この数年、東欧には毎年足を運んでいるが、
良いところも悪いところも色々見えてきた。
ヨーロッパには半年で90日までという滞在制限があるため、
その一部を東欧に割り振る形になっているが、
実際は半分ぐらいを閉めている。
今年はハンガリーの各都市を周ってきたし、
去年はブルガリア・ルーマニアで首都だけではなく
ブルガリアだとプロブディフにベリコタルノボ、
ルーマニアではブラショフやシギショアラ、シビウ等も行った。
チェコだとプラハとブルノ、
スロベキアは首都のブラティスラヴァ、
ポーランドはワルシャワ、ウッチ、ヴロツワフ、クラクフ、カトヴィツェへ。
結果、もっとスポットライトを浴びてもいい街が
いくつも見つかった。
ブダペストですら名前は聞いたことはあっても、
具体的なイメージを持っている人は少ない。
これほど素晴らしい街なのに理解されていない状態がもどかしい。
ということで、東南アジアで暮らしてきた私が、
こうして各都市を周ってきた見えてきた
東欧の良いところ・悪いところをポイントを絞って
書き記しておくことにした。
街並みの美しさ
ヨーロッパの中でも、東欧は経済力の弱い国が多い。
ブルガリアやマケドニア、アルバニアはその典型で、
ヨーロッパの中でも最貧国に近い位置を占めている。
比較的裕福なのはチェコやスロバキアで、
それでもドイツやノルウェーに比べれば全然劣る。
しかし、それがプラスに働いている側面もある。
たとえばロンドンのシティの一部は
有り余る投資マネーが流入して近代化・現代化が進み
古き良きヨーロッパの街並みが失われているエリアもある。
それに対して、東欧は最先端の建築物を作る費用も限られているため、
結果として昔ながらの景観が保持されている。
私達日本人が求めているのは、
ヨーロッパの旧市街のような街並みではないだろうか。
日本でもアジア諸国でも見られるようなビルなら、
10時間以上のフライトに耐えてユーラシア大陸の反対側まで
わざわざ飛んでいく理由がない。
その見たいものが東欧には残されている。
たとえば、ブダペストはパリに近い雰囲気が漂い、
ブロツワフは川沿いとの調和が美しい。
また、景観保護の意識が高い国もあり、
たとえばポーランドは第二次世界大戦で焼けてしまったワルシャワを
わざわざ懸命に再現したことで知られる。
日本の戦後復興を考えても、
焼け野原になってしまったなら
新しい都市計画を作るなり、
無秩序に新しい街ができるなりするのが通常だろう。
しかし、ワルシャワはその道を選ばなかった。
ヴィスワ川沿いを中心にした歴史地区は
以前の状態を忠実に再現することにこだわり、
現在では世界遺産にも指定されている。
こうした背景には、
「意図と目的をもって破壊された街並みは
意図と目的をもって復興させなければならない」
「失われたものの復興は未来への責任である」
というポーランドの信念が宿っている。
結果、ワルシャワに限らず、
東欧の多くの国に美しい街が残っているのは、
この地域の良いところ。
東南アジア並の物価の安さ
ヨーロッパは物価が高いイメージがあるが、
実際に訪れると国ごとの差が大きく、
たしかにスイスや北欧は為替レートの計算を間違ったかと思うほど。
先進国の日本と比べても
倍以上の滞在費がかかってくる。
その割に、食べ物が値段相応に美味しいわけでもなく、
ホテル代に見合ったホスピタリティや部屋の広さでもない。
しかし、北欧から少し南下した東欧では事情が一変する。
北欧からすると3分の1、4分の1の価格に
ホテル代やレストランのメニューが設定されている。
地図を見ると明らかなように、
デンマークとポーランドはドイツを挟んですぐ近く。
しかし、ここまで極端な物価の差が存在する。
実際問題、バンコクで外国人向けのレストランを利用しても、
ワルシャワやブダペストで食事をするのと変わらない。
味はどうかというと、
たとえばハンガリー料理の
テルテット・パプリカやペチェニェは絶品だった。
また、チェコ料理のスヴィチュコヴァー・ナ・スメタニュは
牛フィレ肉にクリームとクランベリーソースをかけたものだが、
意外にも肉と甘みがマリアージュを奏でる。
他にもグラーシュやペチェナー・フサ等、
チェコにも美味しい料理が多く、
東欧全般として食事の美味しさは強み。
宿泊施設に目を向けると、
ジャカルタのホテルに泊まるのと、
ブカレストの同等のホテルに宿泊するのも
おおむね同じ程度の金額。
プラハは東欧の中でもホテル代がやや高めだが、
それ以外はかなり似たような水準で、
ハンガリーからブルガリアのように経済が弱い国に行っても
ホテルや外国人旅行者向けのサービスの価格は
あまり下がることがない。
ここらへんは外国人料金ということだろう。
そのため、東欧の中では経済が強い
チェコ、スロバキア、ポーランド、ハンガリーあたりが
コストパフォーマンスが良好。
ブルガリアやルーマニアに比べて治安も良く、
