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ベトナム(ハノイ、ホーチミン)の不動産投資には落とし穴が多すぎる


ハノイとホーチミンを主な舞台として、ベトナムの不動産投資について注目が集まっている。

ホーチミンの商業エリア

外国人が参入できる環境が整えられ、順調な経済成長も遂げている市場に魅力を感じるのは分かるが、懸念点もいくつか存在するのも事実。

チャンスとリスクの両面において見ていこうと思う。


まず、今現在ベトナムの不動産投資が注目される最も大きな理由としては、2015年の7月1日に施行された改正住宅法という法律の存在が大きい。

これまでも、外国人がコンドミニアムや戸建ての家を所有することが全くできなかったわけではないが、非常に厳しい制限がかけられており、居住者による自己使用等の条件が課せられていた。


2009年から実験的に、外国人が不動産を購入できるという制度は開かれていたが、購入に厳しい条件が課せられていたため、その後の約6年間で実際に購入した外国人は130人程度しかいなかったという。

しかもそのうちの100人程度はベトナム人と結婚した人なので、投資目的というよりも居住目的であり、なおかつ相当に変わった属性ということになる。

今現在、ベトナムの不動産に投資しようかどうか検討している人のほとんどは、ベトナム人との結婚もしていないだろうし、今後もする予定はないだろう。

さらに言えば、現地に住む訳でもなく、ハノイやホーチミンに物件を買ったとしても、そこに住むことは考えていないことが大半だと思われる。

これに関しては、改正住宅法の効果として制限がずいぶんと緩められることになった。

無制限とはほど遠いが、ベトナムの入国許可を持っている外国人、もしくは外国法人であっても、集合住宅、つまりコンドミニアム等の30パーセントまでを購入することができ、戸建てに関しては1つの市町村につき250戸まで所有が可能となっている。

さらには、自己使用ばかりではなく賃貸も可能なので、客付けをして家賃からのインカムゲインを得て高い利回りを狙っている人もいる。

これ以外にも、プロジェクトやエリアによる規制もあるので、まだまだベトナムで不動産投資をするのは東南アジアの中でも制約が多く、相当に不自由であることは覚悟しなければならない。


なお、建物の所有権と土地の使用権がセットで買えるが、期限が50年間となっており、更新することによってさらに50年を追加できるようになった。

この制度改正によって、外国人がベトナムでコンドミニアムや戸建住宅を購入し、それを賃貸に回してインカムゲインを得たり、さらには売却益であるキャピタルゲインを狙ったりといったことができるようになったが、その背景としてはベトナムの順調な経済成長が挙げられる。


ベトナムの成長

長期スパンで見てみると、ベトナムのGDPは、1995年から2014年までの20年間で210億ドルから1,850億ドルと、およそ9倍にまで上がり、世界的に見ても最貧国から中所得国まで駆け上がった。

最近でもGDPが年率6パーセント程度の成長を遂げており、中国に変わる世界の工場としても注目を集めている。

外国人がベトナムの不動産に投資をする場合は、ハノイ及びホーチミンがメインとなっているが、ホーチミンにおいては地下鉄の建設計画があり、すでに着工されている。

当初は2018年には完成する予定だったらしいが、さすがに新興国とあって順調に予定は遅れているらしい。

今の段階では、2020年に完成するのではないかと推測されているが、それもだいