ジャパンレールパス(JRパス)が海外居住の日本人向けには廃止された



JRパス(ジャパンレールパス)は元々の目的は
外国人旅行者のために設けられた
料金定額での乗り放題の制度だったが、
永住権を持っている海外居住者である日本人も利用できた。

その制度が廃止されてしまった。

また、永住権がなくても、
外国人と結婚して日本国外に住んでいる日本人も対象。

私はフィリピンの永住権、クオータビザを持っているので
資格を満たしている。



JRパスさえあれば、
日本に一時帰国した時に
新幹線や一部の船も含めて乗り放題になる。

と言ってもすべての新幹線が対象なわけではなく、
のぞみやみずほは不可。

この点は要注意だが、
それ以外のこだま、ひかり、さくら、つばめ、はやぶさ、
はやて、やまびこ、なすの、つばさ、こまち、とき、
かがやき、はくたか、あさま、つるぎ等は無料で利用できる。

また、寝台車やグランクラス等は追加料金がかかるが、
一般の車両なら基本的にJRパスがあれば乗り放題。

ヨーロッパで発行されているユーレイルパスと同じようなもの。

そう言えば、ユーレイルパスには
初めての海外旅行でお世話になった。

最近は毎年ヨーロッパを周りつつも、
頻繁に移動するわけではないのでパスを購入することはなく、
その都度片道のチケットを買うようになったが。



JRパスの期間は3種類あり、値段は普通車とグリーン車で分かれる。

7日間の普通車用は29,110円、グリーン車用は38,800円、
14日間だとそれぞれ46,390と62,950円、
21日間だと59,350円と81,870円となっている。

7日用だったら、東京と大阪を1往復するだけで元が取れてしまう。

東南アジアで暮らしていると、
LCCの発達によって近隣諸国に
数千円で行けるのが当然になってしまっているし、
ヨーロッパに旅行に行っても高速バス等はとても安い。

対して日本の鉄道旅行の料金は割高に感じるが、
JRパスを使えばこの金額で乗り放題となるため
外国人旅行者にとっても物価の高さというハードルが
だいぶ和らぐことになるだろう。


JRパスを目的に外国人と結婚するという話はさすがに聞かないが、
それを魅力の1つとして海外の永住権を取る人は多かった。

日本を周遊するような場合には
新幹線やその他の鉄道を利用し放題ということで、
個別に乗車券を購入するよりも圧倒的にお得。

また、東京と名古屋、大阪、仙台等を
往復する用事がある人にも嬉しい制度。


私自身、クオータビザのメリットの一部として
やはり頭の片隅には置いてあった。

その制度が廃止となると、
海外居住者には影響が大きい。

と言っても、他の国に住んでいれば条件を満たすわけではなく、
永住権保有者か国際結婚しているかの
どちらかに該当する場合のみ。

その意味では、
日本人の中でも関わりがあるのは一部だろう。

幸か不幸か、私はその一部に入ってしまったが。



なお、JRパスの廃止は、2段階で行われる。

最初は2017年3月31日をもって、
日本人は引換証を購入できなくなる。

海外にある特定の代理店(JTBやHIS等)で
引換証を買ってから日本に入国し、
窓口で引き換えるのがルールなのだが、
この引き換え期限は2017年6月30日となっている。


