マカティに不動産投資をするかどうかを決めるため、
現地に移住してしまった。
当初はどのエリアに住むかは決めていなかったが、
サルセドビレッジと迷った末、
レガスピビレッジのコンドミニアムに決めた。
これは単純に住環境として魅力的だったことに加え、
外国人居住者の行動パターンを理解する上で
なかなか気付きの多そうな立地だったこともある。
マカティに移住する前には、
2年間マレーシアで投資修行をしていた。
こちらでも不動産開発は盛んで、
コンドミニアムを購入している友人も多かった。
しかし、個人的には先行きが有望とは思えず、手を出さなかった。
そして、より大きなチャンスを感じてやってきたのが
フィリピン、マニラ。
その中でもマカティやグローバルシティ、オルティガスは
外国人投資家にも、あるいは居住者としても魅力的な街。
住人としての優位性を活かして、
プレビルド・リセール問わずに話を聞いて回った。
歩いていればモデルルームに当たるエリアなので、
ランチやディナーの後にふらっと立ち寄ることもしばしば。
おかげでフィリピンの物件の見方が分かってきた。
これまでもマレーシア以外に
タイやインドネシア等で不動産の視察を行ってきた。
すでに資産は8カ国に分散済み。
フィリピンが他の国に比べ、
特別コンドミニアムのレベルが高かったり、
低かったりという印象はない。
日本と比べると経年劣化のスピードは早いが、
それは東南アジアに共通して言えること。
これは建築技術の問題もあるし、
年中降り注ぐ真夏の紫外線の影響もある。
しかしながら、マカティには不動産投資のチャンスはあると判断した。
すでに東南アジア各国の首都、
たとえばクアラルンプールやバンコク、ジャカルタは
暴騰とも言えるレベルの価格帯に達している。
家賃が購入価格に比例するわけではないため、
利回りがどんどん下がって銀行ローンよりも低くなり、
さらに新規物件の乱立による競争過多で
借り手を見つけるのも難しい。
そのため、賃貸付け(客付け)に苦労する上、
ライバルが多すぎて売却益(キャピタルゲイン)を
将来的に得られるかもあやしい状態。
フィリピンの首都、マニラも例外ではない。
アメリカをはじめとした先進国から流れ込んだ投資マネーで
不動産価格は上がってきた。
特にその傾向が顕著なのは、他の街でも同じように一等地。
マカティはその一部で、グローバルシティやオルティガスなども
同様の傾向にある。
ただし、フィリピンはクアラルンプールやバンコクと比べると、
価格の上昇が穏やかだった。
これは国の法規制が理由で、
元々フィリピンには銀行に対して資本規制がある。
つまり外資が自由に銀行を設立できず、
事実上資本をほとんど持ち込めないという状況。
そのため、海外から流入する投資マネーが制限され、
バブルの様相を呈すことがなく
比較的堅実な価格上昇にとどまった。
結果、バンコクやクアラルンプールの不動産のような、
露骨な手遅れ感が漂っていない。
これはチャンスだった。
ただし、チャンスはごく一部
マカティの不動産に投資すると考えた時、
たしかにまだまだ家賃収入、売却益の両面にチャンスがある。
しかし、それは一部の人が思うようなパラダイスではない。
とりあえずマニラに来て、
業者が進めるままに適当なコンドミニアムを買っておけば
数年後には利益をせしめることができる時代は終わった。
たしかにバンコクやクアラルンプールに比べると、
マカティの値上がりのスピードはゆるやかだった。
しかし、上がっていることに変わりはない。
10年近く前ならともかく、
今の段階で絶好のチャンスがある街ではない。
というより、ある特定の国、あるいは街であれば
間違いのない投資ができる場所など
すでに東南アジアにはないと思っている。
おそらく世界中のどこにもないと思うが、
ひょっとしたら南米やアフリカにはあるのかもしれない。
その情報を得る自信はまったくないが。
東南アジアに限れば、
すでにベトナムやカンボジア、ミャンマー、スリランカに至るまで
不動産価格は驚くほど上昇している。
フィリピンのような資本規制がなければ、
各国で余っている投資資金がジャブジャブと入ってくるため、
その国の成長スピードをはるかに上回る形で
新たな価格が形成されていった。
結果、新興国の中でも発展しているタイやシンガポールだけではなく、
まだ比較的遅れていると目される国でさえも
不釣り合いな価格の物件を目にするようになった。
マカティの不動産に投資する場合にも、
すでに物件を吟味して取捨選択する必要がある。
グローバルシティ・オルティガスでも同じ。
まだポテンシャルを秘めているし、
上手にコンドミニアムを選べば利回りは悪くないし、
家賃収入はそれなりになる。
その状態で物件を保有しつつ、
最終的には売却益を得ることも可能だろう。
しかしながら、実際にマカティに住んで感じるのは、
とにかく新規物件が多いということ。
たとえばこの街を代表するモール、グリーンベルト周辺。
ここだけでも開発が進んでいるし、
日本人になじみの深いリトルトーキョー周辺にも
新しいコンドミニアムが完成した。
治安の面でも安心して歩けるエリアのため、
多少離れても大きな不利益にはならない。
