マレーシアでタクシーに乗るのは、
トラブルの元に他ならない。
これは実際に現地に住んでみて痛感した。
ベトナムやインドネシアも
タクシーが危険な国として知られているが、
地味にマレーシアの方が危険な気がする。
特定の会社なら比較的安全ということもなく、
立て続けにトラブルがやってくる。
首都のクアラルンプールに関しては、
スカイトレインと地下鉄が一応通っているので、
十分に便利という水準には達していないものの
ある程度は公共交通機関で移動できる。
バンコクのスカイトレイン・地下鉄に比べると
車内の清潔感等は劣るものの、
外国人が乗るのが治安的にも厳しい
マニラやジャカルタよりはずっと上。
快適かどうかはともかく、
クアラルンプールなら日本人でも、
あるいは外国人でも身の危険を感じずに乗れる。
ただ、電車網がカバーしていない範囲も広い。
たとえばクアラルンプールの中でも
外国人居住地区として有名なモントキアラには
地下鉄もスカイトレインも走っていない。
移動手段は車ということになる。
となると、自家用車を持たずに生活するなら、
あるいは旅行で訪れるならタクシーを使うことになる。
これは暮らしていく上でストレス。
せっかく首都に住むのに、
タクシーでトラブルに巻き込まれなくてはいけないとは。
クアラルンプールを離れると、
どの街も主要交通機関はタクシーになる。
ペナンでも、マラッカでも、ジョホールバルでも。
この中でもペナンはメーター制度など
有名無実と化している。
メーター通りの料金で走る運転手を探すほうが困難で、
常に向こうが料金をふっかけてくる。
かと言って、ペナンの刺すような南国の日差しの下で
何台もタクシーに声をかけるのも不毛。
最初に声をかけた運転手が
たまたま強欲だったわけではなく、
ペナンは法的なメーター制という建前よりも
ローカルルールが定着した土地なのだから。
見方を変えれば、
マレーシアの警察も取り締まる気がまるでないということ。
この国の姿勢が分かりやすく出ている。
観光客や居住者の利益を積極的に守る気もなく、
ツーリストポリスを置いて積極的に改善を図る
バンコク等のような動きもない。
マラッカの場合には、
最初からメーターがなく最初から交渉制。
マレーシアはシンガポールに続き
一人あたりGDPの高い東南アジアの国だが、
いまだにこんな前時代的なシステムが
主要観光都市ですら残されている。
当然、交渉において外国人価格というのは存在し、
地元の人に比べて高値を提示される。
しかも初めてマラッカにやってきたら、
相場なんて分かるはずもないわけで、
いちいちホテルを出る時に目安を確認したりしないと
運転手の手のひらの上で転がされることになる。
なお、マラッカまで長距離バスで移動し、
そこからホテルに移動しようとした時のこと。
タクシー乗り場で列の整備をしているスタッフに
行き先を伝え、向こうが提示した料金を飲んだが、
いざ乗車すると運転手が上乗せしてきた。
最初に提示された金額しか払わないと言うと、
「じゃあ連れて行けない」と言い出す。
結局、乗り場まで戻させ、
先程のスタッフに事情を伝えて
新しいタクシーを用意させた。
これがマラッカを訪れた時の最初の思い出。
とは言え、マレーシアに住んでいる時に訪れたので、
この程度ではまったく驚きもしなかった。
マレーシアでのタクシートラブルの例
では、具体的にこれまでどんな問題があったのか?
