海外起業の現実をマレーシアで見た

スポンサーリンク
海外のビジネスマン

市場環境の違う海外での起業には、
日本では考えられないほどのチャンスが潜んでいる反面、
当然ならがリスクも存在する。

チャンスの面に関して言えば、
たとえば飲食店を例に出してみると、
マレーシアやフィリピン、タイといった
日本よりもずっと所得の低い国であっても、
現地でちょっと高級感のある日本食は日本と同価格帯で出店している。

アジア各国に展開する山頭火のラーメンは、
一杯700円から800円程度と現地価格では高級でも、
行列ができている店舗を各地で見かける。

あるいはバンコクのココイチ。

こちらは日本とはポジショニングを変え、
日本とほぼ同価格でカレーを提供して
高級感のある店として営業してにぎわっている。

大戸屋もタイで見る限り同様の戦略を取って繁盛している。

顧客単価は落ちず、店舗の開業費用や家賃、人件費は安い。

売上が大して変わらずにコストが削減できるのだから、
当然利益が残る結果になる。

だから海外起業が有利だと言われる風潮があるし、
それはあながち間違いではない。

実際に潜在的な利益の額は大きいし、
日本で泥沼の戦いを繰り広げるぐらいなら
そのリソースを海外に持ち込んで開業したほうが
一般論としては有利かもしれない。

ただ、一言で他の国でビジネスを始めると言っても
それに付随する様々な課題が生じる。

たとえばビザ関係の雑務もそうだし、
国によっては現地の人の雇用が義務付けられることもある。

その国での税務や営業の許可の手続きもあるし、
商慣習の違いに悩まされることも少なくない。

しかも、海外での起業は競争がないかと言えば、
無論そんなはずはない。

日本人が思い浮かべるような国であれば、
ほぼ華僑や韓国人が進出しているので、
外国人がいないまっさらな状況などないと思ったほうがいい。

私が知るかぎり、唯一の例外はコソボで、
こちらは中国人や韓国人も見当たらないという。

マレーシア時代の友人の日本人がコソボで仕事をしているが、
ここは珍しく日本人以外のアジア人がいないらしい。

日本独自のサービス(和食等)を提供すれば、
海外で起業する時にブランド価値を作れるのは確か。

やはりイメージはいいし、
品質にこだわるという高評価も各地で聞く。

ただ、それだけで簡単に勝ち抜けるほど甘くはない。

海外で新しく人を雇用している会社を見ると、
長く続かずに帰国してしまう人材は必ずいる。

習慣や文化の違いはストレスも生むし、
たとえばマレーシアなら
断食の期間にいちじるしく現地人の効率が落ちる。

そうした中で上手くビジネスを進めるのは容易ではない。

スポンサーリンク

マレーシアで近所に開業した飲食店


マレーシアに住んでいた時の話をすると、
スペイン料理店が開業して1年持たずに潰れた。

そのエリアでは唯一のスペイン料理を出している店だったので
独自性はあった。

ただ、価格設定の問題もあってか、
常に店内はいまいち人が入っていなかった。

ランチメニューを安くで提供したりして
集客の工夫をしている印象は受けたものの、
結局はスピード閉店。

日本をイメージしたカフェもやはり1年程度で潰れた。

メニューも親子丼や焼き肉丼などの丼ものを入れたり、
現地の人が起業した店にしては
それなりに頑張っている味だったが、
やはり本場には程遠かったし、経営もうまくいかなかったらしい。

wifiのスピードがそのエリアでもっとも速く、
当時自宅のネット回線が不通になった時は重宝したのだが。

マレーシアは新興国だし、消費意欲が旺盛なのは見ていて分かる。

それでも潰れる店はすぐ潰れるし、
適当に出店すれば成功するほど甘くはない。

新興国であってもこの有り様なので、
まして競争の激しい先進国はなおさら起業しても厳しい。

海外なら勝てるというのは、
あくまでも能力と十分な準備がある場合。

戦えるだけの力がない状態で
甘い幻想だけを抱いて参入して勝てるほど甘くはない。

ちなみに、マレーシアにはシャッター通り商店街のように
軒並み潰れた店が並んでいるエリアもたびたび見かける。

店構えからすれば現地の人の店で、
商慣習等の溝がなくても失敗したことになる。

日本人がそこに参入するのなら、
決してハードルは低いわけではない。

ただ、それを熟知した上で挑戦して狙うだけの
大きな可能性があるのも事実。

実際、飲食をはじめとした力のある各種の企業が
アジアを中心に進出しているぐらいなので。

マレーシアの飲食店は狙い目!?

和食
日本人が海外で飲食店を開業するのなら、
和食レストランや寿司屋・ラーメン屋、
和風スイーツ等の日本と関係のある店にすることが多い。

実際、日本という国のブランド価値は世界的に見ても高い。

東南アジアであればあこがれのアイコンなので、
実際に日本人が経営している本場の味という時点で
多少なりともブランドになる。

ただし、情報が遅い人は多いもので、
いまだにシンガポールやバンコクの和食系飲食店の開業に
ビジネスチャンスがあると思っている人もいる。

たしかに上手くやればチャンスはある。

成熟した日本国内でも経営が上向きな店もあるし、
シンガポールやバンコクはそれに比べればゆるい。

かつては出店後半年で初期コストを回収したという話もあったが、
上記の2つの街は東南アジアの中でも、
さらには世界中を見ても和食のレベルが高くなった。

その競争を勝ち抜かなければ、
店を続けていくことすら難しい。

私は何度もバンコクに足を運んで
ビザなしでの滞在期限いっぱいまで過ごしてきたが、
閑古鳥の鳴いている和食レストランをいくつも見てきた。

シンガポールやバンコクよりレベルが落ちる

マレーシアは比較的日本人が多いのに、
シンガポールやバンコクに比べると
和食レストランのレベルはワンランク落ちる印象。

たとえばクアラルンプールのパビリオンは
マレーシアを代表するショッピングモールの1つで、
そこには東京ストリートという日本関係の店が並ぶエリアがある。

代表的なところだと、山頭火も出店している。

しかし、ここに入っているテナントの中にも、
いまいちな飲食店があるのが事実。

あるいはスリアKLCCという別のショッピングモールも
いくつか和食レストランが出店しているが、
やはり微妙な味付けだったりする。

値段は決して安くはないし、店内はにぎわっている。

そう考えると、マレーシアは飲食店を開業する上で
まだチャンスが残されている国なのだろう。

ただ、それも世界的な激戦区と比べたらの話で、
質はともかく和食レストランの数は多いため、
差別化できるだけのものが必須。

それがないのなら、
もっと競争のゆるいエリアを目指す必要が出てくる。

長期的に店を経営していきたいのであれば、
今のうちに優位性を作れないのであれば
マレーシアでも生き残るのは厳しいように思う。

今後も国の成長とともに
食のレベルが上がっていくのは自然な流れで、
下がっていくことは長い目で見ると考えづらい。


現地の人を雇わなければ起業できない国も

シンガポールのショッピングモール
マレーシアで法人を作る場合、
ビザを取得するために一定の資本金が必要。

ただし、マレーシア人を雇わなければいけないわけではなく、
たとえばあなた1人で起業することも可能。

あるいは日本人スタッフだけで
会社を構成することもできる。

これは当たり前に思えるかもしれないが、
国が変わればビザのルールが変わる。


現地で4人の雇用という負担

例を挙げると、マレーシアの隣国のタイの場合、
日本人1人に就労ビザを出すために
タイ人を4人雇用する必要がある。

ということは、
あなたが自分一人で小さなビジネスを営みたいと思っていても、
就労ビザを取るためにタイ人の社員が4人必要。

もし部下として日本人を2人雇うなら、
あなたの分も含めてタイ人は12人雇用することになる。

そこで真っ先に思いつきそうなのは
名義貸しでもしてもらうことだが、
こうした実態のない方法はタイでは不可。

時折抜き打ちの立入検査等もあり、
外国人が保有する外資の法人に対しては取り締まりが厳しい。

ということは、タイ人に実際に働いてもらう必要があるが、
仕事の内容によっては彼らに任せる仕事がない場合も。

しかも、タイ人のマネジメントとなれば、
国民性も違うので苦労する部分もある。

さらに、失業率の低いバンコクにおいては
人を確保するのが難しく、
次の職が簡単に見つかるだけに社員は簡単に辞めてしまう。

バンコクで起業した友人の社長も、
ボーナスをもらったら辞めていく社員が毎回いるとこぼしていた。


飲食店経営のように人手がいるビジネスなら
現地の人をどのみち雇うので問題ないだろう。

しかし、業種やビジネスの規模によっては
この点は大きな足かせになる。

スタッフが増えればオフィスも広くする必要があり、
どんどん固定費が増えていく。


たとえば自力でアプリ開発をするつもりで
海外に法人を作って起業したい場合、
タイ人スタッフがいてもマイナスになりかねない。

求人やマネジメントの問題が発生し、
人件費もかかる。

こうした場合なら、
起業する国をよく検討する必要も出て来る。

国ごとにビザのルールも千差万別だし、
住み続ける権利の強さも異なる。

この点は十分な下調べが必要。


海外に移住するのは本当に難しいのか?


日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。

同時に、

「英語が苦手で・・・」

「海外での部屋選びで失敗しないか不安」

「他の国での生活を想像できない」

「下見で何を確認したらいいか分からない」

「移住後の仕事やお金が問題」

等々の様々な不安や悩みも耳にする。

そこで、10年以上海外で暮らし、
4ヵ国に住んできた経験を凝縮した電子書籍、
『「いつか海外に住みたい」を手の届く現実にするための本』
を無料でプレゼント
することにした。


電子書籍の目次等も掲載しているので、
プレゼントページへどうぞ

電子書籍のプレゼントページへ



よく読まれている記事