マレーシア、ジョホールバルに住んでいた時に、
旦那さんを日本に残して3歳と5歳の娘を連れ、
母子だけで親子留学してきた一家がいた。
私がマニラに移住した後も、
彼女たちはマレーシアで生活している。
まだ子供たちが幼いため、
親子留学も簡単ではなかったようだ。
長女はマルボロカレッジという名門校に入れたものの、
次女は年齢的に他の学校を探さなければならず、
ジョホールバルにある様々な学校を見学していた。
現地学校やインターナショナルスクールなど、
様々な学校がある。
学校によって学べる言語も変わってくる。
その一方で、母親はマレーシアで仕事を始めたため、
そちらの時間も作る必要がある。
旦那さんも時々はやって来ていたものの、
基本的には母子3人だけで生活を切り盛りしなくてはいけない環境。
必然的に子供を預けるメイドが必要になるものの、
当初は思うように見つからなかったし、
契約後も勝手に休みに入ってしまったりして困っていた。
私のように単身で勝手にマレーシアに移住したのと異なり、
母子で親子留学という形になると
教育や医療の問題もしっかり押さえなければならない。
どの学校に入れるかを考えるのはもちろん、
その教育内容をしっかり検討しておかなくては
何のために移住してきたのか分からない。
学校によって、使用する言語も違う。
日本人学校に入れるのか、
マレーシアの現地の学校に入れるのか、
(学校によってマレー語や英語、中国語を使用)
インターナショナルスクールにするのか。
選択肢が多い上、教育内容も大きく変わる。
医療についても、
大人と違って子供は体調を崩しやすい。
さらに予防接種の問題もある。
私はほとんど手続きなしで、
国内で引越しをする程度の手間で移住できたが、
親子で移住となるとそうはいかないというのが
見ていてよく分かった。
ただ、そんな困難も乗り越え、
母親は仕事も軌道に乗せているし、
休日には子供との時間も作れているという。
メイドもいるので、家事に割く時間は不要。
子供の面倒も1日見ていてもらえる。
これは大きな助けになっているという。
当初はメイド探しに苦労したものの、
うまく流れができれば快適な生活を送れるという話だった。
子供たちも親が驚くほどのスピードで英語を身につけ、
いつの間にか他の子供たちと仲良くなっているという。
マレーシアの場合は多民族国家なので、
日本人が入っていっても見た目的には浮かない。
そういったこともプラス材料になっているのだろうが、
子供の順応力はやはりすごい。
そして、子供を連れてマレーシアに移住してきた人から聞くのは、
子供がのびのびと生活できるようになったということ。
子供らしさを取り戻したとか、
活き活きしているとか、
そういう話をよく聞く。
日本だと周囲に気を使ってしまうのが、
マレーシアの南国の自由で開放的な雰囲気の中では
気にせずに過ごせるのかもしれない。
この母子を近くで見ていて感じたのは、
やはり親子で留学してくる時の情報は不足しているということ。
そして、情報が足りないことが子供たちにとっても
大きな負担をかける結果になってしまう。
子供が自分で行動できる年齢ならともかく、
幼稚園や小学校ぐらいの年齢の場合には、
やはり海外に出たら頼りは親。
その親自身が右も左も分からない状況というのは
教育上も望ましくはないだろう。
理想の教育環境を求めて移住してきたのに、
結果的にはなかなか学校に行くこともできなかったり、
妥協して適当な学校にしか通えないのでは意味がない。
中国とセブの親子留学の例
中国は一国二制度と呼ばれる仕組みを
いくつかの街で用いている。
たとえば香港やマカオ。
これらは入出国においては、中国本土とは別の国扱い。
実際、イミグレーションを抜けないと出入りできない。
そして、中国はビザなしで14日滞在でき、
マカオや香港も含めた海外に一度出国すれば
期限がリセットされる。
たとえ日帰り旅行であっても。
この仕組を利用してマカオの隣のジュハイや、
香港の隣の深センに住んでいる人もいるが、
私の友人夫妻もそうだった。
小学生の息子に中国語を覚えさせるため、
一家3人でジュハイへ親子留学。
私が彼らと出会ったのは、この時だった。
それからも何度か会ったが、彼らはセブへと移住した。
セブでも一度会ったが、その時には子供が英語を覚え、
すでに両親よりも話せるようになっていたと聞いた。
ただし、日常で使わなくなってしまった中国語は
記憶から徐々に消えていっていたので、
危機感を覚えてセブに来て9ヶ月ほどたってから
香港に旅行に行ったらしい。
子供にできるだけ現地の人と話させ、
かつての記憶を取り戻させることに成功したと言っていた。
この夫妻の親子留学の目的の主軸はどうやら語学で、
今後はスペイン語も学ばせたいと言っていた。
すでに日本語・中国語・英語のトリリンガルだが、
4カ国語を話せる人は何と言うのだろう?
日本人としてはかなりレアな存在だが、
それぞれの言語の維持もなかなか大変そうだ。
とは言え、すでに場所の自由を得て
働き方も住む国も選べるプログラマー夫妻なので、
その時の状況を見て柔軟に対応できるという強みがある。
ガチガチに設計された計画通りに進んでいくのもいいが、
予想を越えた事実が出てきた時に対処できない。
子供の気持ちがどうなっていくかも
あらかじめ読めるものではないので、
こうした柔軟な親子留学も面白いだろう。
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