ヨーロッパは物価が東南アジアより安い国が複数。ただし・・・




ヨーロッパと言えば物価が高そうというイメージを初めて訪れた10年前は持っていた。

北米と並ぶ先進国が名を連ね、文化の香りも色濃いエリア。

それは旅費や生活費も高いだろうと。


しかし、それは半分本当で半分嘘だった。

私が初めて訪れたのはロンドンだったが、この街の物価が高いのは事実。

ホテル代も食費も東京以上。

それでもシドニーやメルボルンに比べれば良心的だが、世界的に見ても相当なもの。

パブで食事をするなら、ランチでも2,000円は軽く越えていく。

また、ロンドンで中級ホテルに泊まるなら、一泊1万5,000円から2万円程度はかかる。

バンコクと比べると2倍から3倍程度の印象。


スイスや北欧のように、イギリス以上の物価の国もヨーロッパにはあり、世界でも有数にコストがかかる。

もちろん国民に対する福祉政策の違いとか、レストランは高くても食料品を買って自炊すれば安いとか、国によって様々な特色はあるにしても、これらの国は決して安くで滞在できるわけではない。

しかし、ヨーロッパはそんな国ばかりではない。


たとえばポルトガルの場合。

冬でも大西洋からの暖かい風が吹くおかげで温暖な国だが、旅行者の懐も温めてくれる国。

ポルトガル名物のイワシ料理に野菜の付け合せ、マッシュポテト等を付けても1,000円弱で食べられる。

ホテルもロンドンの半分以下。

バンコクやジャカルタの3割増しぐらいのレベル。

ミャンマーのヤンゴンよりもホテル代はずっと安い。

地方に行けば、中級ホテルに一泊3,000円台で泊まれるファティマのような街もある。

こうなってくると、ヨーロッパでありながら東南アジアよりも物価が安い気さえしてくる。

しかもポルトガルといえば、大航海時代には世界の覇者の栄誉にも輝いたことのある国。

今となっては存在感が薄れたが、少なくても一時期は世界の中心を称するにふさわしい国だった。

今でも居心地が良く、一時期は移住を考えていた国でもある。


ポルトガルはヨーロッパの西の端だが、そこから一気に逆サイドに目を転じてみると東欧がある。

たとえばチェコ。

首都プラハが有名だが、多くの観光客とあこがれの眼差しを世界中から集めている。

ビールでも有名な街で、バーでいっぱいのビールを飲んで100円行くか行かないか。

ピザ窯で焼かれたマルゲリータが500円程度から。

嘘ではないかと思うほど、ビールや食事が安い。

ホテル代も中級ホテルで6,000円程度から。

ヨーロッパは物価が高いという先入観を壊すのには十分過ぎるインパクトだった。


これはチェコに特有の事情ではなく、東欧においてはハンガリー・ポーランドはチェコとだいたい同じぐらいの物価になっている。

治安が悪化している印象は拭えなかったが、ルーマニアやブルガリアといった国もある。

東欧は全体的に旅費や滞在コストは安め。

ただし、クロアチアは周辺に比べるとドイツやオーストリアに近くなっている。



他にも南欧もまた物価は安めで、イタリアやギリシャがこれに該当する。

ただし両国は観光を主産業にしている国なので、旅行者にとってはイギリスやドイツよりは安いものの、東欧に比べると多少の割高感がある印象。


東南アジアよりもお金がかからない!?

どうしてもマスコミの報道等だと、古い話も多いし、一つの特長を極端に誇張して、面白可笑しくしたりもするので、東南アジア=物価が安いということで、移住先やリタイアメント先として、分かりやすい切り口で紹介するというのは、一般的な手法となっている。

それが誤解を生んでいるところもあるが、実際のところインフレが続き、東南アジアもそこまで物価が安くない。

更にヨーロッパの中でも、東欧やポルトガルのように、安い生活費で住むことができるところもある。

先程のハンガリーというのは、別に家賃だけが極端に安いわけではなくて、食費についても、肉料理と飲み物と、ちょっとした付き合わせの野菜等を頼んで、1000円ぐらいで食事ができたりとか、ケバブであれば300円ぐらいで食べられたりとか、非常に全体的な物価が安い。

これを考えてみると、もはや東南アジアのメリットというのは、単なる安さだけでは説明ができないことになる。

事実私も、東南アジアにフィリピンとマレーシア、合わせて3年間住んできたが、かかっているコストで言えば、ハンガリーに住んだ場合、あるいはポーランドやチェコ、ポルトガル等の国の選んだ場合と、変わらなくなってきた。

但し、ヨーロッパの場合、1つ問題なのは、アパートメントを借りることができても、ビザによって滞在の壁があるということ。

シェンゲン協定の加盟国であれば、半年の間で合計90日までは滞在できるし、この90日は一度に使いきってもいいので、実際今現在私が、東欧を回って、ポーランドにいるのも、この規定を使っているから。

だいたい今回は85日ほどの旅ということになる。

しかしこれでは、住むことはできずに、何らかの他のビザを取らなくてはいけない。

日本人の中で一般的なのは、駐在員や現地就労によって、労働ビアを取るということと、後は留学とワーキングホリデー。

この4つに絞られるので、私のように自分でビジネスを持っていて、どこに住んでも、それが影響を受けることなく、ただ単により良い居住環境を求めているという場合には、当てはまるものがない。

そうなってくると、他にどんなものがあるかということになって、調べて行くと、結局のところ投資ビザを取るというのが一番妥当なところ。

特に今現在は、ヨーロッパの金融危機によって、各国が打ち出した特別な制度が揃っていて、ハンガリーであれば25万ユーロの国債で、永住権が取れたり、スペインやポルトガルで50万ユーロの不動産を買えば、ビザが取れたりとか、他にも同様の制度をラトビアや、ギリシャ等が用意している。

しかしながら、日本人がこういったビザを取ることは非常に少ないらしく、そもそもサポートしているような業者もない。

そうなってくると、情報自体が不足している状態なので、なかなか取得が現実的ではないという事実もある。


物価と居心地のバランスの良い国


経済水準がある一定基準を下回ると、旅行者にとっての物価がろくに下がらないのに居心地は悪くなると感じる。

これはヨーロッパの場合にも言えることだし、東南アジアでも同様の傾向が見られるが、それを1人辺りGDP等で説明しようとすると地域差が見られる。

今回はヨーロッパの物価にフォーカスすると、基本的にチェコやポーランドよりも経済力が低い国というのは、旅行者にとってのメリットが薄れると感じた。

たとえば、ブルガリアは治安もいまいちだし、ホテル代等はチェコと大差ない。英語が通じず、移動も不便だし、ストレスがかかる場面も多い。

これはルーマニアにも言えることで、食事のまずさとブカレストの治安の悪さは特筆すべきものがあった。

現地の人の生活費は安いのだろうし、一人あたりのGDPで見ればチェコが17,256ドル、ルーマニアが8,906ドル、ブルガリアにいたっては6,831ドルと大きな違いがある。しかし、旅行者としては物価に大きな違いを感じない。

つまり、ヨーロッパに滞在する場合、チェコ・ポーランド・ハンガリーの経済力を割ったところからコストパフォーマンスが下がる印象。

東欧の中でも、上記3ヶ国が特に居心地が良いというのが、この数年、毎回3ヶ月かけてヨーロッパを旅して得た結論となる。



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執筆者、伊田武蔵
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