もちろんこの廃止は海外在住の日本人向けの話で、
制度の本来の対象者である外国人には今後も適用される。

というよりも、これからは日本国外で
あらかじめ引換証を買う必要すらなくなり、
旅行に来た外国人が日本で購入できるようになるため
使いやすくすらなる。



日本人向けの販売終了の背景

JRパスを海外居住者が買えなくなった背景として、
2つの理由が考えられる。

まず、1つ目は外国人旅行者及びJRパスの購入者の増加。

訪日外国人の増加が、
JRパスの販売に貢献するのは一目瞭然で、
2014年と2015年を比較すると、JR東日本が発行したJRパスは
72%も増加したという。

2015年の販売数は59万4145枚、
2年前の2013年だと28万3532枚なので、
わずか2年で倍以上に伸びた計算に。

乗り放題という性質を考えると、
無制限に発行数を伸ばすことはできない。

そんなことをしたら、
満席になって本来得られた乗車券収入、
つまり普通に利用している乗客を逃すことになる。


JRパスは普通に利用するだけではなく、
指定席を予約することも無料。

そのため、乗るかどうか決まっていない状態で
とりあえず予約だけ入れておく旅行者も多いらしく、
そのために満席になってしまうという弊害も報告されている。

たとえば成田エクスプレスの場合、
空港の入国審査の列の長さ等で
乗る時間帯が変わってくる。

それを予期して、
あらかじめ該当しそうな時間帯の列車に
片っ端から予約を入れておき、
そのうちの最適な時間のものに乗るという手口。

かなり悪質なやり方だが、
こうした方法によって実際の乗車以上に
JRの収益体制を圧迫することになる。


ただでさえ、新幹線等の一部路線は
LCCや高速バスの台頭で
競争が激化している。

料金面で見れば、
新幹線は不利な立場に置かれている。

ここで顧客離れを起こしては元も子もない。

制度の趣旨を考えると、
外国人旅行者を対象から外すのは難しいし、
海外在住の日本人を対象外にするほうが無難だったのだろう。



日本人向け販売廃止の2つ目の理由として、制度の悪用が挙げられる。

上記の過剰な予約もそうだが、
他にもJRパスは悪用の噂が絶えなかった。

たとえば、外資系企業において
資格を満たした社員にJRパスを購入させ、
それを社内で使いまわすという手口。

本来は購入者本人しか利用できない規約になっているが、
実際には乗車のたびに本人確認がされるわけではないという盲点を突き、
こうした悪用をする会社が少なくないとは聞いていた。

出張にかかる交通費を節約する裏技だが、
ルール違反なので当然許される行為ではない。


そもそも同じ日本人でありながら、
住んでいる場所や永住権の有無、結婚相手の国籍によって
JRパスの購入の可否が変わるのも
不平等感がただようところで、
そうした不満も一部の利用者にはあったのだろう。

そう考えると、
海外在住者向けの販売をやめても、
大多数の日本人にとっては無関係なわけだし、
むしろせいせいするかもしれない。

廃止の対象とするには、ちょうどよかったのではないだろうか。

個人的には迷惑な話だが。



ただ、考えてみると、
フィリピンの永住権を取った後も、
JRパスを駆使していたかというとそんなこともない。

そもそも日本への一時帰国が頻繁ではない上、
用事を済ませたら終わりということが多く、
日本中を旅して周るモチベーションもいまいちなかった。

季節変動がある国は気候を読みづらく、
快適な季節に来たはずなのに暑すぎたり、寒すぎたり。

前回は冬になる前と思って11月に東京入りしたのに、
結局秋というより冬の気候だった。

新幹線や電車に乗り放題と言われても、
それより寒さから逃れたかった。


しかも私は忙しく毎日移動するより、
一箇所でのんびりしながら旅をする方が好き。

そうなると、JRパスがあっても
あまり料金面でのメリットを享受できない。

いざ廃止という話になっても、
おかげで冷静に受け止められた。

明日にも我が身に関わってくる問題というよりは、
将来に渡って保有していた選択肢の1つが
消えてしまったというのが、
今回の制度変更の受け止め方。

残念ではあるが、
仕方ないこととして受け入れるしかないだろう。


なお、こういった海外居住者向けのパスは
鉄道だけではなく空の旅でも用意されている。

そして、こちらも変更がしばしば。

たとえば、スターアライアンス・ジャパン・エアパスは
2015年8月24日に終了。

現状、ANAのビジットジャパンや
JALの国内線割引AIRパスは海外居住者向けに販売されているが、
JRパスに比べると存在感は薄い。

LCCに比べると特別安いわけではなく、
JALの国内線割引AIRパスだと日本入国・出国の往復航空券を
ワンワールド系列の航空会社で買っていないとだめだったり、
条件もややこしかったりする。



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執筆者、伊田武蔵
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