そう考えると、競合する物件は相当に多い。
フィリピン人以外の外国人は、
区分所有のコンドミニアムを除くと
土地の所有が法律で禁止されている。
そのため、戸建てや土地そのものへの投資は不可能。
現地の人に名義貸しをしてもらうノミニーという手法もあるが、
相手が裏切ったら終わりなのでリスクが高すぎる。
安心して行える投資手法とは程遠い。
そのため、マカティの不動産投資といえば
コンドミニアムの購入になるわけだが、
1つの建物の中にも数百部屋が入ることになる。
自宅用に購入する人もいるにせよ、
基本的には他の部屋が丸々ライバルに。
賃貸付けに際しては自宅用に購入したオーナーは関係なくても、
売却時には競合物件となる。
私が住んでいる物件のようにタワー1とタワー2があれば、
同じシリーズのコンドミニアムに1,000室以上の部屋が入り、
そこから選んでもらう必要が出てくる。
当然ながら、差別化ができない既成品だと
高値をつけることは難しくなる。
これは家賃でも売却価格でも同じ。
ダンピングをする人が出れば、
そちらに人が集まってしまう。
事実、バンコクやクアラルンプールはその傾向にあり、
物件価格が上昇しているのに家賃はあまり上がらない。
結果、家賃による利回りが低くなりすぎて
投資としては適さないレベルにまで落ち込んでいる。
そのため、周辺のコンドミニアムに対して、
さらに同じ建物内の他の部屋に対して
いかに差別化を図るかが重要な時期になっている。
差別化の例
フィリピンで日本人が投資するような不動産は外国人、もしくは現地富裕層向けの物件がほとんど。
マカティの場合には、
スタジオタイプの狭めな部屋だと、
現地のマネージャークラスが入居する場合もある。
中間層が薄く、圧倒的な富裕層と貧困層が多い国だが、
確実に中間層も育ってきてはいる。
とは言え、やはり外国人が対象となることが大半。
そして、これらの物件はフルファーニッシュ、
つまり家具や家電をオーナーが付けた状態で
提供することがほとんど。
日本のように空洞状態にして貸し出すわけではないため、
部屋のデザインのセンスも問われることになる。
当然ながら、素人が適当に選んだような家具では
賃貸付けが難しくなる。
私の経験だと、マレーシアに比べて
マカティのコンドミニアムの内装は洗練されている。
マレーシアだと、いかにもオーナーが自分の趣味で選んだであろう
カーテンやベッドカバーで部屋が提供されている。
目を疑うほどセンスがひどい場合もしばしば。
しかし、マカティは別。
私が住んでいる部屋も、
主にボラカイで活動しているデザイナーにオーナーが依頼し、
内装を手がけてもらったもの。
素人くささはどこにもない。
マカティの不動産を視察していると分かるが、
300万ペソで販売されているコンドミニアムでも
室内のデザインはそれなりのレベル。
モデルルームは特別によく見せているので無視するとしても、
実際に完成した物件や中古物件を見てもデザインが良い。
この内装というのは、差別化のチャンスの1つ。
部屋の構造は似たようなものであっても、
内装を変えれば雰囲気は変わる。
開放感や落ち着きを演出したり、
洗練された都会での生活をアピールすることも可能。
そのため、内装にこだわるというのは1つの方法。
そこまで担当してくれる不動産会社もあるし、
自分で手配をすることもできる。
また、日本人向けに貸し出すことを考えているのなら、
日本語によるフォローが手厚い日系業者を選ぶのも手。
部屋の借り主は英語が堪能な場合ばかりではないため、
対応が適当なフィリピンにおいて丁寧なサポートがあれば、
その部屋に長く住んでもらえる可能性が高まる。
そうした業者を選ぶのも手だろう。
ただし、マカティの不動産業者、
というか通常はオルティガスやグローバルシティといった
マニラ活動範囲としているわけだが、
そうした日系の業者は対応が悪いところが多い。
もちろん売るまでは丁寧だが、
その後の賃貸付けができなかったり、
調べていくと悪い噂が絶えない業者があったり。
そもそも賃貸付けも困難で、
売却益も見込めないような外れ物件を誇大表示で
堂々と販売していることも多い。
そのため、業者選びについては細心の注意を払って、
適当に決めるのは避けた方が賢明だろう。
私も信頼できる業者を探すのに、
マカティに移住してから半年をかけた。
現地での情報収集もしながら、
これだけの時間をかけないと
安心できる業者が選べない街も珍しい。
もし十分な下調べをする時間がなければ、
私が選んだ会社をお伝えするので、
必要な場合はこちらから連絡を。
会社名を折り返しで連絡するので、
あとはご自身で連絡していただければと思う。
マカティの不動産投資には今でもチャンスが残っている。
しかし、それは立地や物件そのものに魅力がある場合に限る。
同じ街の中でも成功と失敗が存在する状況のため、
慎重に物件を選ぶことをお勧めする。
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日本を出て海外に住むようになってから
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