森と湖の国とか、ムーミンのふるさととして語られることの多いフィンランドだが、移住先としてもとても魅力的な場所と言える。
成熟度の高い住環境
北欧の例にもれず自然が豊かで、なおかつ人々の生活の質が高いことが魅力的だし、それ以外にもフィンレイソンやマリメッコ、イッタラに代表されるデザインや観光の分野においても世界を魅了するところが大きいし、永住権取得の可能性も開かれている。仮にフィンランドに移住するのであれば、首都であるヘルシンキがもっとも可能性としては高いが、大都会というわけではなくて、こじんまりとした町となっている。
というのも、人口で言っても約60万人程度であり、かなりコンパクトな印象がある。
例えば、アジアの大都会であるバンコクやマニラよりも、はるかに希望は小さく、落ち着いた雰囲気が流れている。
ヘルシンキの雰囲気は、映画かもめ食堂を見てもらえば、ある程度想像はできると思う。
ギラギラとした経済主義の町というよりも、のんびりとした長閑な場所という印象が強く、ガンガンにBGMをかけて営業をしている新興国や多くの先進国の繁華街とは違い、目抜き通りの一つであるアレクサンダー通りであっても、ヘルシンキの場合はだいぶ静かな環境になっている。
東南アジアは東南アジアで違った魅力があるが、最近はヘルシンキのような落ち着いた場所とか、静寂を大事にしている環境とか、そういった条件を満たしている場所に惹かれるようになってきた。
それがフィンランド移住考えるようになった理由の一つにもなっている。
ヘルシンキの町の中には、テンペリアウキオ教会という、岩盤をくり抜いて作った現代建築の教会があることからも分かるように、新しい試みをしている一方で、自然が大切にされていて、調和がとても取れている町。
さらに言うと、カンピ礼拝堂という木造建築の教会もあり、こちらは2012年の夏にできたばかりで比較的新しいものだが、都会にありながらも静寂を提供できる場所として、音が反響しないように作られた場所。
こういった心を落ち着く場所があるのも、とても魅力的。
ヘルシンキ以外にも魅力が
こう語っていくと、フィンランドといえばヘルシンキ以外に移住先として魅力のある町が存在しないかのようだが、そんなことはない。
例えば、ボルボーはとても美しい町並みの都市だし、トゥルクも選択肢として外せない。
さすがにオーロラを毎日見たいわけではないし、そもそも私は夜早く寝てしまうのでオーロラを日常的に見られるような生活習慣は持っていないため、サーリセルカのような冬にオーロラ観光で多くの人が訪れるような町に住む必要はないと思う。
もっとも、サーリセルカも夏にはハイキングでにぎわうぐらいなので、そういった時期に訪れてみると面白いのではないかという風には思っている。
緑の中を歩くのはとても澄んだ気持ちになるし、体の中から健康になる感じがする。
188,000の湖を持つ国だけに、サマーコテージで森や湖のハイキングを楽しんだり、ベリーを摘んだりと、のんびり過ごすのも興味深い。
アジアに滞在している時とは違った時間感覚で過ごせる。
とは言え、当然ながらフィンランドは冬の寒さが厳しいため、その点が移住においてはデメリットになってくる。
一年間の気温が大きく変わらないのが、いかに体にとって楽かをこの3年ほどで思い知ったし、その利便性を手放すのは、なかなかに厳しい。
ましていきなりフィンランドのような寒さの厳しい場所への移住であればなおさらで、気候面での条件は厳しい。
ノルウェーやスウェーデンと並んで、フィンランドと言えば北欧の代表的な国なので、ヨーロッパの中でも寒さの厳しいエリアということになる。
雪に閉ざされた町は絵的にはとても魅力的ではある一方で、生活環境としては決して甘いところではなく、そういった部分での戸惑いがあるのも事実。
もっとも、現地の人は氷を割って魚を釣ったり、アイススイミングを楽しんだりしているので、冬でも自然を楽しめないわけではないが。
暮らすのに有利な条件がそろっている
フィンランドの公用語はフィンランド語とスウェーデン語で、外国人移住者に対しても無料で語学学校で学ぶための門戸が開かれている。
これは世界的に見ても特殊。
もっとも、フィンランド語もスウェーデン語も話せなくても、英語が通じる国なので現地で仕事をするのでなければ、英語だけでも暮らしていける。
なお、外国人留学生に対しての支援も手厚く、以前は学費が無料だった。
現在はEU・EEA圏外の学生については授業料が有料になったものの、公共交通機関が半額になったり、住宅手当が出たりと他国に比べると今でも支援は充実している。
治安も良いので、外国暮らしと言っても危険と隣り合わせということもないし、カード社会なので多額の現金を持ち歩く必要もない。
ちなみに、フィンランドの通貨はユーロで、同じく北欧のノルウェーが独自通貨のクローネ、スウェーデンがクローナを使っているのとは違っている。
