今回のヨーロッパ周遊の中でも注目していたのがハンガリーのブダペストで、この街は物価や生活費が安く、街並みも美しいということで、移住先としても魅力的なのではないかという仮定の下で、約9年ぶりに訪れた。
ハンガリーと言うといまいち日本人には馴染みがなく、せいぜいハンガリアンソーセージぐらいしか特徴も思いつかないのだが、実際現地を訪れてみるとブダペストの街は非常に美しく、ヨーロッパの中でもパリに比較的近い雰囲気を持っている。
ただし、それはドナウ川の東側(ペスト地区)に限ったことで、西側(ブダ地区)に関してはもっと緑が多く、洗練された住宅街という印象がある。
アメリカやカナダでこういった街に住もうと思えば、ブダペストの倍以上の家賃を覚悟しなければならないし、ニューヨークなら4倍程度が目安になる。
しかしハンガリーは物価の安い国なので、コストを抑えながら生活できるのも嬉しいところ。
ブダペストはただ単に物価が安いだけではなく、コストパフォーマンスに優れているというのが、ヨーロッパ各国を周ってみて、さらには東南アジアで暮らしてみての感想。
たとえばAldiやInterspar等のスーパーで売られている1個30円から40円のクロワッサンであっても、東南アジアで100円以上出して買うクロワッサンよりもおいしかったりする。
サクサクとした食感は購入した翌日の朝まで残り、バターの豊かな風味も健在。
食料品はヨーロッパの例に漏れずに安く、ブダペストのTESCOで調べたところ、卵が6個入りで260フォリント(105円)、鳥の胸肉がキロ1350フォリント(520円)、トマトがキロ468フォリント(190円)、オレンジがキロ338フォリント(140円)。
レストランでの食事も良心的な価格
レストランに入れば、ブダペスト中心部の観光客向けのレストランはともかく、それ以外のところであれば1000円くらいでビールまたはワイン一杯と肉料理、そして付き合わせの野菜やポテト等を食べられる。
もしこのレベルの洋食を東南アジアで食べようと思えば、お酒の金額も含めるとやはり1500円から2000円はかかり、いわゆる新興国で生活コストが安いと言われている国より、かえってハンガリーやその周辺のポーランド、チェコといった国の方が、ものによっては安く感じる。
名物料理で言えば、グヤーシュが一杯400円、テルテット・カーポスタが600円、ペルケルトが550円というところ。
ブダペストの東駅近くのカフェで食べたこのケーキは480フォリント(約200円)だった。
ヨーロッパの場合は消費税の優遇(軽減措置)の影響もあって食料品が特に安い傾向にあり、さらには酒税が低く設定されているので、ビールやワインが安く飲める。
たとえばバーに入ってビールを一杯飲むとしても、150円ぐらいあれば十分なので、本当に安くで美味しいものを食べたり飲んだりできる印象。
ハンガリーではDreherやNeuberg、Kobanyai、Soproni等を飲んできた。
ブダペストを3度目に訪れた時には、Soproniがキャンペーンをやっていて、バーで500ml飲んでも130円程度だった。
ヨーロッパはオーガニックの分野で、オーストラリアとともに世界をけん引する位置にあって、アメリカのような基準の緩さではないので、こだわった生活をするのにも良いし、ビールやワインであれば歴史のある国々が切磋琢磨してクオリティを上げることを繰り返してきたので、それだけレベルが高い。
普段東南アジアで暮らしていると、どうしてもビールの質はかなり雑なものがスタンダードになってしまう。
たとえばシンガポールのタイガービールとか、フィリピンのサンミゲルと比べて、ハンガリーで飲むビールはやはりつくりが細かいし、明らかに質が高い。
食事の面に関していうと、日本人になじみの深いところでは、ピザが本格的なピッツァリアでもマルゲリータで600円ぐらいからに設定されていることが多く、ブダペストの物価の安さを感じるところ。
この辺りは良質な小麦が栽培されているので製造コストが安いし、イタリアから近いこともあって文化的にもピザを作ることは昔から行われている。
こちらでピザを食べるようになると、もう日本に戻ってから何倍もの値段を出して宅配ピザを頼む気になれない。
何しろもっと質の高いものが半額を下回る金額で買えるのだから。
ハンガリーと言うと、料理にはハンガリアンソーセージを思い浮かべる人もいるだろうし、人によってはパプリカを連想するかもしれない。
ただしパプリカに関してはそのまま使うことはまれなので、ブダペストに滞在していても意外と意識することはなかったりする。
あとはグヤーシュと呼ばれる名物スープもあるが、こういったものも日本人には味覚として合っていると思うし、ハンガリーやその周辺の東欧で、食事のまずい国を思い浮かべてもルーマニア以外では浮かばない。
有名なトカイワインも激安
ハンガリーと言えば、世界三大貴腐ワインの1つであるトカイワインの産地で、おそらく世界中でもっとも安くトカイワインが飲める。本格的なものだと4000円程度からだが、SPARのようなスーパーで売っている安いトカイワインだと、700円程度でも品揃えがある。
