テーマに特化したシェアハウスが面白い

伝統的なシェアハウスというと、家賃を抑えたいから一つの家をシェアするというのが一般的だった。

比較的お金のない人がメインユーザーなのか、あるいは中間層であっても少なからずそういったライフスタイルを取ることが多いのかは、国によっても異なる。

例えば家賃の高いオーストラリアにおいては、日本人の留学生やワーキングホリデイビザを取って現地に行く人であってもシェアハウスを利用することが多い。

あるいはシンガポールの場合、世界でもトップクラスの人口密度となっているため家賃が高く、やむにやまれずシェアハウスで暮らす人が多かったりする。

対してマレーシアの場合は人口密度が低く、国土が余りに余っているような状態なので、そういったケースは比較的少ない。


日本におけるシェアハウスの新しい潮流

日本においては家賃の節約という文脈で語られることが多かったシェアハウスだが、テーマに特化して強みを持った物件も増えてきている。

例えば東南アジアのコンドミニアムだと、プールやジムがついていることは当たり前だが、日本ではそこそこ高級なマンションであっても、そういった施設がついていることは少ない。

しかしながら、一部のシェアハウスにはトレーニングルームやスタジオ、あるいはジムを作ってそれを強みにしていたり、あるいは音楽スタジオをつけることによって、ピアノやバイオリン、ギター等の練習を騒音問題を気にせずに行えるのを売りにしている物件も存在する。

楽器の練習というと、学生であれば音楽室等を使うこともできるが、社会人になってしまうとカラオケ等で練習するしかないといったことも多々ある。

なにしろ都会でトランペットを吹いたり、バイオリンを弾いたり、オーボエを吹いたりすれば、騒音として近所から苦情が寄せられかねない。

都合よく人の少ない河原等があるとも限らないので、仕方なく防音設備の整っているカラオケに楽器持参で行くことになりそうだが、一部の店はそういった利用の仕方は許可していないということで、音楽スタジオがついている物件となると一部の人には垂涎ものだろう。

しかもシェアハウスであればそこまで家賃が高いわけでもなく、こういった設備がついていても家賃が6万円から8万円くらいだったりと、普通に一人暮らしをするのと変わらないくらいなので、これは大きな強みになる。

他にもおばあさんが掃除や炊事、洗濯などを行ってくれるサービスを提供しているシェアハウスもあるという。

ここの掃除等は週3回ということだったが、これもバンコクのコンドミニアムで似たようなことが行われていて、特定のコンドミニアムに入居すると週に2回とか3回部屋の掃除に来てくれる。

私が住んでいたセブの部屋だと、自分で手配することにはなるが、掃除専門のメイドさんがやってきてくれて掃除をしてくれる。

あるいは受付というかコンシェルジュに頼んでおくと、洗濯物をランドリー業者に出しておいてくれたが、そういったサービスに類似することをやってくれるシェアハウスがあるというのは初耳。

こういった多様な住み方、さらにいえばただ単に住居の箱だけではなく、そこに付随するソフトの部分も多様性が増してくると面白いことになってくる。

日本のように成熟しきった国は、粗雑な量産品を大量生産するというところから、より多様なニーズに柔軟に応えていったり、付加価値を加えたりすることが、それぞれの産業分野において生き延びていくために必要となる。

こうした取り組みはシェアハウスだけでなく、マンション等でも取り入れることができることなので、じわじわではあると思うが、今後ゆっくり日本の住環境が進化していくのかもしれないと思うと個人的にも興味深い。


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