その南側はテンプルバーと呼ばれている。
バーやレストランが立ち並ぶエリアで、
アイルランドの伝統料理であるアイリッシュシチューや
サーモン料理を食べることができる。
私がダブリンを訪れたのはバカンスシーズンだったので
ホテルの満室が多く、
延泊しようとしてもできないことが大半だった。
そのため、大体2泊ごとにホテルを転々としていたが、
食事は街の中心部、つまり川の付近が多かった。
そんなわけで、この川沿いをブラブラすることは多かったが、
その中で気になった看板がある。
遠くからも見えるように3階に設置された看板には、
「1year work USA visa」の文字。
南側の川沿いに設置されているので、
橋を渡る時に目に入るようになっているし、
川の対岸からも見える。
アイルランドではアメリカに出稼ぎに出て
外貨を稼ぐスタイルが珍しくない。
これはフィリピンにも似ている。
労働者がより高給を取れる環境を求め、
渡米して働くというのはもっともなことだろう。
アイルランドは英語の国なので、
その点で言ってもハードルは低い。
ただ問題なのは、
ビザが取れなければ就労も長期滞在もできないということ。
国を変えるだけで収入が上がるなら、
そうしたいと思う人は世界中にいる。
しかし、受け入れる国としても
自国の労働者の失業率を上げるわけにはいかず、
むやみに海外からの労働者の流入を認めるわけにはいかない。
こうした事情があり、
ビザをうまく取ってくれるエージェントが必要になる。
フィリピンと違い、
アイルランドなら渡航費用が
巨大な障壁になることはないだろうから、
ビザが取れればチャンスは広がる。
しかし、ビザが・・・。
そう、この問題は根深い。
アメリカが比較的移民に寛容な国であるとは言え、
簡単にビザを出してくれるわけではない。
私自身、フィリピンの後に住む国を探している時に、
各国のビザ事情は調べて回った。
その結果として、
もうビザを取らないで転々とした方が楽という結論に。
当初は1年ごとに居住国を変える暮らしを求めていたが、
それは手続き的に大変なことが分かったので。
私のように自分のビジネスを持っていて
それがネット上で完結する場合、
現地で就労するケースには該当しないため、
労働者としてのビザはおりない。
ほとんどの国のリタイアメントビザは
50歳か55歳以上が条件のため、
これも取れない。
学生でもないわけなので、
そもそも該当するビザが存在しないことが多く、
見つかっても手続きが面倒だったりする。
たとえばポルトガルのビザの場合、
日本にあるポルトガル大使館または領事館で面接を受ける必要があり、
手続きも最長で半年ほどかかるという。
もちろん様々な書類も用意する必要がある。
マカティ在住だった私の場合は
どの国にある大使館に行けばいいのかという問題もあるし、
毎年そんなことをしていられない。
そんな事情で、1年の滞在のためのビザを取ることを放棄した。
そしてビザなしで各国を周る
非定住生活を始めたら快適で、
最低限の荷物だけでホテル暮らしをしていても
特に不便は感じていない。
毎日のように観光に行くわけではなく、
のんびりと1つの街に滞在するのを基本にしているため、
特に疲れるようなこともない。
これに対し、労働者として他の国で働くのであれば、
おのずとビザの問題が壁になる。
オーストラリアでは、
この点を利用して最低賃金以下で人を働かせる店もあると言う。
日本人が就ける仕事は、和食レストランや観光業など限られる。
特に手に職がない場合は仕事もろくにないので、
ビザを出す代わりに不当に安い給料しか払わない店があるらしい。
とにかくオーストラリアに住みたい人にとっては、
それでもビザが取れれば納得せざるをえないのだろう。
実際、ケアンズやシドニーで見た店先の求人の貼り紙にも、
時給や待遇について何も書かれていなかった。
記載があるのは、日本人を募集しているということだけ。
怪しげなにおいが・・・。
とは言え、
高待遇を求めて働く環境を変えるのは、
1つの賢い選択だと思う。
それは住む国を変えることにもなるので、
人によっては大きな価値を得ることができるはず。
しかし、それは世界中の(特に貧しい国の)人が狙っている枠を
必死に奪おうとする争いに加わることでもある。
人件費が高い国はおのずと限られているので。
そう考えると、
場所にとらわれない形でビジネスを持って、
その国の中では就労せずに滞在するという方が
より自由度が高まることは間違いない。
これは日本人ならではの話で、
短期滞在でも渡航先の国のビザを取らなければいけないというのは、
世界的に見ればよくある話。
気軽に各国を転々とするのは、
日本のパスポートの信用力を最大限に活用する方法とも言える。
ダブリンでは、
大西洋の向こうで働くという選択肢を街中でリアルに感じた。
それは自国経済の弱い国だからこそ、
夢のある話でもあるのだろう。
ただし、海の向こうには
海外の活用法についてさらに大きな可能性が眠っている。
私が各地を旅して周るのは、
その可能性を掘り起こしていくことが
重要な目的となっている。
何しろ、日本とは考えられない条件で資産が構築できたり、
花粉症や放射能と無縁な生活環境があったり、
1,000円でマッサージを受けられたり、
3,000円でゴルフが出来たり、
1万円以内で5つ星ホテルに泊まれたりと
様々な活用法があるので。
海の向こうをどれだけ活用できるか?
このテーマはアイルランド人だけではなく、
日本人にとっても人生の質を大きく変えるポイントだろう。
海外に移住するのは本当に難しいのか?
日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。
同時に、
「英語が苦手で・・・」
「海外での部屋選びで失敗しないか不安」
「他の国での生活を想像できない」
「下見で何を確認したらいいか分からない」
「移住後の仕事やお金が問題」
等々の様々な不安や悩みも耳にする。
そこで、10年以上海外で暮らし、
4ヵ国に住んできた経験を凝縮した電子書籍、
『「いつか海外に住みたい」を手の届く現実にするための本』
を無料でプレゼントすることにした。
電子書籍の目次等も掲載しているので、
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