自分の生活習慣を変えたいと思っていても、実現は簡単じゃない。何しろ、長年に渡ってしみついてしまっているのだから、いわゆるホメオスタシス(恒常性)は並ではない。それでも、環境が変化すれば、思いの外、あっけなく習慣なんて変わってしまう。
たとえば、私は日本にいるとき、基本的に毎日ビールを飲んでいた。夕食とセットになっていたので、健康のために休肝日をたまには設けるべきなのだろうと思いながらも、習慣には逆らえなかった。
しかし、日本を離れてマレーシアに移住してきた途端、飲酒の習慣はなくなった。人と会って食事をする時には相手が飲めば付き合うものの、一人の時は飲まないし、お酒を飲まない人と食事をする時にも飲まない。平均すると、週に1度も飲んでいない。マレーシアでは隣国、シンガポールのタイガービアが一般的だが、飲む機会は限られている。
それでもビールを飲みたいとは思わない。むしろ、離れてみると実はビールが大して好きではなかったのではないかと感じている。最初の一口はおいしくても、1杯飲み終わる前に、持て余してしまうぐらいだから。
食習慣も変わった。たとえば、昨日の夜は甘い味付けの焼き鳥、サテとナシレマを食べてきた。昼食はラクサだったし、最近はバクテー(肉骨茶)も多い。あるいはシンガポールの影響でチキンライスの日も。こうしたマレー料理を食べる機会が日本ではなかったので、とても新鮮に感じ、味覚や嗅覚を中心に五感が刺激されている。
五感を活性化させることで体感覚を高めるのは、ビジネスにおいても重要だと感じている。野生の勘とデータ分析の両方を使える方が、単なる分析思考よりも圧倒的に優位なので。
習慣を変えるチャンスを活かす
移住の際には、意識的にいくつかの習慣を変えた。それは生活に関するものもあれば、仕事に関するものもあった。1つ言えるのは、毎年、元旦を迎える時に立てた目標よりもはるかに成功率が高いという事実。
新年を迎えたところで、環境は変わらない。一時的にやる気が起きたとしても、そんなものは長続きしない。多くの人の新年の目標は達成されないし、むしろ2月にもなれば忘れ去られてしまう。
しかし、生活環境が変われば人は生まれ変われる。移住は周囲の環境も変われば、人間関係も激変するきっかけになる。このタイミングで上手に生活習慣を変えてしまうといい。
長めの旅行もチャンスの1つ
一週間以上の期間の旅行も、習慣を変化させるチャンスだと感じている。マレーシアに移住して以降、様々な国に旅行に行くようになった。先日はインドネシアのバタム島に行ってきたばかり。
普段とは違う環境に身を置き、しかも国が変わると様々な刺激があるので、普段の生活習慣へのこだわりが薄れる。その間に望ましい習慣を差し込んでしまえば、脳が示す拒否反応を軽減できる。
ただし、習慣が定着するには3週間かかると言われている通り、短期の旅行だと効果が限定的。とは言え、最初の3日だけ望ましい習慣にのっとって行動できれば、それなりの効果が得られるというのがこれまでの経験則。
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