南の島暮らしを半年以上体験して痛感したこと


海外の2つの南の島暮らしを経て、いろいろと見えてきたことがある。

現実とイメージの間には大抵の場合ギャップがあるものだし、これは生活というレベルでみると、無視することができない。

いきなり移住しても悪い意味でのギャップに苦しむことになりかねないし、ここでは実際の体験として得ることができた情報を書き残しておこうと思う。

まず前提として、私は元々南の島暮らしとは縁がない人生を送ってきたし、日本にいるときには東京やその近辺を拠点として活動してきた。

関東圏から離れて暮らしたのは海外に移住した後のことで、マレーシアやフィリピンに住んできたが、今回暮らした南の島というのは、フィリピンのセブ島とボホール島の2カ所。

フィリピンは最初にマニラにあるマカティというエリアで一年住んできたが、ここは新興国の首都のなかでも商業エリアなので発達した大都市となっており、島暮らしとは程遠い場所となる。

同じ国であってもビルが乱立し、エリアによっては先進国の振興開発地のように整然としている。

そんな私がセブ島とボホール島という2つの南の島に暮らしてみて、何を感じたかをまとめてみよう。


未開発の島暮らしで見えてきたこと


ボホール島の場合は最初は2泊くらいのつもりで行ったのだが、ホテルを連泊しているうちに、いつの間にか一か月半という期間になってしまった。

もともと会社に通勤するわけでもなく、自分で仕事をする場所を自由に決めることができるので、この期間も別に休んでいたわけではなく、仕事はいつも通り続けていた。

そもそもホテル暮らしをしていた時期だったので、ボホール島やその隣のパングラオ島に宿泊しているときも特別というわけではなく、ただ気に入ったのでそのまま長居することになった。

どのくらい居心地がよかったのかというと、クアラルンプールへの航空券を破棄したのがわかりやすい指標だと思う。


2泊のつもりが1ヶ月半滞在


本来は2泊か3泊でセブ島に行って、そこからクアラルンプールに飛ぶ予定だったが、あきらかにボホール島のほうが居心地が良いのでそのまま残ってしまった。

ここはビーチリゾートと熱帯雨林等の緑を両方楽しむことができる島で、フィリピンのなかでもまだそれほど開発されているわけではないし、知名度もそこまで高くはない。

しかしながら、ボホール島と隣接しているパングラオ島で国際空港が建設されていることもあり、今まさに道が整備されたり、ホテルがどんどん建設されたりしている。

おそらく今後5年10年でどんどん島の様子は変わってくると思うが、私が訪れた段階ではまだまだ素朴でのどかな南の島という印象だったし、そこでの暮らしはまさに時間がゆっくりと流れていた。

ホテルによっては従業員も家族経営なのではないかと錯覚するぐらいに仲が良かったし、気軽に声をかけてくる。

そこらへんに野良犬や野良ヤギがいたり、新興国でありながら交通量も少なかったりと、フィリピンのなかでもマニラとはまったく違うおもむきをもっていた。

一方でパングラオ島のビーチ沿いはそれなりに観光地となっているので、夜になるとビーチ沿いに即席の店が並び毎日波打ち際を歩いて夕暮れどきにレストランへ行った。

食事をしている間に日が暮れて、帰り道は満点の星空を眺めながらホテルまでぶらぶらと歩いていた。


インフラの弱さは無視できなかった

空気もきれいだったし、美しい海もあるし、とてもよかったのだが、なにしろいまいち開発されていない島なのでインフラは弱かった。

多くのホテルが共有スペースでしかWi-Fiを繋ぐことができず、しかもそのエリアに蚊が出ることも多かったので、この点はなかなかストレスになる部分。

そしてもうひとつ問題だったのは、水があまりきれいではなくて、肘の内側によくわからない湿疹のようなものができてしまった時期もあり、これが水によるものだと断定することはできないが、原因としては十分考えることができる。

もちろん病院があるにはあるが、外国人が安心して入れるような病院なのか疑問もあり、そういった部分で移住して暮らすとなると、なかなか厳しいハードルがあると感じた。

また、一部のリゾートエリア以外は外国人の需要を見越して商品やサービスを提供しているわけではないので、そこらへんも実際の生活ではなかなか困るところ。

南の島だけあって、ほかの場所へ行くには交通の便が悪く、毎回飛行機か船に乗るしかない。

こういった部分は長期的にボホール島で暮らしていくことを想定したときに、なかなか低くないハードルだと感じた。

ひとまず今後の移住の可能性は残しつつも、一か月半経った段階でボホール島を後にした。


セブは島暮らしという感じがあまりしない


どうしても南の島暮らしというと美しいビーチや砂浜、さらにいえば緑に生い茂る木々といったものを連想しがちだが、セブ島生活ではそういった印象はあまりなかった。

こちらではボホール島のときのようにホテル暮らしをしていた時期も何度かあるが、コンドミニアムを借りて長期滞在もしてみた。

それ以前にフィリピンの永住権を取っていたので、期限は無制限で暮らすことができるし、その点の心配はすでにいらない状態が確立できていた。

そしてコンドミニアムを借りる時には、ビーチリゾート真っただ中にあるモーベンピックホテルのレジデンス棟も紹介されたのだが、結局は利便性も考えてセブシティの中心部近く、アヤラ・センターから徒歩3分ほどの位置にあるビジネスパークという所に住居を定めた。


近いようで遠いビーチ

ここからマクタン島の南部にあるビーチリゾートエリアまではタクシーで30分程なのだが、実際には早朝でもない限り渋滞に巻き込まれるので、倍以上の時間がかかることが多い。

またコンドミニアムの窓からわずかに海を眺めることもできるが、その部分の海はセブ島とマクタン島の間の部分で、大型の貨物船が行き来するエリアとなっており、いわゆるビーチリゾートではなくて、運輸のための商業港となっていた。

そして私の住んでいるエリアは、セブシティのなかでは比較的緑が多かったものの、セブシティ全体として考えると、こちらはフィリピンでも二番目の商業都市となっていて、決して緑が豊かなわけではない。



そういった意味では、いまいち島暮らしのイメージとはかけ離れているのが実際の所だった。

そもそもフィリピンは約7000の島からなる国で、そのうちの5000ほどは無人島だといわれている。

つまりマニラのあるルソン島も島で、一応はマニラ在住時も島暮らしだったといえばそうなのだが、もちろんそういった印象は全くない。

日本も島国ではあるが、東京に住んでいる人や大阪に住んでいる人が、自分は島暮らしをしているとは思わないように、マニラのあるルソン島で生活をしていると、そんな認識はまったくない。

セブ島にしても海がそこそこ近くにはあるので、一応は島という印象があるものの、思い描いている島暮らしとはまったく違う感じがする。

どちらかというと、やはりボホール島のほうが本来の南の島というイメージには近い。

ただし、ボホール島も観光地として注目を浴びているし、国際空港が建設されている最中だが、今の段階でもすでに国内空港はあるわけで、そこまで小さな島というわけではない。

それでもなお簡単に住める場所ではないという印象を受けたし、本格的にもっと小さな島でひっそりと暮らそうと思うとなかなかハードルが高い。

地域コミュニティに受け入れられる努力等も必要になるため、ちょっとした気まぐれのような感じで移住していくには厳しい印象。

もし仮にそういったところで生活するのであれば、腰掛け気分ではなく本格的に何年か住むというスパンで考えないと、苦労の割にはいまいち報われないかもしれない。


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