シンガポールは富裕層の海外移住先として人気の国。
その理由は、金融立国であり、個人情報の保持が厳格なオフショアという一面と、所得税や法人税が安いこと、先進国で環境が整っているということがある。
他のアジアの国の場合、たとえ首都でもキレイに整備されていない部分がある。しかし、シンガポールは下手な先進国よりもずっとキレイだし、新しい建物が多いため、同じ大都市の香港に比べても見た目では勝る。
治安面においても、東南アジアで屈指なのはもちろん、世界的に見ても安全な部類に入る。犯罪の影に怯えずに安心して暮らせるのはポイントが高い。
食事には困らない生活環境
シンガポールに海外移住する場合には、日本食レストランに困らないという利点もある。本格的な和食だけではなく、有名ラーメン店もこぞって出店している。
たとえば、チャンギ空港に到着すると一風堂、らーめんチャンピオン、景勝軒に迎えられる。
他にもオーチャードにはうま馬らあめんや蟹王、一風堂、横浜家系ラーメン・町田商店、三宝亭、大黒屋等が名を連ね、他にも麺屋武蔵・鷹虎、麺屋武蔵・二天、麺いち等もシンガポールに出店している。
東京の24番目の区と呼ばれるほどに日本人が多く、デパートなら高島屋や明治屋もあるし、紀伊国屋書店もある。
もちろん、フレンチやイタリアンなど、洋食系も充実している。物価は高いが、その点さえ問題ないのであれば、不自由なく暮らせるのがシンガポールという国だ。
物価は東南アジアでも特に高い
シンガポールは物価が高い。たとえば、オーチャード等の中心部から外れた1LDKの部屋で家賃30万円というのもザラ。移住先として考えるのであれば、決してハードルは低くない。日本の大部分の都市よりも生活コストが上がることは覚悟しなくてはならない。
現地のシンガポール人、あるいはシンガポールで働いている外国人にはルームシェアをしている人も多い。
一人では部屋を借りられないため、それぞれにお金を出し合うのだ。海外移住をするに当たり、こうした選択肢もあるにはあるが、トラブルが起きるリスクも無視することはできないだろう。
ホーカーズと呼ばれる低料金の食堂もあるので、こうしたところで食事を済ませれば1食300円程度で済ませることも可能。
この辺は東南アジアの価格設定だが、一般的なレストランに行けば先進国と変わらない料金を取られる。
毎食をホーカーズで済ませるぐらいなら、何のためにシンガポールに移住するのか分からないので、それなら家賃も安い他の国に行けばいいだろう。
ある程度シンガポールの魅力を享受しつつ移住生活を送るのであれば、一人暮らしでも月に70万円程度は必要だろう。これは収入ベースの話ではなく、支出ベースの話で。
そのため、収入が月に70万円あっても、資産構築に重点を置いている時期には、シンガポールに住むメリットは、税制面を除けば小さいように感じる。
物価の高さはシンガポールで暮らす上で小さな問題
一般的に言って、物価が高騰している国は住みづらい場所となり、移住においてはデメリットとなる。
たとえば、北欧やオーストラリアは自然への配慮が行き届いており、さらにスウェーデンやデンマークは社会のシステムも先進的なことで知られる一方、生活コストの高さも取り沙汰される。
しかし、シンガポールの場合は必ずしも大きな問題ではない。なぜなら、タックスヘイブンであり、節税メリットを売りにしているため、移住者も富裕層の割合が高いから。
言い換えると、生活費の高さで移住を戸惑う層をシンガポールは取り込もうとしていない。すでに、そうしたフェーズは終えている。
そのため、生活費が高くても、余りある税制のメリットを享受できる層が移住してくるし、シンガポール側としてもそれを望んでいる。これはビザの条件等を見ても分かること。
たとえば、5年間の滞在許可を取れるロング・ターム・ビジット・パスの場合。
50万シンガポールドル以上(約4,100万円)以上の不動産を購入し、かつ40万シンガポールドル以上を現地の銀行に預け入れるか、月々の収入が7000シンガポールドル(約57万円)以上であること等を満たす必要がある。
この条件を満たしても、5年間住めるだけ。
節税メリットの恩恵を受けられなかったり、生活費に余裕がないのなら、他の国に住んで、シンガポールに旅行に行くほうが生活の質が上がるのではないかと。
マリナベイサンズも、すぐ近くにあるガーデン・バイ・ザ・ベイも旅行で訪れるぐらいで十分だった。
観光気分で訪れるだけで十分なのは、ナイトサファリやラッフルズホテルのアフタヌーンティーにも言える。
シンガポールはお金さえあれば住みやすい国。これは間違いない。
