私がはじめて海外旅行に行ったときには、ヨーロッパ約10カ国を2か月かけて旅をした。
このときの思い出がたくさんの写真と共に残っているのかというと、実は1枚もない。
というのは、カメラも持っていかなかったので写真の撮りようがなかった。
その時は貧乏旅行だったこともあって、出来る限りコストは下げる方向で考えていたので、カメラのような余計な出費をしたくなかったということが1つと、そもそも写真を撮るという習慣が私にはなかったので、撮影や写真に意味を感じなかった。
基本的にその時の旅行は地球の歩き方に載っているような観光地を巡るものだったので、プロのカメラマンが写真を山ほど撮っている。
逆光と順光の違いさえわからなかった私が撮った写真よりも、そういったプロの撮った写真のほうがはるかに感動的だし、私は1枚の写真を撮る為に何時間もねばったりするような気力はない。
そういった事情もあったので、カメラを持っていくことは考えもせずに、枚も写真を取らずに帰ってきたのだが、あとから思ったのはやはり自分の個人的な思い出として写真は撮っておいたほうがいいということ。
これだけ色々な国を回っていると、例えば教会ひとつとっても色々なものを見ているので、どの国で見たのがどんな教会だったのか詳細に思い出す事はできない。
セゴビアの旧市街にあった水道橋やアルルのアリスカン、レピュブリック広場、ナポリのサンテルモ城等、ビジョンが曖昧にしか思い浮かべられない場所がいくつもある。
ただでさえ私はビジュアルによる記憶が弱いので、言葉ならまだしも視覚の情報をそのまま頭の中にインプットするのはなかなか厳しい。
そうなってくると、数日前に見たものがどんなものだったのか、おおまかに思い出す事は出来ても詳細を描く事はできない。
そういったときに写真が1枚あるだけでも随分記憶の補助になるし、単純に資料としても役に立つ。
そのため、今では旅先で出来るだけ写真を撮るようにして、それをフェイスブックやブログにアップするようにもしているが、15年ほど前にヨーロッパに行ったときは、そういったネット上での活動も一切していなかったので、いまだに1枚たりとも写真がない。
あの頃と同じように11月にスタートして2月頃までヨーロッパにいるというスケジュールを組む予定が今後あるかどうかわからないし、同じ町に行ったとしても季節が変わればそれだけ風景も違う。
さらにいえば、天気とか、その時期のイベントとか、こういったことによっても常に町の風景は変わるし、何年かすれば新しい建物が建ったり、以前にあった店がつぶれたりすることも世の中の常なので、やはりリアルタイムに自分の思い出は写真や動画で残しておいたほうがいいと今は思う。
今ではiPhoneを使って写真撮影をしているものの、これだと夜景がきれいに撮れずに昼間の写真だけになってしまうことと、動画の手ぶれがひどいことが課題。
どうもアプリを使えばある程度改善できるらしいが、なぜか私のitunesではそれがダウンロードできないので、今のところ最初からiPhoneに備わっているカメラを使って各国の写真を撮るようにしている。