これまでフィリピンの首都マニラの中でも、中心部にあたるマカティにコンドミニアムに住んで借りたり、マレーシアで2年間に2つのコンドミニアムに住んできた。
他にもバンコクやジャカルタ、セブ等で不動産の視察をしてきたが、ヨーロッパのアパートメントの方が、場合によっては家賃が安い場合もあることに気付いた。
これは特定の物件の条件が明らかに劣っていて、金額が下がっているわけではない。
例えば、東南アジアで3LDKの部屋と、ヨーロッパでワンルームの部屋を比べて、そっちの方が安いと言っているわけではなくて、同じ程度の広さ、同じぐらいの内装のレベルであっても、価格が逆転している場合があるのが、面白い発見だった。
一般的にヨーロッパの物価というと、北欧やスイス、イギリス等を中心として、かなり割高なイメージがある。
パリのようにアパートメントが不足し、完全に部屋の貸し手が強い立場の街もある。
その一方、東南アジアと言えば、新興国ばかりで物価が安そうだが、実際のところは東南アジアも物価が上がってきて、外国人が普通に暮らすのであれば、かなり金額がかかるようになってきている。
例えば、私が以前住んでいたマカティやバンコク、それ以外ならジャカルタといった場所の中心部に住むのであれば、ワンルームのコンドミニアムであっても、安いところで5万円ぐらいから。
比較的新しくて綺麗なところであれば、7〜8万円は当たり前にする。
これが1LDKということになると、安いところで8万円程度からということになる。
しかしながら、先日視察してきたハンガリーのブダペストのアパートメントの場合、同じぐらいのクオリティで、さらに去年できたばかりの建物にもかかわらず、1LDKで600ユーロ、約8万円で借りられるということだった。
内装のレベルも両者変わらないので、これであればハンガリーの方がむしろ価値的には安いのではないかと思う。
何しろこの物件はまだ新築だし、このグレードやブダペスト中心部から5分程度の距離という立地を考えると、バンコク、マニラ、クアラルンプールのような町であっても、10万円程度は最低でもするはず。
そう考えると非常にコストが安い。
コンドミニアムとアパートメントの概念
コンドミニアムとアパートメントではレベルが違う感じがするかもしれない。
確かに日本人の感覚からすると、アパートと聞いた時に、木造で古びていて昭和の香りが脳裏に漂うかもしれないが、ヨーロッパで言うアパートメントは、日本で言うマンションも含んだ概念。
実際私が見てきた物件は、日本で言えば完全にマンションに分類されるもの。
こちらでは、マンションと表現した場合に大邸宅のことを指すので、一般の個人が住めるような部屋は、集合住宅だと全てアパートメントで一括りにされる。
そういった意味で、コンドミニアムと比べて、グレードが下がるのかと言えばそんなことはない。
コンドミニアムとアパートメントの使い分けは、国によっても異なる。
たとえば、フィリピンではコンドミニアムはアパートメントよりも高級な物件だが、タイではコンドミニアムは部屋ごとにオーナーが違い、アパートメントは一人または一社が一棟まるごと所有しているという所有形態の違いで分けられている。
アジアの方が有利な点
東南アジアの外国人向けコンドミニアムと、ヨーロッパのアパートメントの唯一の違いは、東南アジア各国のコンドミニアムにおいては共有施設が充実しているということ。
例えば、最低限でもプールはあるし、多くの物件でジムやサウナ、さらに一部のところでは、読書室やダーツやビリヤード台等も設置されていたりするし、それ以外にもバスケットコートやテニスコート、卓球台等が用意されているところもある。
ハンガリーのアパートメントの場合、そういったものは一切なく、中庭があるだけ。
ここら辺は、やはりお国柄が出ていると思う。
しかしながらハンガリーは意外にもヨーロッパの良さを反映しているし、東欧的である一方で、パリにもどこか街並みが似ているところもあり、ドナウ川の西側は比較的新しい建物が多く、緑の多い閑静な住宅街になっている。
ドナウ川の東側には大きな観光地もあるし、そこを抜けて行くと、基本的には住宅が密集したエリアとなる。
私が今回見てきたのは、ドナウ川の東側のエリアが中心。
地下鉄駅で言うと、カールヴィン広場駅(Kálvin tér)駅の近く。
利便性はかなり高めのエリア。
もちろんロンドンやパリのような家賃の高いところであれば、東南アジアに滞在するよりも、はるかにコストはかかる。
それは事実である一方で、ヨーロッパの中でも、むしろ生活コストが東南アジアの一等地よりも下がっていたり、あるいはほぼ同じぐらいのエリアがあるのは面白いところ。
ただし、同じくヨーロッパでもスイスやフィンランドに移住するとなれば、家賃は数倍になるので、域内でも国の間の差が顕著なのが目立つ。
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