ビザ取得の失敗とモビリティ

今回はモビリティについて。

以前にも、この数年で私が高めてきたテーマとして
モビリティという要素があることはお伝えした。

モビリティとは、可動性・移動性・機動性・流動性。

いつでも身軽に動ける力のこと。


具体的には、
モビリティを高めるためにこんなことを実践してきた。

・海外での定住生活の経験として、
 コンドミニアムを借りての暮らし
(マレーシア・マカティ・セブ)

・非定住生活としてのホテル暮らし

・世界一周を含めた移動の経験の積み重ね

・確実に住める国を確保するための
 フィリピン永住権・マレーシアのリタイアメントビザの取得

・各国のビザ制度の研究

・身軽な移動を実現するため、所持品をシンプルミニマムに

・海外でも最低限のコミュニケーションが取れる程度の英語力の獲得

・資産を流動的に動かせるように、
 海外送金や旅先での引き出しを可能にする仕組みの確保

・特定の国のカントリーリスクを避ける目的での
 通貨・資産保有国の分散


他にも、
各国在住の知人・友人を作ったことも挙げられるかもしれない。

ただし、一度移住すると
二度目以降の移住のハードルが大きく下がるため、
出会った時と違う国に住んでいる人も少なくない。

中には、現在の居住国が分からない知人も(笑)。


たとえば、
マレーシア時代の移住仲間でも、
その後、外国人がほぼいないフィリピン奥地の村に移住した人もいれば、
バンクーバーに移った人もいる。

プログラマーのカンザイ夫妻は
出合った当初は中国のジュハイ在住だったが、
次に会った時にはセブで暮らしていた。

その後、小学生の息子さんに
参加させたい教育プログラムがあるということで、
1年だけ日本に戻ると言っていた。


仕事の面で特定の国に縛られていないと、
あえて同じ国に住み着く必然性が薄い。

特にマレーシアのように
ビザなしでとりあえず暮らし始められる国の場合、
ひとまず住んでみて、
より居心地の良い国に移っていくのは
自然な発想だと思う。

私自身も、結果としてそうなった。



こうしてモビリティは数年前に比べ、
明らかに高まった。

移住前は海外旅行経験は1度だけ、
資産はすべて日本国内に置いてあり、
ビザのことなんて何も知らないという状態だったのだから、
ずいぶん遠くへ来たものだ(笑)。


モビリティの高まりはリスク管理において、
大きなプラス要因となる。

なにしろ、特定の国に依存する必要がなくなるのだから。


世界を見渡しても完璧な国などない。

どの国も、必ずリスクは抱えている。

日本は地震を始めとした天災大国だし、
世界に先駆けて高齢化社会が進んでいく。

タイは住みやすい国だが
政変が多く、政治的に安定しない。

フィリピンは将来性の高さや
特定エリアの住みやすさは確保されているものの、
国全体として見た時にまだまだ未成熟。

天災、経済の混乱、テロ、外国人への排斥感情、
政変等による治安悪化、内戦、戦争、法制度の不備等、
カントリーリスクの存在しない国はない。

となると、いざという時に
すぐ脱出できることは、
リスク管理の上で大きな強みになる。



ただし、モビリティを高めれば、
一切波が立たない凪の海のような状態になるかと言えば、
そんなことはない。

不確定要素は出てくるので、
修正力が必要になる。


たとえば、タイの6ヶ月の観光ビザを取ろうとした時のこと。

このビザはスタートしてから1年も経っておらず、
ビザ業者も十分な情報を持っていなかった。

しかもタイの観光ビザというと
伝統的に取得が容易な傾向にあったのに、
この6ヶ月のビザは違った。

ラオス等の近隣諸国では取れず、
わざわざ東京・目黒にあるタイ大使館に行かなくてはいけない。

大使館のホームページに必要書類は記載されているが、
その記載だけではあいまいな書類もあり、
さらに事前質問は受け付けていない。

メールや電話での質問はできず、
質問するだけでも事前に予約の上、
大使館に出向く必要があった。



このビザを取るために日本に一時帰国をしたが、
肌感覚としては成功率3割ぐらいと
ぼんやり予想していた。

逆に言えば、
7割の確率で却下される予感がしていた。

ひとまず日本入りの前に
必要と思われる書類を一通り手配し、
目黒のタイ大使館へ。

流暢な日本語を話すタイ人の大使館職員に
それぞれの書類の具体的な内容を確認した結果、
銀行の残高証明書の書式に問題があることが発覚。

それが理由で申請できなかったので、
銀行に連絡して大使館の求める書式での送付を依頼した。

しかし、到着までには10日から2週間かかるとのこと。

東京を離れるまで一週間程度だったので、
この段階でビザ取得は失敗した。



当初の想定としては、
6ヶ月のビザを取ってバンコクでコンドミニアムを借り、
そこで半年間暮らす予定だった。

6ヶ月のビザと行っても、
1回の滞在期限の上限は60日のため、
途中でカンボジアやラオス等に
数日旅行に行って戻ってくる流れで。

複数回の入国が可能なマルチプルビザだったため、
そのような生活を想定していた。


さらに言えば、
タイの6ヶ月のビザが切れる頃には
ちょうどベトナム中部の気候が良い時期のため、
ベトナムの3ヶ月の観光ビザを取って
古都フエとホイアンに滞在しようと思っていた。


しかし、タイのビザが取れなかったため、
計画がすべて崩れた。

モビリティを高めても、
不確定要素は発生するし、
こうした問題が起きることもある。

では、どうしたか?


別にどうもしなかった。

観光ビザの必要書類に航空券のコピーがあったため、
バンコク行きの航空券は予約済みだったので、
いつも通りビザなしで入国した。

これで30日までは滞在できる。

あとはその期間内に、次に行く国を決めればいいだけ。

大騒ぎして次の対応を至急検討する必要もなく、
バンコクに行ってからのんびりと考えた。

というより、最初の2週間ぐらいは
忘れかけていた。



結局、1度滞在延長の申請をして、
当初の30日に加えて
さらに30日滞在できるよう
バンコクの移民局で手続きをした。

これで計60日滞在できる。


もしこの手続に失敗したら、
近くの国にちょっと行って戻ってくれば
再び30日滞在することもできるし、
しばらく台湾でゆっくりすることも選択肢としてあった。



6ヶ月の観光ビザの取得は不確定要素だが、
失敗してもどうとでもなった。

そして、ノービザでの入国後の滞在延長の手続きも、
パタヤ等の一部の移民局では
新しい書類が要求されるようになっていて、
多少の不確定要素を含んでいたが、
どちらに転んでも対処可能だった。



未来を見通すことには限界があるが、
修正していく力が高まればどうとでもなる。

事前にいくつかのシナリオを分岐させて想定しておけば、
問題が発生しても事がスムーズに運ぶ。


と言いつつも、
タイの6ヶ月のビザ取得に失敗した時に
次の予定を何も考えていなかったように、
問題が起きてもその場で対応できるという油断から
何も考えていないことも多いのだが(苦笑)。

大きなダメージさえ負わなければいいだけなので、
そうしたリスクだけ見極められれば
細かいことに神経をとがらせる必要はない。

そして、経験を積んできて感じるのは、
細かいことに分類される事柄が年々増えていること。

重要なことは意外に少ないし、
思っている以上にどうでもいいことを
以前は過剰に気にかけていただけだったと感じるようになった。


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