東南アジアの物価が安いと感じる場面を在住者目線でピックアップ

これまでにマレーシアとフィリピン(マニラとセブ)で暮らし、
現在はタイのバンコクに住んでいる。
(東南アジア以外だと台湾にも住んだ)

東南アジアの物価は移住者としても感じてきたし、
各地に旅をすることで旅行者としても観察してきた。

ジャカルタに約一ヶ月滞在したり、


3ヶ月の観光ビザを取得して
ベトナム中部のダナンやホイアン、フエで
80日以上過ごしたり、


滞在期限ぎりぎりまでいることが多いので、
自然に物価にも目が行く。


この数年でも、
東南アジアは物価の上昇が進んでいる上、
一時期の円高が終わったことによって
為替の影響でも円換算で物価が高くなったと感じる。

私自身、東南アジア暮らしが始まってから
1ドル80円のタイミングを経験したため、
あの頃に比べると各国の物価は高く感じる。

とは言え、まだまだ日本に比べて
コスト面での優位性を持っている部分が多いので、
東南アジアの物価について見ていきたい。

まずは、安さを感じる場面について。



マッサージや美容院

人件費の安さが目立つことが多い東南アジアにおいて、
マッサージや美容院のような人件費が大きなウェイトを占める業態は
安さを特に感じるところ。

たとえば、バンコクでタイマッサージを受ければ
1時間250バーツから。



チップを入れても1,000円を少し超える程度。

これが地方都市のチェンマイに行けば
1時間150バーツにまで下がる。

フィリピンのセブでもやはり1時間500円程度で
マッサージを受けることができる。


同じ東南アジアでも、
マレーシアは1時間50リンギット程度で、1500円ほど。

今はリンギット安なのでタイやフィリピンとの
価格差があまり見られなくなったが、
リンギット安になる以前は倍近い差があった。


美容院の場合は格差が激しく、
フィリピンではカットが50ペソ、およそ110円程度のところも。

これは完全に現地の人向け。

マニラの高級モール、グリーンベルトに入っている美容院で
カットが1,500円もしないところもあるし、
5,000円を越える店も。

狙っている階層によって大きく価格差が出てくる。


シンガポールでは路上で髪を切っている光景も見かけたが、
並んでいるのはインド系と思われる人ばかりだった。

外国人と現地人の差も含め、
格差の激しい東南アジアらしく
美容院の価格はピンキリだが、
外国人がそれなりに安心して切ってもらえる美容院だと
1,000円台から2,000円台程度のことが多い。