その反面で、物価はアジアの中でも屈指の高さになってしまっているため、移住する上でハードルの高い国であることも事実。
シンガポールに住みたいとは思わない
タックスヘイブンや資産フライトの先として注目されるのがこの国だが、それ以外の面での魅力はそこまで大きくない。
航空においても東南アジアで力を持つ国のため、LCCのscootやシンガポール航空を擁し各国に行きやすいという魅力が指摘されることもあるが、そもそもの立地が便利とは言えない。東南アジアの中でも南の端に近く、中心からは程遠い。
歴史や文化も豊かというほどではなく、あくまで近年台頭した国にすぎない。国土も東京23区程度しかなく、遊ぶ場所も限られる。となると、タックスヘイブンとしての利用をしないなら、シンガポールに移住するメリットは大きくない。むしろ、バンコクやマニラの一部エリアだったり、北米やヨーロッパの方が価値を感じる。
法律の変更が頻繁で、生活環境として安定しないという問題もある。特に外国人にとっては、ビザの更新ができなくなると生活の基盤が根底から覆される。
シンガポールの物価を考えると、他にも同様の生活費で住める国は無数に存在する。ビザが取りやすい国でもないため、わざわざ頑張って住みたいとは思わなかった。
ジョホールバルというシンガポールの隣町に住んでいたこともあるが、国境の向こう側に住みたいと思うこともなく、バンコク等へ旅行する時にチャンギ空港を使うためにシンガポールを通る以外は、何度か遊びに行っただけ。近くにあっても、そのくらいの扱いだった。
マレーシアはシンガポールの代わりになるか?
シンガポールはマレーシアから独立した国だし、今でも唯一陸続きの隣国ということで、比較的性質が似ているのではないかという仮説が成り立つ。
多民族国家であることも共通している。宗教については、マレーシアはイスラム教が主流なのに対し、シンガポールは他宗教ながら仏教がもっとも多いとされている。その割合は統計によってかなりの差があり、最多の仏教が50%を越えるという資料もあれば、30%台とするものもある。
なお、シンガポールの仏教寺院としては佛牙寺、龍山寺、観音堂、千燈寺院、シアン・ホッケン寺院等があり、イスラム教のモスクとしてはマスジッド・アブドル・ガフォー、スルタン・モスク等が、ヒンドゥー教寺院としてはスリ・マリアンマン寺院やスリ・クリシュナン寺院、スリ・バダパティラ・カリアマン寺院等がある。
実際にマレーシアに、それもシンガポールに隣接するジョホールバルに移住して2年以上を過ごしたが、シンガポールと性質は似ていない。発展度は桁違いだし、向いている方向性が同じかも疑問が残る。
たしかに旅行で訪れたぐらいであれば、多民族の人口構成もなんとなく似ている感じは受ける。イスラムのマレー系、インド系、中華系を中心にした構成であることは両国とも同じ。
しかし、シンガポールという既に洗練された小さな国、ある意味で1つの都市に対し、人口密度が低く、国土に対して人が圧倒的に少ないマレーシアの環境は別物。ジョホールバルにしても、仮に国家プロジェクトのイスカンダル計画がうまくいったところで、妙に広大なエリアにポツポツと集落が点在する図式に変更はない。
実際のところ、イスカンダル計画は成功したとは言い難い経過をたどっているし、その後に出てきたフォレストシティについてもマハティール首相が待ったをかける等、街としての発展に暗雲が立ち込めている。
治安の悪さを考えても、ジョホールバルがシンガポールの代わりになるとは考えがたい。
シンガポールに移住できないから代わりにマレーシアということであれば、クアラルンプールが比較的性質としては近いということになるが、同一視できるかと言えば、こちらも厳しいのが実際のところ。
そもそもクアラルンプールからシンガポールまで行くなら、陸路での移動は時間がかかる。
長距離バスであれば約5時間、マレー鉄道なら走行速度が遅いので7時間ほどかかる。あまり手軽とは言えない。現実的には飛行機を利用することになるだろう。
そうなると、クアラルンプールに住んで時々シンガポールに行くのも、たとえばバンコクに自宅を持って時々シンガポールに行くのも大差ない。
こう考えていくと、シンガポールの代替手段としてマレーシアを選ぶのは疑問が募る。
結局、私はマレーシアに住んでいる時にMM2Hというビザを取ったが、今はタイランドエリートに加入し、バンコクに住んでいる。シンガポールまで2時間半のフライトで行けるし、地理的に東南アジアの中心にあるため、様々な国に行きやすい。
海外に移住するのは本当に難しいのか?
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