、賃金がそこまで安くなくても、結局カツカツの生活になることも珍しくなく、かと言って、投資ビザ等を取るには、少なくとも億単位の資産がなければ話しにならない。

日本人だからといって、オーストラリアやカナダ、あるいはその他の先進国に簡単に移住できるわけではなく、現実的な選択肢として、アジアに回帰するというのは、本気で条件を調べ始めた人の多くが辿る道。


文化圏や親日度の問題

台湾・高雄
中国や韓国の一部の国民はともかくとして、それ以外のアジア圏であれば、基本的にはほとんどの国が親日なので、そういった意味で言うと、日本人としては肩身の狭い思いをせずに、暮らしていくことができる。

実際問題として、欧米の白人の文化の中では、日本人、もしくは黄色人種というのは、マイノリティであり、そういった意味低く見られているというのは、現実として肌身で感じる。

特に最近は、中国人のマナーの悪さというのが、世界的に取り沙汰されており、見た目が似ている日本人は、そういった意味で嫌な思いをすることもある。

例えば、カナダの有名なナイアガラの滝のすぐ近くで、チャイナを意味すると思われるチイナと若者の集団に叫ばれたことがある。

こういった体験というのは、カナダに限ったことではなくて、ヨーロッパ等でも経験したし、それだけ文化的な摩擦が発生していることがわかる。

その点アジアの中であれば、日本人であることが、マイナスに働くということはあまりないので、精神的に随分と開放感がある。


英語圏ではないことのメリット

ホイアンのレストラン
私は、フィリピンの公用語であるタガログ語も、マレーシアの公用語であるマレー語も全く使えないし、使おうと思ったこともない。

フィリピンはアジアの中では英語がよく通じる国として知られるが、マレーシアはそんなこともない。

しかしながら外国人向けのビジネスをしている人、例えば不動産業者であったりとか、ホテルのレセプション等であれば、英語は当然のこととして通じるし、カタコトの英語が使えれば、海外移住をしても生活をするのに困ることはなかった。

そして、非英語圏であるために、お互いがネイティブスピーカーではないということを認識しているし、気後れをせずに話すことができる。

一方がネイティブで、もう一方がそうではないということになると、会話が通じない場合に一方のみが責任を負う形になる。

これはかなりのプレッシャーだし、当然ながら日本人は、基本的に非ネイティブスピーカーなわけなので、かなりの重圧にさらされることになる。

しかしアジア圏なら、お互いさまというところがあるので、分かりやすく言い換えたりとか、何度か聞き直したりしても、それほど恥ずかしくもなければ、プレシャーに感じることもない。

そういった意味で言うと、意外にもイギリスやアメリカのような、完全な英語の国よりも、言語の上で気分が楽な部分もあったりする。


物価はアジアだから安いとは言えない

ベトナム、ダナンのシーフード
ここまではアジアを海外移住先として、選ぶ場合のメリットとを中心に語ってきたが、物価については、かなり事情が変わってきている。

東南アジアの新興国と言えば、物価が安いということで知られているし、中国についても同様。

しかしながら、これらの国の物価が上がっていることと、円安になって為替の問題で相対的に日本円が下がっている為、海外で生活をしていて、アジアであれば物価が安いという感じはしなくなった。

更に、日本との比較だけではなく、例えばヨーロッパの中でも、物価の安いチェコやポーランド、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニアといった国と比べた場合に、同じ質の物がフィリピンやタイの方が安いのかと言われると、必ずしもそうではない。

これは食料品について、特に顕著に言えることで、農作物については、むしろヨーロッパの方が安かったりするし、ホテル代やコンドミニアムを借りた場合の家賃についても、同様のことが言える。

多くのアジアの国の場合、外国人が住むような住宅というのは、ローカル向けに供給されている住宅とは、明らかに一線を隠したものになり、それなりの家賃がする。

そういったことを考えると、東欧であったりとか、比較的物価の安いポルトガルやギリシャ等に移住したとしても、同じぐらいの生活コストで住むということがあり、この点については、イメージと少々異なるところなので、気を付けておく必要がある。


治安のよい街は?


