9年ぶりにブダペストを訪れてみて、ここは移住先としてとても魅力のある街だと感じた。
初めて訪れた時には、数時間の滞在でヴェネツィアからウィーンに行く途中に立ち寄っただけだった。
その時には夜行列車で疲れた身体で東駅に降り立ち、スーツケースを預けてしばしの観光を楽しんだだけだった。
海外移住者として次に住む街を探しながらの旅で訪れた9年ぶりのハンガリーは、随分と印象が変わっていた。
ブダペストは生活拠点として、かなり魅力的な街。
ヨーロッパにはビザ無しでは90日以内しか滞在できないという縛りがあるにも関わらず、結局ブダペストには1ヶ月の時間を割く程に魅力を感じたのだが、ここにきて治安の面において大きな心配事ができてしまっている。
というのも、この街は元々それほど治安が悪いわけではないが、2015年から大勢のシリア難民をはじめとした移民がハンガリーを通過している。
ハンガリー政府としては移民への受け入れに対して難色を示し、ドイツとの間で緊張が走ったり、国民の間でも移民増加にともなう負担を嫌う声や不安の声がささやかれている。
そういったことがあるため、外国人に対する嫌悪感や排斥感情がハンガリー人の間で高まっていないとも限らない。
これは別に国民全体の間に浸透した共通意識でなくても、観光客や移住者にとっては充分な脅威になり得る。
ごく一部の排斥主義者で住環境は悪化する
例えば100人に1人が外国人に憎悪を持っていたとして、それをあらわにするような人だったとすれば、充分すぎるほどに毎日の生活に影を落とす要因となりえる。移民や難民が流れ込むことによって地域レベルでの治安が悪くなるのは、もはやヨーロッパの中でも経済が強いイギリスやフランス、ドイツなどを見れば一目瞭然。
ハンガリーもそのような問題を今後抱えることになり、さらには現地の人と移民との間でのいざこざが増えれば、悪感情によってとばっちりを受ける形で、日本人であっても襲われたり罵倒されたりといった被害に会うことは想像に難くない。
当然ながら、ハンガリーの宗教を考えれば、イスラム教徒に比べて日本人がそういった被害にあうリスクは圧倒的に小さいが、それでも楽観視できない状況があるのが今のハンガリーの情勢だろう。
そういった意味で言うと、ブダペストに移住することを考えた場合、この点については慎重に考えておく必要がある。
治安面以外での移住先としてのスペックは高い
ブダペストというと、いまいち日本人の間では知名度が高くないし、名前は知っていても具体的に何をイメージするかといわれても、キョトンとしてしまうという人が多いと思う。
私自身も実際に訪れるまではそんな状態だった。
しかしながら、街を訪れてみるととてもヨーロッパ的で、パリにも共通する雰囲気がある。
ドナウ川を挟んで東側に当たるペスト地区は、観光地となっている部分も含め、比較的人口密度が高い。
それに対してドナウ川の西側にあたるブダ地区に関しては緑も多くどちらかと言えば一戸建てや住宅街が広がっているエリア。
どちらも魅力的なのだが、個人的にはブダ地区に住んでみたいと思う。
ホテルはブダ側とペスト側の両方のホテルを転々として、現地での暮らしも体感したかったのでホテルアパートメントに泊まったりもしてみたが、やはり利便性という意味で言うとペスト地区の方が魅力的な要素は大きかった。
しかしながら、ブダ地区の住環境としての魅力も捨て難く、歩いていても建物が美しいのとは別に、緑が溢れていて心が安らぐエリアだった。
日本人にとって嬉しいこととして、ハンガリーは温泉大国。
ブダペストだけで考えてもセーチェーニ温泉や、ゲッレールト温泉、ヴェリベイ温泉などがあり、日本の温泉や銭湯とはまた少し雰囲気は違うが、水着着用の上でプールに近いようなイメージの温泉につかることができる。
食べる楽しみに事欠かない
ハンガリーは食べ物が美味しく、東欧の例に漏れず甘いソースを肉にかけて食べる料理も多い。
私がこの国で特に気に入っているのは、プラムソースとブルーベリーを鶏肉の上にかけたものと、鶏肉とスモークチーズをベーコンで巻いてクリームソースをかけたもの。
リンツァー・トルタやキュルテーシュカラーチのように甘いものが美味しいのもポイントが高い。
それ以外もピザをはじめとしておいしい料理が満載なので、食生活という意味で言うと、ブダペストに移住する上で障害は全く感じない。
米料理も食べることができるので、米が恋しくなって苦しむこともなく、ビールやワインも美味しいので食道楽では申し分ない。
ビールだとArany ÁszokやSorproniが個人的には好きだし、ハンガリーと言えば世界3大貴腐ワインの一つ、トカイワインも有名。
トカイワインは甘く、チョコレートやケーキにも合う。
ブダペスト以外の候補も
ブダペスト以外にもハンガリーだと、トカイやエゲル、ジュール、ヘレン、ヘレンドなどの魅力的な街があるので、そういったところにも機会があれば住んでみたいとすら思っていた。
しかしながら今回の移民難民の問題もあったので、この辺りのことについてはかなり慎重に考え直す必要がある。
少なくとも、すぐにビザを取ってどうこうしようというレベルに落とし込める状態ではなくなってしまった。
逆に言えば、こういった問題が持ち上がる前に、ブダペストを満喫することができたのは幸いだし、ビフォア・アフターの両方を観察することができるという意味ではむしろ幸運だったのかもしれない。
海外に移住するのは本当に難しいのか?
日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。
同時に、
「英語が苦手で・・・」
「海外での部屋選びで失敗しないか不安」
「他の国での生活を想像できない」
「下見で何を確認したらいいか分からない」
「移住後の仕事やお金が問題」
等々の様々な不安や悩みも耳にする。
そこで、10年以上海外で暮らし、
4ヵ国に住んできた経験を凝縮した電子書籍、
『「いつか海外に住みたい」を手の届く現実にするための本』
を無料でプレゼントすることにした。
電子書籍の目次等も掲載しているので、
プレゼントページへどうぞ。
電子書籍のプレゼントページへ