一般的に、大人の時間の使い方としては、隠れ家のような店でゆっくりと羽を伸ばすとか、お金をかけながらこだわった趣味を持つといった意味で使われることが多いように思う。
つまりは経済力を基礎にして、多少なりともラグジュアリーな時間を過ごすとか、あるいは経験を元にして若者とは一味違った趣向を凝らした楽しみをすることで、大人の時間と表現しているように思える。
しかしながら私が思う大人の時間は、全く定義が異なっている。
それは小手先の限られた時間をどう過ごすかということではなくて、人生におけるライフプランを根底から見直すところにポイントがある。
自分でスケジュール管理ができること
学生時代であれば親の扶養に入っているわけだし、管理下に置かれるのは仕方がない。学校もあるし、人によっては部活に入っていたり、習い事があったりと、なかなか自由に予定を管理することはできない。
しかしながら、成人して自分で生計を立てることができるようになれば、そういった制約がなくなる。
もちろん多くの人はサラリーマンになるわけなので、出社時間も帰宅の時間も、主に会社に縛られることになる。
名目上の出社時間さえ守っていればいいという職場は稀なので、事実上の出勤時間とか、退社の時間も日によってまちまちとなる。
しかしながら、それが理想的な大人の姿なのかと言うと、私はそうは思っていない。
以前にサラリーマンをしていた頃も、こんな生活を40年も続けるのはうんざりとしてしまい、独立することしか考えていなかった。
その夢が叶って7年以上が経つが、独立してからは自ら全てのスケジュールを管理することができるので、大学生の頃よりも、時間の面において明らかに自由になっている。
それは仕事を適当にさぼるという意味ではなくて、プライベートと仕事という両極端に分ける必要もなく、二つがそれぞれ融合しているから。
遊びの部分で得た経験が仕事のアイデアに結びつくことも多いし、海外に出て気に入ったカフェや図書館で仕事をしていると、それ自体が楽しみになる。
そういった意味で、仕事と遊びの境界線はどんどんうやむやになってきて、スケジュールも分断する必要がなくなった。
そのため、唐突に友人から誘われて、その日のうちにバンコクからホアヒンという車で片道4時間かかるビーチリゾートまで移動して5泊してきたり、マレーシアに住んでいる頃も、急にマカオに行くことになったり、そういったことが普通になった。
これが私の思う大人の時間の使い方で、週末の3時間だけ工夫して寛ぐとか、そういったことは大人でも何でもなく、ただ単に不自由な生活を送っている人が、いかにしてストレスを溜め込まないように生活習慣を作っていくかということに過ぎないのではないかと感じる。
大人だから不自由な働き方をするのではなく、むしろ大人だからこそ自由に自分の責任の元で、ライフプランを選択し実践していくというのが、本来あるべき姿なのではないかというのが私の考え方。
誰が人生をコントロールするのか
コントロール不全は、人間にとって大きなストレスになる。会社から収入や生活の全てを与えられていると思えば、将来に不安を感じるのは当然のこと。
自分の人生でありながら、誰かに首根っこを掴まれていて、楽しいはずがない。
そういった意味で考えても、いかにして自分が人生をコントロールする立場になるのかは、とても重要な意味を持つ。
逆に仕事でまだ大きな結果が出ていなかった頃でも、人生をこれからコントロールしていくことができるという自信を持って独立したので、不安よりも希望の方が大きかった。
これはサラリーマン時代には得られなかった感覚。
大人として、時間を有効活用していくということは、限られた人生を自ら選択して、良い結果も悪い結果も引き受けて生きていくことでもある。
ほとんどの人は既製品のようなライフプラン、それもすでに破綻しかかっているライフプランをなんとなく選んでいる。
実際には選択の結果というより、周囲に流された結果としてそのようなレールに乗っていることが多いと思うが、定年までの時間を40年として考えると、人生の半分は在職中に終わってしまうことになる。
今20代の人であれば、もしかすると定年の年齢も70歳前後に引き上げられている可能性もあるので、そのくらいの年齢まで、望んでいるわけでもないライフスタイルで過ごしてしまうことになる。
そのリスクは、非常に大きい。
大人だから我慢が当然という、どこから湧いて出たのかわからない根拠不明な常識に従う前に、それを押し付けてきた誰かのライフスタイルが理想的であるのか、あるいは尊敬できるのかという視点で、一度考えてみた方がいいだろう。
世の中の常識や多数派と異なっている道を平然と選んで進んで行くのも、大人だからこそできる選択。
そこには責任やリスクが伴うし、だからこそ価値があるとも言える。
時間の使い方は、そのまま人生の質を決めることになるので、適当に扱うことはできない。
しかし、日々の些細な出来事に忙殺されて、本当に重要な生き方とか、ライフプランを軽視してしまっている人があまりにも多いのは、残念な限り。
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