アジアへの移住を考える時、気がかりな点の1つが安全面だろう。

ビクビクしながら歩かなくてはいけない街に住みたい人はレアだし、やはり安全は重要な要素。

そうした意味で言えば、たとえばバンコクやシンガポールはとても安全に暮らせる場所ということになる。

シンガポールはアジアの中でも海外移住のハードルは高いが、その分治安やインフラは整っている。

バンコクについては、たびたび大規模なデモやクーデターが起こり、政治的には不安定な街だが、それでも現地在住の日本人からヒアリングしても安全な街だという意見が多数。

私も大掛かりなデモの直後にバンコク入りしたことがあるが、特に危険な雰囲気を感じたことはないし、テレビで映るようなごく一部でデモが行われているだけで、バンコクのいたるところが危険になっているわけではない。


他にも台湾は安全であり、親日の国でもある。

一方の中国は街によってそこそこの治安でも、時期によって反日感情が高まってデモが起きたり、暴徒化したりもする。

マカオに隣接する珠海に住んでいる日本人の知人は、反日デモを見かけて何食わぬ顔で参加してもまったく気づかれなかったと語っていたが、こうした状況が嫌で中国からセブに移住した知人の一家もいる。

政治的な不安定さという点を見ても、タイと中国では現地に住んでいる場合の影響度が違う。


私が住んだマレーシアとフィリピンを比較すると、国としては前者の方が安全だが、実はフィリピンの方が一部の外国人居住エリアは安全だったりする。

たとえばマニラならマカティやグローバルシティ、オルティガスの一部、セブならセブシティの一部のように。


アジアの中でも治安、物価、ビザの取得難易度、国民性、英語の通じやすさ等はまちまち。

ただ、全体を通してみると海外移住先として選ばれやすいのは納得だし、私自身も毎年ヨーロッパに3ヶ月行くのが恒例になってからも、1年の半年以上はアジアで過ごすいている。


アジアから日本回帰の流れも?


上海や北京の物価は高騰し、
特に家賃やレストランでの食費が高くなっている。

かつては中国といえば安くで生活できる国だったが、
都市によっては東京よりも生活費は高く、
その割にPM2.5による大気汚染がひどかったりして
住環境は優れているとは言えない。

ビジネスにおいても
チャイナリスクを恐れて東南アジアに
工場を移す企業は増えている。


この流れは海外移住についても同様の傾向があり得る。

上海や香港のような物価の高い都市は
安く暮らしたいから移住するという目的には
すでに不向きな街となった。

こうした街にロングステイするぐらいなら
東京の外れにでも住んだほうがずっと安い。

では、物価の安さを求める人はどこに行くか?

現在なら、マレーシアやタイ、フィリピン等だろう。

あるいは節税を目的にしていれば、
タックスヘイブンのシンガポールも有力候補になる。

ただし、これらの国の物価も年々上がっており、
ただでさえ外国人価格は先進国と大差ない。

たしかに現地の人の生活費は安いものの、
外国人が安全に住めるコンドミニアムの家賃や
地元の食堂のようなところではないレストランは
日本とあまり変わらない価格になっている。

結果、安さを目的に東南アジアの新興国に移住しても
効果が薄いと感じる人が出ている。

そうした人はバンコクからチェンマイに移ったり、
さらに奥地のイーサーン地方(ウドンタニ等)へ
引っ越すことを検討していたりする。

さらにインフレが続いていけば、
ただ単に財布に優しいから海外生活をする人は減るかもしれない。

アジアにしろ、
ヨーロッパや北米、オセアニアと同じように
物価ではなく他のところで魅力を確保できている国だけが
移住者を誘致できる。

そんな時代もそう遠くない時代に訪れるのかもしれない。


多様性に富んだバンコク、
神々の島と呼ばれるバリ、
プーケットやペナンのようなビーチリゾートのように
分かりやすい魅力がある街はおそらく安泰。

一方、外国人がお金を落とさなくなることで
経済構造に影響を受ける街も出てくるのだろう。



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