こだわる場合は、日本と同等程度の料金になる場合も。



タクシー等の交通手段



東南アジアでは日本のように市内交通が発達していない上、
タクシーが安いので頻繁に利用することになる。

たとえば、バンコクだと初乗りが35バーツ(約140円)。

クアラルンプールは3リンギットで約90円。

マニラが30ペソで70円。

ジャカルタが6,500インドネシア・ルピーで50円。

シンガポールが3.2シンガポールドルで260円。

シンガポールが頭一つ抜けているが、
東京が700円程度なのと比べると圧倒的に安い。


もっとも、タクシーの運転手がトラブルを起こすのは
各国に共通している傾向。

個人的には、マレーシアが特にひどく、
ベトナムやインドネシアも評判が悪い。

マレーシア在住時には、
運転手が不当に料金を上乗せしてきたり、
ぼったくり価格を提示されたので乗らなかったら怒鳴りだし、
何度も身の危険を感じたことがある。

なお、クアラルンプールやペナン、マニラでは
メータータクシーに乗っても
法定料金だけで乗ることはなかなか難しい。

特にペナンの場合は。

そのため、実際は上記の正規料金よりも
上乗せされることが前提になる。


その一方で、シンガポールは比較的トラブルが少なく、
東南アジアではタクシー代が高めではあるものの
安心感を考えるとコスパは悪くない。

また、シンガポールは面積が狭いため、
長距離になることがないことも好材料。



フルーツの安さ


やはり熱帯の国々なので、
東南アジアでは果物が安い。

中玉のスイカがバンコクでは50バーツ程度と、
200円もしない。

ドラゴンフルーツがキロ70バーツ。

他にもバンコクではフルーツをカットした屋台を
街中のあちこちで見かける。



こちらは1袋20バーツ、約70円程度。


マレーシアやベトナムもタイと同程度の価格だが、
島国であるフィリピンは割高なものが多い。

マンゴーとバナナ以外のフルーツは
周辺諸国よりも高くて物が悪い。

なお、マニラでマンゴーを買うと、
キロ110ペソ(約230円)程度。



東南アジアでホテル代が安い街


ホテル代は街による差が大きいが、
首都クラスの街としては
バンコク、クアラルンプール、ホーチミンが安い。

これらは4つ星ホテルでも6,000円台から
泊まれることもある。

ベトナムは地方になると、
さらに料金が下がり、
ダナンやホイアンは中級ホテルに3,000円台で泊まれる。

タイのチェンマイやチェンライも同程度。


一方、ミャンマーのヤンゴンは
バンコクの倍近いホテル代となっている。

必ずしも経済力やインフラの整備具合と
ホテルの価格が一致していないことの好例だろう。



アジアの中で物価の安いリゾートと言えば

ビーチリゾートで安い場所となると、
前述のベトナム中部、ダナンやホイアンが挙げられる。

これらはダブルベッドの中級ホテルが3,000円台からで、
一人で泊まっても2人で泊まっても価格は変わらない。

なお、ホイアンはランタンが美しい旧市街が有名だが、
タクシーで10分も走ればクアダイビーチやアンバンビーチがある。

以下はアンバンビーチの画像。


他の国のホテルが安い地方都市は海がないことが多く、
バリやセブ、プーケットのような
東南アジアを代表的するリゾートはダナンの倍以上。

それでも日本に比べると割安な価格で過ごせる。

たとえば、バリの5つ星ホテルで見ると、
Hilton Bali Resortが一泊12,806円、
Visesa Ubud Resortが16,025円となっている。


ダナンやホイアンは東南アジアのリゾートの中でも安いが、
同じベトナムのニャチャンの場合には
InterContinental Nha Trangが12,556円、
Vinpearl Discovery 1 Nha Trangが16,383円と、
プーケットやバリと大差ない。



10万円で悠々自適ぐらしは年々困難に?


旅行者としてよりも、
在住者としての方が東南アジアの物価上昇は強く感じる。

その典型が家賃。

バンコクで日本人の多いスクンビット、プロンポン、トンローの
駅から徒歩圏内で住もうと思えば、
一人暮らしでも家賃は10万円を越える。

この価格では、
かなり古い物件で妥協せざるをえないレベル。

もちろん立地を犠牲にすれば
もっと格安な物件が大量に見つかる。

とは言え、東南アジアの多くの首都において、
この程度の価格が賃料の標準になっている。

つまり、日本の地方都市に住むほうが
相対的に割安感がある。

もっとも、家具・家電付きであり、
さらに24時間警備員が常駐していたり、
プールやジムが付いていたりするので、
家賃だけで比較するのはフェアではない。


とは言え、新興国の物価が上昇するのは当然のことで、
月に10万円で暮らそうという考えであれば、
選択肢はどんどん狭まっていく。

実際、タイ居住者でもバンコクからチェンマイに移り、
さらにコストを下げるために
イサーンと呼ばれる東北の地方行きを検討する人も。


また、各国のビザ制度の動向を見ていても、
ハードルを上げようとする方向が見え隠れする。

国が豊かになっていけば、
移住してくる外国人の基準も上がっていく。

この傾向が顕著なのがシンガポールで、
富裕層や高度人材以外だと簡単にビザが取れない。

シンガポールは周辺国に先駆けて急激に発展したが、
節約のために東南アジアに移住するためには、
行き先が限られる時代がもうじきやって来るだろう。


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