ヘルシンキのヴァンター空港はヨーロッパの主要ハブ空港の1つのため、各国へ旅行に行くにも便利。
寒い冬にリスボンやマルタのような温暖な国で避寒するのもあり。
ヴァンター空港は市内から電車で30分というアクセスの良さも売りになっている。
タクシーが危険な国でタクシーに乗ったり、よく分からないバスに乗ったりしなくていいのは生活の質を考えた時に嬉しい。
子育てをする場合には、いわゆるフィンランド式教育が日本でも注目されているぐらいなので、教育の質の高さも期待できる。
子どもたちの個性を見ながらカリキュラムをカスタマイズするやり方は、各国からの関心を集めている。
また、子供が乗ったベビーカーを押している場合、両親も交通費は無料となったり、行政が用意した公園では子供を無料で預けて遊ばせることができる。
ヘルシンキの治安の良さを反映する言葉として、レストランの前にベビーカーを置いて食事をしても盗まれないという逸話もある。
これは海外のほとんどの国では考えられない話。
他にもワークライフバランスが行き届いた国だけあって、午後4時頃には仕事が終わって帰宅できたり、会社に行かずに自宅等で勤務できる企業も少なくない。
もし起業するなら、私的有限会社は2500ユーロで、公開有限会社は8万ユーロで設立が可能。
ただし、フィンランドも移住先としてメリットばかりではもちろんない。
フィンランドのデメリット
冬の寒さ、日照時間の短さはすでに触れたが、物価も高い。
感覚的に言うと、だいたい東欧の2倍〜3倍ぐらいする感じがしている。
そういった意味で資産の形成段階においてフィンランドに移住をして生活をするのは、人生の大きな流れからすると、資産形成において滞りを作ってしまう原因にもなる。
そう考えると、実際にロングステイをしたり、移住をするのはまだかなり先の話で、目先としては東欧や東南アジアに目を向けている段階を、当面は続けた方がいい気もする。
ちなみに、代表的な税金としては、標準消費税が23%、食料品の消費税が13%となっている。
それでもフィンランドに住むか?
今後住んでいく場所は常に求めているので、
フィンランドについても、引き続き注目していく予定。
資産を作っていく段階ではなく、
ただ維持すれば十分という段階になったことが
ヘルシンキでの生活を本格的に検討する条件になりそうだ。
と言っても、物価や生活費の問題が解消されても、
気候における条件の厳しさは相変わらず存在するのだが。
そして、ビザについて目を向けてみると、
永住権を取得する道もないわけではない。
決して容易に取れるような条件ではないが、
継続在留許可を持った状態でフィンランドに4年住めば、
永住権が取れる場合がある。
4年の滞在で自動的に永住権が付与されるわけではないが、
一応の可能性は存在するということに。
なお、フィンランドの北の方の街、
たとえばイナリ(Inari)では、
白夜と極夜という現象がある。
白夜は広く知られている通り、
一晩中日が沈まない現象。
これは幻想的なだけではなく、
夜になっても観光ができたりして、
好意的に解釈する人が多い気がする。
ただし、ロンドンやダブリンの夏を経験し、
夜10時にようやく暗くなるという現象を目の当たりにして、
個人的には白夜は好ましいものではないと思っている。
やはり生活リズムが崩れる部分が大きく、夜は暗いほうがいい。
特に寝る時は小さな灯りでも脳を刺激し、
睡眠の質を下げるぐらいなので、
白夜となると体内時計が狂ったりすることが予想される。
また、極夜はあまり耳にすることのない言葉だが、
極夜とは一日中日が昇らない現象で、白夜の逆。
フィンランドやノルウェー、スウェーデンの一部のエリアは、
冬にまったく太陽が出ない日がある。
これは鬱になりそうな現象で、
彼らが南国に行くと過剰なまでに日光浴をしたがる理由も納得できる。
白夜や極夜を旅行中に体験するのは面白そうだが、
移住して生活するとなると
体調管理やメンタルの管理に悪影響を及ぼすことになるだろう。
食事や治安の面では不安がないフィンランドだが、
こういった条件では厳しい部分もある。
海外に移住するのは本当に難しいのか?
日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。
同時に、
「英語が苦手で・・・」
「海外での部屋選びで失敗しないか不安」
「他の国での生活を想像できない」
「下見で何を確認したらいいか分からない」
「移住後の仕事やお金が問題」
等々の様々な不安や悩みも耳にする。
そこで、10年以上海外で暮らし、
4ヵ国に住んできた経験を凝縮した電子書籍、
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