ミュンヘンの治安には現地でかなりの不安を覚えた

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マリエン広場

2度目に来たミュンヘンは治安が良いとは最初から思っておらず、
それなりの覚悟はしていたつもりだった。

とは言え、飛行機の時間の関係で
どうしても夜遅くに中央駅近くのホテルに到着せざるを得ず、
スタートから安全面では不安を感じていた。

台北から日本に一時帰国し、
その後大阪と福岡をへて東京からモスクワへ。

経由便だったので、
そのままモスクワでトランジットを済ませてミュンヘンへ。

パスポートコントロールを抜けたのは
22時を周った頃だった。

ミュンヘン空港


日本との時差の関係で、かなり眠い。

機内でも寝ていたとはいえ、
日本時間だと午前5時にあたる時間なので、
なかなか調子が出なかった。

それでも地下にある鉄道駅に向かい、
中央駅近くのホテルを目指すことにした。

なお、駅の場所がわからなかったので
空港に設置してある情報端末をいじったら、
てっきりマップ等が表示されるのかと思いきや
オペレーターとテレビ電話がつながる仕様だった。

これは予想外だったが、
言葉の問題もあるし正直マップでいいような・・・。


そんなことを思いつつも無事に鉄道に乗り、
中央駅へ向かった。

徐々に乗客は減っていく。

そして通過する駅を見ていると、
時間帯の関係もあるのか白人ではなく、
移民の姿が多い。

シリア難民の問題以前から、
ドイツには多くの移民が押し寄せているが、
ミュンヘンの治安の懸念材料の1つでもある。

もっとも、彼らはマイノリティーと呼べるほど
すでに少なくはなくなっているのだが。


1年ぶりにヨーロッパに来たのだが、
駅にいる人だけを見るとピンと来ない。

たしかに車窓の風景はドイツのものだが、
ミュンヘンが白人の街ではなくなっていることが一目瞭然。

特に時間帯が夜中だったこともあるだろうが、
以前とは雰囲気が変わっているし、
比較的移民が少ないポーランドとも人口構成が違う。


そんな光景に緊張感が増してきていた反面、
いよいよ眠気もひどくなってきた。

まぶたが重く、首がコクリと落ちることも。

そして、案の定寝過ごした。

しかも降り損ねたことに気づかず、
中央駅の2駅先のDonnersbergerbrucke駅まで行ってしまった。

Donnersbergerbrucke駅のプラットホーム

4月も後半に入っているというのに、
外は肌寒かった。

なにしろその後は2日連続で雪が降ったほど。

治安面の心配と寒さの中、駅に立ち尽くすのは愉快な経験ではなかった。

とは言え、路線図を眺めていたら声をかけてくれた人もいて、
中央駅に向かうホームを教えてくれた。


その後、無事中央駅に到着。



すぐ近くのシラー通りにホテルをとっていたが、
なぜかミュンヘンの中央駅付近ではiPhoneのコンパスがうまく機能せず、
場所によって北の方角があちこちに示される。

多くの場合、長距離鉄道の駅は街の中でも治安が悪い傾向にあり、
ミュンヘンも手放しに安全とは思えない。

夜中にスーツケースを引きずって
いかにも旅行者という雰囲気丸出しで歩き回りたくはないが、
ホテルを見つけないことには休むこともできない。

店も半数ほどは閉まり、
うかうかしているとさらに人通りは少なくなりそうだった。


どうにかBayer通りを見つけ、
そこから目的地であるシラー通りも発見。

いくつもホテルが立ち並ぶ通りなので、
発見した時はすぐピンときた。

一方で、大人向けの夜の店が多く、
明らかに風紀がよくないことも一瞬で理解した。

そこを歩く人を見ても、白人はほとんどいない。

そして夜中にも関わらず道に立っている人達の喫煙率が
妙に高く、タバコ臭い。


後から分かったことだが、
シラー通り周辺はミュンヘンの中でも治安の良くないエリアらしい。

ホテル選びは多少の失敗ではあったが、
ひとまずトラブルに巻き込まれずに、
そして日付が変わる前にチェックイン出来た。


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ミュンヘン市内で見たおかしな男

ミュンヘン市内
ドイツに来ると、かなりの確率で挙動の異常な人を見かける。

しかも私が遭遇するのは、なぜか必ず男性。

たとえば2年前の秋にニュルンベルクを訪れた時には、
旧市街のはずれで一方的に怒り狂いながらも
相手に軽くいなされているおじさんがいた。

こうした場面に遭遇すると、
治安が悪いのかと不安な気持ちになるが、
今回のミュンヘンでも似たようなことがあった。

街の中心部、有名な新市庁舎を望むマリエン広場をさらに東に行き、
Isartor(イーザートア)の手前で見かけたのは、
急に大声で演説のように、あるいはオペラのように
話しだした50代すぎぐらいのおじさん。

最初は知り合いにでもあったのかと思っていたが、
近づいていく人はいない。

よく見ると、目も尋常な感じではなく、
虚空を見つめるような感じになっていた。

通行人も彼を避けていたが、
男は気にせずに大きな声を出しながら
曲がり角を曲がって見えなくなった。

彼が特徴的だったのは、
出している声がよく通るきれいな低音で、
怒鳴り声や叫び声ではなかったこと。

しっかり訓練を積んだ発声法のような印象を受けたが、
普通の精神状態ではないようだった。


ドイツ在住者に聞いてみると

ヴィクトアーリエンマルクト
ミュンヘンに移住して2年以上という日本人に話を聞いたが、
他の都市、たとえばベルリンやフランクフルトと比べて
際立って治安が悪いわけではないものの、
安全という印象はないとのこと。

特に女性が夜に一人歩きをする場合、
場所を選ぶことは必須という話だった。

中央駅周辺は治安が良いとは言えないエリアもあるため、
夜になったらうかつにウロウロしない方がいいと忠告された。


ドイツはシリア難民も他国に先立って受け入れ、
大国の威信を保つことを優先した。

しかし、彼らの移民政策が成功しているようには見えず、
国内には混乱や不安もくすぶっているというのが
現地で暮らしていて感じるところだと言う。

もしかしたら、ミュンヘンでの生活も
どこかで切り上げるかもしれないという話だったが、
今後数年で事態が大きく改善する見込みもないだろうし、
次の場所をいつでも探せる柔軟性は移住に先立って重要だろう。

どこまでいっても、日本人はドイツではよそ者。

私もこれまでフィリピンやマレーシアで暮らしてきたが、
これは常に感じていた。

もっとも、私の場合はそこに居心地の良さを感じていたが。



2015年に大量にドイツに流入したシリア難民の影響は、
現地在住者としてはそこまで大きく感じないとのこと。

元々人種の多様性に富んだ国であることもあり、
急激に危険度が増したり、ピリピリした空気にはなっておらず、
ただし移民問題は元々くすぶっていただけに
今後各民族間のストレス度は上がっていくかもしれない。

今のところは際立った変化はないという話だった。



ミュンヘンの治安は世界的に見れば、
特に悪いわけではない。

先進国でもロンドンやパリ、ニューヨーク、ワシントンDC等、
首都やその他の大きな都市において
一部エリアで危険な状態が続いていることは珍しくない。

経済大国なら安全というものではないので、
ドイツだけが特別なリスクを抱えているのではないが、
やはり安心できる街とは言えないという結論に。

とは言え、ミュンヘンは魅力的な街で、
いずれ3度目の訪問もすることになるだろう。

どうしても治安の話はマイナス面に焦点が当たってしまうが、
慎重に行動すれば特別危ない街ではないことを
最後に付け加えさせていただく。


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