実際に自分の身で体験したものに限り、
いくつか例を挙げておく。
これがすべてではなく、
印象的なもののみを抜粋した。
まず1つ目。
マレーシアのタクシーは流しの他に、
電話で呼んだり、大きな店の前で待っていたりする。
この時は日系スーパーのJUSCOの前から
友人宅のある場所まで移動する必要があった。
コンドミニアムと地区の名前を伝えれば、
通常は伝わる。
この時もそれで伝わったが、
通常料金の倍以上の額を提示された。
メーターどころではない。
当然断ったが、渋滞があるからこの料金だと言い出す。
その時間帯に、そのコースで渋滞があるはずもないのは
それまで何度も通っていて理解していた。
何から何まで嘘ばかりなので断ったが、
その後運転手が延々文句を言い出し、
途中からは怒鳴りだした。
明らかに正当な価格ではないのは、
そのエリアに住んでいるのでよく分かっている。
メーターを使わないドライバーは多いが、
それにしても提示額が高すぎる。
そして態度も悪い。
そんな車に乗るわけもないが、
他の客を捕まえるまで延々怒鳴り続けてきた。
なお、なぜそんな状態のタクシーに乗る乗客が来たかと言えば、
JUSCOの乗り場はそこだけ。
そして、タクシーは順番待ちをしているので、
列の最初の車以外には乗れない。
つまり、明らかな異常事態になっていても、
トラブルの最中の車に乗る以外に選択肢がない。
逆に言えば、
そこで待ってさえいれば
儲かるかどうかは別として仕事にありつけることになる。
2つ目のケースは、流しのタクシーに乗ったときのこと。
その日は週末だったこともあってか、
あまりタクシーが見つからなかった。
マレーシアではこうしたことが時々あり、
電話をしてもすべて出払っていて配車できないと言われることがある。
この時は流しでつかまえたドライバーが
多少高めの額で交渉してきたが、
時間の無駄なので最初から飲んだ。
コンドミニアムの名前を伝え、
そのまま走ってもらうことになった。
すると、行き先のコンドミニアムの名前を
最初から伝えていたにも関わらず、
途中から「遠い、あの料金じゃ割に合わない」と文句をつけだした。
メーター制での料金なら提示額の半額程度。
交渉であっても、
普段相手が持ち出してくる金額よりも
高い額の支払いを約束しているにも関わらず。
結局、最後までずっと車内でひっきりなしに文句を言い続け、
こちらが根負けするのを待っていたらしい。
そのエネルギーを他のところに使えばいいのに。
通常、マレーシアではコンドミニアムの敷地の中に入り、
建物の目の前で降ろすのが常識だが、
「追加で支払わなければここで帰る」
と言って敷地の外側で去っていった。
3つ目のケースも流しのタクシーで、
友人との待ち合わせで
自宅近くの店からイタリアンレストランに行ったのだが、
この時はおとなしく最初からメーターが回され、
良心的なドライバーかと思っていた。
しかし、到着時にメーター通りに
20リンギットを支払うと、
「元の場所に帰らないといけないから」と
さらに20リンギットを払えと言ってきた。
どこの国にそんなルールがあるのだという気がしたし、
マレーシアがそんな制度ではないことも知っていた。
この時は移住した1年半ほどが経っていたので、
数々のトラブルも経験済み。
移住当初なら、
「そんなシステムではないことは知っている」
とか
「嘘をついているのは分かっている」
とか返答していただろう。
しかし、マレーシアに住んでわかった。
交渉のテーブルについて理路整然と語ったとしても、
彼らは最初から論理で説得できる相手ではない。
とりあえずふっかけてみて、
一定の割合で引っかかる相手がいればいいという態度。
馬鹿馬鹿しいので、
メーターの分だけを支払った後、
相手の要求にはNOの一言を発した後は
何を言われても無視して降りた。
こちらに理があり、向こうに非がある以上、
そして相手もそれを理解した上でわざとやっている以上、
そもそも話し合わないのが最善の戦略になる。
こうしてマレーシアのタクシーとの付き合い方にも慣れたが、
ストレスが減ることはなかった。
grabは有力な選択肢か?
タクシー会社がドライバーの質を向上させたり、法令を遵守させる姿勢が見えないマレーシアにおいて、
grabの存在は希望となっている。
なにしろ悪質なドライバーには
マイナスの評価が募っていく。
長期的に仕事として取り組みたければ、
おのずと問題行動は抑制される。
grabやuberの問題点も世界各国で指摘されるが、
マレーシアのようにタクシーが危険な乗り物の国では
相対的に安心して使える移動手段となっている。
マレーシア旅行の最中に
タクシーで移動しなければならないなら、
到着時に空港でSIMを買って
grabを使えるようにしておいた方が
嫌な思いをせずに移動できる確率が上がる。
タイやシンガポールのような隣国と
同じ感覚でタクシーに乗ることはできないというのが
在住者としての率直な意見。
海外に移住するのは本当に難しいのか?
日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。
同時に、
「英語が苦手で・・・」
「海外での部屋選びで失敗しないか不安」
「他の国での生活を想像できない」
「下見で何を確認したらいいか分からない」
「移住後の仕事やお金が問題」
等々の様々な不安や悩みも耳にする。
そこで、10年以上海外で暮らし、
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