
その気になれば、マレーシアに永住できる条件は整っていた。
リタイアメントビザに当たるMM2Hを31歳の時に取得し、
当時はシンガポールに隣接するジョホールバルに住んでいた。
普通に考えれば、
若くしてMM2Hを取ったぐらいなので、
そのままマレーシアに永住するのが自然に思えるかもしれない。
しかし、実際の行動は逆だった。
2年以上住んでいたにも関わらず、
MM2Hが取れた1週間後にはフィリピンに引っ越した。
その理由は何だったのか?
よく聞かれることなのだが、
残念ながらジョホールバルは骨を埋めるような街ではなかった。
一応はマレーシア第二の都市なものの、
シンガポールの隣ということ以外にメリットがない。
東京の隣が唯一のアイデンティティの埼玉県出身者として、
どこか共感を覚えるところもなくはなかったが。
投資においてジョホールバルは注目されるが、
裏を返せばまだまだ発展の余地が残されている、
つまり未熟な街ということ。
2年も住めば十分だった。
では、首都のクアラルンプールはどうか?
たしかに利便性は大きく高まる。
しかし、個人的にはマニラの一部のエリア、
具体的にはマカティやグローバルシティ−のほうが
暮らしやすいと思っている。
クアラルンプールは何度か行ったものの、
ピンポイントで暮らしたいエリアがいまいち見つからない。
よさ気なエリアがぼんやりと広がっているだけで、
真剣に移住先として考えると決め手に欠ける。
仮にマレーシアに永住するとすれば、
ペナンを候補に挙げる人も多い。
ただ、残念ながら私はビーチリゾートに住みたいとは思わない。
マレーシアを始めとした東南アジアのコンドミニアムでは、
プールは標準装備。
わざわざ海で泳ごうとは思わない。
ペナンのようなビーチリゾートは旅行の時で十分。
永住の地には向かない。
そんなわけで、マレーシアに永住できる条件を備えながらも、
それを無視してフィリピンに移住した。
さらに他の国に移り住み、
どこかに定住し続けようという意思も今のところない。
止まれば死んでしまうマグロのような性格でもないが、
動いていたほうが様々な体験が積める。
どこかに永住するのは、
少なくても、30代の間は色々と移動しながら暮らしたい。
それにしても、最近のMM2Hをめぐる
マレーシア政府関係者の話を考えると、
どうも永住は難しくなりそうな気がする。
10年ごとの更新のビザなので、
条件が変更になれば次の更新ができない可能性もある。
そう考えると、
やはりフィリピンで永住権を確保することで
2重に保険をかけておいたのは正解だったらしい。