日本の森林というと、うまく手入れが行き届かず、そのまま放置されているところが多いのが社会問題になっており、その結果として過剰にスギ花粉が飛ぶことで花粉症という2次災害まで起きてしまっている。
それに対してオーストリアにおいては林業のイメージが日本とは異なり、かなりプラスの側面を持っているという。
その理由としては、かつて日本と同様に3Kの職業として嫌われていた林業だが、現在のオーストリアにおいては、林業従事者に一定水準以上の教育が施され、安全性が高まったことや収益性が改善され、それが広く知られるようになったこと。
さらに、高度でかつ専門的な知識が求められるクールな仕事であると認識されるようになったことも指摘されている。
事実、作業着一つとっても、オーストリアの林業の作業着は、随分と若者向けにデザインを変えられているという。
そしてオーストリアには面白い制度があって、その一つが森林官と森林マイスター。
森林官はフォレスターとも呼ばれ、500ヘクタール以上の山林の管理をする。
ただし、これだけ広大な土地を持っているのはオーストリアでもごく一部であって、主に修道院が該当する。
森林マイスターの方は、500ヘクタール以下の森林の管理を行っており、山林の資源量をコントロールしたり、伐採可能な木材の量を決定したり、あるいは伐採するエリアの決定や、販売先の確保なども行う。
資格が必要になるので、誰でも森林マイスターを勝手に名乗ることができるわけではなく、家業を受け継ぐ際にも、その資格を取る必要がある。
学歴や職業としての経験年数、試験の結果等を踏まえて担当可能な面積にも制限が加えられているというので、名目上だけの資格ではなく、実質的な権限が含まれた実効的なものであることがうかがえる。
研修内容も充実
オーストリアの南部に位置し、イタリアやスロベニアの国境近くにあるケルンテン州の湖の付近には森林研修所が存在する。そこでは、チェンソーの使い方や木の切り倒し方、タワーヤーダーという木を運ぶ機械の使い方等の様々な知識を学び、実践することになる。
こういった制度も存在し、オーストリアにおいては林業従事者の社会的地位は比較的高い。
そういえば、バンクーバーからマニラまで移動する時に同じ飛行機の席が隣だった男性も、トロントの近くの村で普段は林業をしていると言っていたが、とても誇らしそうに仕事の話をしていた。
国によってそれぞれの職業のイメージはだいぶ違うが、カナダやオーストリアのような自然を愛する文化のあるところでは、日本においての林業従事者よりも、彼らの扱いが上なのかもしれない。
オーストリアと比べても、日本の方がはるかに森林面積は広いわけなので、それを上手に活用しないのは、かなりもったいない。
経済的に大きく発展するためというよりは、持続可能でなおかつ環境と共存する生き方をするために、オーストリアの森林官や森林マイスターを初めとした制度というのは、参考になる仕組みだろう。
日本との技術交流もあり、長野県が長野県林務部・信州大学農学部・オーストリア連邦 森林・自然災害・景観研究研修センター(BFW)の3者で林業技術に係る連携・交流の覚書を作成したり、鳥取県が 国立オシアッハ森林研修所やシュタイアマルク州へ視察に行ったりしている。
なお、オーストリアは森林ばかりではなく、湖も美しい国で、特にハルシュタットは有名な街。
ハルシュタットの行き方と旅行記もまとめたので、ご参考に。
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