
ビジネスプロセスアウトソーシングはBPOと略されるが、中国やインドのように製造業やIT、更に言えばホールセンター等の様々な業務が人件費の安い、更に言えばテナント代や物価の安い国に移管されている。
かつては製造業の国と言われ、未だにその神話を引きずっている日本においても、工場はどんどん海外に移転し、国内空洞化が叫ばれて久しくなっている。
フィリピンというのは、BPOにおいても、世界的に人気の国で、かつてはホールセンターと言えばインドだったのが、彼らのなまりのひどい英語を嫌って、フィリピンに移ってくる企業というのが相次いでいる。
個人的にはそもそも、インドの会社がしっかりと契約を守るのかどうかとか、そういったところにも問題があったような気がする。
もちろん彼らの英語力が落とし穴になっていたということも、要因に一つであったことは間違いない。
フィリピンにおいて、BPOの人気が高い都市がどこかというと、そのランキングを見てみた時に、世界の中でも2位にマニラが入っていて、8位にはセブがランクインしている。
そこまではとても順当というか、有名な町がきているが、それ以外にも69位にダバオ、82位にはラグナ州のサンタロサ、93位にはイロイロ、95位にはバコロド、99位バギオが入っている。
実にフィリピンから7都市が100位以内にランクインするという結果に。
その前のランキングでは、マニラは3位で、セブは変わらず8位。
更にダバオが70位ということだった。
ここら辺の順位も顔ぶれも、ほとんど変わっていない。
これは当たり前の話で、BPOをやるためには、それなりのインフラであるとか、人の教育とか、そういったものが必要なので、環境が整っていない場所が突然上位に入ってきたりとか逆にいきなり圏外まで飛んでしまうということは、なかなか起こらない。
企業が法人契約をして進出してくるわけなので、特に問題がなければ複数年ずっと居続けるとか、そういったことも多いため、順位がそれぞれ安定してくるというのは、当たり前のことと言える。
実際マカティに住んでいて聞いたのは、このエリアというのはどんどんテナント代も人件費も上がってきているので、オルティガス等のエリアにBPOであるとか、そういった産業が移っているということと、更に言うと、テナント代と人件費が更に安くなるセブに移行が進んでいるということ。
更に言えば、日本人向けのSkype英会話を見ても、主な物は、マニラやセブを拠点にしてサービスを提供しているのではなくて、もっとマイナーな島でコストを安く抑えることで、驚くほどの低価格を実現している。
30分で200円を切るぐらいの料金設定というのは、一見異常に見えるし、いくらインターネットを通じてSkypeで英会話をするため、電話代等の通信費がかからないとはいえ、それで利益が出るのかどうかということが、疑問になってしまうぐらいではあるが、当然ながら何社もこの市場に参入しているということは、それだけの旨みがあるということ。
こうして国と国との間だけではなくて、フィリピンの中でもマニラからセブへ、更にセブからダバオやイロイロやバギオなどの別の町へ。
更に一部の産業に関しては、よりマイナーな島を求めて、産業がなく人件費の安いところに拠点を移している。
高い付加価値を生んだりするのに、BPOは不向きだが、フィリピン人の人件費が急激に上がるということもなさそうだし、当面の間BPO先としての人気は、フィリピン経済に寄与していくのだろう。