快適に滞在ができるようになっている。
親切な国民性
ハンガリーやポーランドで特に感じることだが、ホスピタリティの高いサービスを受けられることが多い。
待ちゆく人に道を尋ねても
親切に教えてもらえる傾向にある。
同じヨーロッパでも国によっては
サービス業の社会的地位が低く、
レベルもひどい場合がある。
たとえばオーストリアは観光が重要な産業の1つだが、
ホテルや鉄道会社、博物館等のスタッフには
不快な思いをさせられることがたびたびだった。
やはり人と接する時には、
エネルギーをもらうことも奪われることも多々ある。
オーストリアのように自然や過去の文化遺産で
世界中から人を集められる国の場合、
サービス水準がひどくてもビジネスが成り立つ。
これはギリシャやイタリアの一部で見られる構図で、
観光業に従事する人は努力する必要がない。
これに対し、東欧はそこまでふんぞり返った姿勢で
仕事をしている人は少ない。
現地の人と接する時にストレスを感じないのは、
快適な旅をする上で必須の条件だろう。
人当たりの良さは、このエリアの強みの1つ。
ただし、東欧の中でも国によって差があり、
たとえばブルガリア人は軍人のようないかめしい表情の人が多く、
とっつきにくい印象を受けた。
治安には一部に問題も
全般的に見ると、東欧の中でも旅行先として人気の国は
それなりに安全なことが多い。
ただし、世界的に人気なプラハの場合、
旅行者が多い街の宿命としてスリも多発している。
こうした軽犯罪には注意が必要で、
ハンガリーの偽警官や両替詐欺も常套手段。
一時帰国時に新宿で会った知人も、
ハンガリーでトルコ系の偽警官にセーチェーニ鎖橋で遭遇し、
お金を要求されたらしい。
もっとも彼が偽物だと見破ると、相手が逃げ出したらしい。
私の個人的な経験としては、
ブルガリアのプロブディフという街の四つ星ホテルで
スーツケースの中のパソコンを盗まれたことがある。
犯人はその時間に部屋に入ったポーターだと思うが、
決定的な証拠もなく、泣き寝入りするほかなかった。
このホテルでは同日に他の宿泊客も被害にあっており、
状況も酷似していた。
ポーターの単独犯ではなく、
ホテル内で組織的にスタッフが犯行に関与している可能性もある。
なお、ホテルのセーフティーボックスも
鍵があれば簡単に開けることができるため、
ホテルスタッフがその気になれば簡単に中身を盗める。
クレジットカード付帯の旅行保険でまかなわれるため、
軽い罪の意識しか持たずに犯行に及んでいることも考えられるが、
仕事道具のパソコンを盗まれるのは
購入額の補償など無関係に深刻に迷惑だった。
この一件のため、
ブルガリアはどうしても印象が悪い方向に引きずられてしまう。
東欧は経済が弱い国が多いため、
ブカレストの北駅のように注意が喚起される場所もある。
そうした場所には極力近づかないようにしたり、
用事だけを手早く済ませて立ち去ることは必要。
全体としてみれば安全でも、
地域によっては危険なところもあるので。
人気のない裏通りは歩かないとか、
基本的な注意は当然必須。
交通で不便を感じることも
ヨーロッパ内ではLCCと並び、
長距離バスや鉄道もメジャーな移動手段。
アクセスの良さは東南アジアに比べて強みでだが、
東欧では一部に例外がある。
たとえばハンガリーの鉄道の一部はエアコンがなく、
8月は最高気温が35度になることもある中で
車内はさらに蒸して気温が上がる。
体感では40度を越えると思われたことも。
なかなかの悪条件だった。
私の体験では、
隣国クロアチアのザグレブからペーチュのの一部区間、
ブダペストからエゲル行きの鉄道がエアコンなしだった。
冬に暖房があるのかは不明だが、
少なくても真夏のハンガリーの長距離鉄道はなかなかの難関。
もっとも、エアコンが付いている車両もあるため、
そこは運次第ということになる。
また、ブルガリアの長距離鉄道は英語が通じず、
窓口で到着時刻や乗り換えの有無を聞いても会話が成立しない。
購入した切符を見ても、
時間が1つ書いてあるだけで、
あとはブルガリア語の文字だけ。
キリル文字の影響が強いため、
アルファベットとは違う文字もあり、
日本人には馴染みが薄い。
結局、行き先が合っているかも確認できず、
表記された時間が出発時間か到着時間かも分からず、
ホテルのフロントで質問して
無事に正しいチケットを購入できたことが判明した。
移動に不便を感じる国も一部にあるので、
そこは東欧の悪いところではあるが、
街並みの美しさや物価の安さ、人々の温かさを思い出すと
そうしたデメリットを打ち消してしまう。
良いところばかりとは言わないが、
それでも何度も繰り返し訪れてしまうし、
すでに来年のポーランド行きをほぼ決定している。
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