このトカイワインが日本に輸入されれば、希少さもあいまって数倍の値に跳ね上がることに。
ここ最近は1年のうち90日近くをヨーロッパで過ごしているが、まったく飽きないし、ブダペストに1ヶ月間滞在した時にも食事がまずいと思ったり、味に飽きてしまったりしたことはなかった。
実はマレーシアに住んでいた時には、現地の料理に途中で飽きてしまって、食べたくないどころか屋台の前を通ってにおいをかぐのすらも嫌になってしまったが、そういったことがないのも洋食の強み。
やはり本格派の料理ではなかったとはいえ、昔から洋食は食べ慣れているわけなので、そういった意味で日本人の味覚には親和性が高い。
生活費は東南アジアの首都レベル
ブダペストの街を歩いていると、中心部よりもう少し東側のASTORIA駅をもう少し南に下ったところでアパートメントの張り紙が目に入った。
こちらで言うアパートメントは日本で言うところのマンションに該当する。
どうやら新築らしく非常にきれいなつくりだったが、月額の家賃が6万5千円ぐらいと決して高くなかった。
ブダペストはハンガリーの首都で、日本で言えば東京に当たる街なので、当然ながら他の街に比べれば規模は大きいし、賃料も高い傾向にあるが、それでも6万円台の家賃でワンベッドルーム、つまり日本で言うところの1LDKを借りることができる。
ブダペストに関しては今後も移住の可能性を考えていたので、普通のホテルも泊まったが、それ以外にホテルアパートメントにも宿泊してみた。
そしてそのホテルアパートメントの一部には長期貸し出しをしているところもあったが、たとえば半年間契約すると月当たりの家賃が6万円ぐらいの物件もあって、それでもやはり1LDKのつくりになっていた。
独り暮らしには十分なスペースがあるし、これであれば下手に東南アジアの首都、たとえばバンコクとかマニラ、クアラルンプールで部屋を借りるよりもかえって安い場合すらある。
現在東南アジアの新興国に関しては、大都市部分においてコンドミニアムの料金が家賃・売却額ともに高騰する傾向にあるので、6万円や7万円くらいの物件だと、それなりにグレードの低めのものに限られる。
もっともプールやジム等の共有部分が充実しているというメリットはあるが、それを差し引いて考えても同じくらいの生活費でハンガリーだったら暮らすことができる。
食料品に関しては、ブダペストやデブレツェンも非常に安く、街中の市場に行ったりするといちごが1㎏400円ぐらいで売っていたりと日本よりも安かったりするし、月に15万円あれば贅沢をしない暮らしであれば十分に送れる。
贅沢をしないと言っても、基本的に外食で済ますぐらいの感じで、朝だけ自分で買ってきた果物をちょっと切るとか、そういった暮らしができる水準の物価ということになる。
観光にかかる費用の例
ブダペストの観光に関して言えば、漁夫の砦は基本が無料で、2階に上がる場合は500フォリント(200円)。
ブダ王宮のブダペスト歴史博物館は1500フォリント(600円)、国立西洋美術館は1800フォリント(700円)となっている。
ドナウ川沿いを自転車で走り、セーチェーニ鎖橋や国会議事堂、ゲッレールトの丘を眺めたりするのも気分が良い。
レンタサイクルは街中にあるので、それを利用すると移動しやすい。
ブダペストであれば市内交通も地下鉄が走っているので、いちいちタクシーを使ってトラブルに巻き込まれる心配もないし、安くストレスなく移動できるのも嬉しいところ。
なお、物価として見てみると、ブダペストの地下鉄は320フォリント(130円)で60分有効。
時間内であれば乗り換えも可能という、チェコのプラハと同様のシステムを取っている。
タクシーは初乗り450フォリント(180円)で、1キロごとに280フォリント(115円)が加算されていく。
ヨーロッパの中でもタクシー代はとても安い部類に入る。
こうして考えてみると、本当に旅行先としても移住先としても魅力的な街だとつくづく思う。
ブダペスト以外の街は?
ハンガリーの物価を旅行者目線で考えると、
首都を離れても大きなメリットは感じなかった。
たとえば、デブレツェンやエゲル、ペーチも訪れたが、
ホテル代がブダペストよりも安かったのはペーチぐらい。
エゲルやデブレツェンは競争がブダペストよりゆるいためか、
ホテルの質の割には料金が高めで、費用対効果はいまいちだった。
レストランの価格も特に変わりはなく、
ブダペストのドナウ川沿いの観光客向けの店を避ければ、
違いは感じないレベル。
むしろハンガリー国内を夏に移動すると、
時々エアコンのない鉄道があるので要注意。
クロアチアのザグレブからペーチ行きの列車と、
ブダペストからエゲル行きの列車がそれだった。
夏には最高気温が35度を越す日もあるハンガリーで、
エアコンなしの車両はさすがにつらい。
窓を開けても焼け石に水で、
ペーチやエゲルに到着する頃には汗だくになってしまった。
もしハンガリーを周遊するなら、真夏以外の季節をお勧めする。
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