メルマガ読者殿の来訪

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嵐のように現れ、嵐を残して去っていった人だった。

半月ほど前に受け取ったメールによると、私がマレーシアの首都、クアラルンプール在住と思い、メルマガを読んで会ってみたい、ということだった。

名古屋で自ら賃貸業を経営し、色々トラブルがあって人生の方向を見直していることがメールに書いてあった。そして、私がクアラルンプールよりはるか南に下った最南端の街、ジョホールバル在住であることを告げると、彼はクアラルンプールから足を伸ばしてやってくるということだった。

そして、待ち合わせ場所のマクドナルドで朝食を取り、仕事をしながら待っていた。朝だったため、カフェだと閉まっていたりするので、とりあえずマクドナルドで落ち合い、そこから近くのカフェに移動。

メールの文体から、何となく線の細い色白な男性かと思っていたら、実際は坊主に近い短髪と、筋骨隆々とした体つきの40代の方だった。イメージと違ったため一度見かけた時にはスルーしてみたが、声をかけたら、やはりそうだった。


話を聞いてみると、今後東南アジアに移住したいと思っているらしく、クアラルンプールで職探しのために求人に応募したりしているということだった。過去にオーストラリアでビジネスをしていたこともあるという話なので、現在伸びているマレーシア等でも可能性は十分ありそうだが、ビザを取らないと現地での労働ができないため、今は職探しに苦戦しているという話だ。

取りあえず、これまでに1年半住んでみたジョホールバルの感想・現地事情を始めとして、これまでに行ったジャカルタやバンコク、クアラルンプールの発展度や人件費について、私の知っている範囲の情報は提供した。

とは言え、やはりリアルビジネスにおいて海外で職を探すのは容易ではない。今回お会いした方についても、日本やオーストラリアにて自分でビジネスをやっていた経験があるとは言え、今探しているのは人に雇われて働き口を見つけるのが前提。そうなると、企業はビザの関係もあるので日本人を簡単に雇用できない部分がある。

それでも、今回の方はおそらくうまくいくだろう。それはバイタリティが人よりもずっとあることが、話している様子からも、職を探すために取ってきたこれまでの行動からもうかがえたため。高望みをしている様子でもないので、無事に職を見つけられるのではないかと思う。

ただ、一般的には海外での職探しは簡単なことではない。わざわざ東南アジアで現地人よりもずっと人件費が高く、ビザを取るための手続きも煩雑な(国によっては日本人にビザを出すため、4人の現地人を雇わなければならないことも)日本人を雇うのは、企業としても慎重なため。


第一線で経営に携わってきた人が海外に移住を考えているというのは、現代の世相を映しているだろう。私がどのような手法で稼いでいるかをお伝えしたが、しきりに「それ、いいですね!」という言葉を繰り返していたのが印象に残っている。たしかにネットで稼ぐのなら就職先を探す必要はないし、どこにいても稼げる。社会人経験も問われない。

1時間ほど話した後、彼はクアラルンプール行きの長距離バスに乗るため、タクシーで去っていった。この1時間のために、朝一でクアラルンプールからジョホールバルのセナイ空港まで来て私との待ち合わせ場所に向かい、終わったら慌ただしく長距離バス乗り場にタクシーを走らせて、日帰りでクアラルンプールに戻っていったことになる。

これだけの行動力がある人も珍しいが、それゆえにつかめるチャンスも多そうだ。

彼が去った後、嵐がやってきた。無事にクアラルンプール行きのバスには乗れたのだろうか?



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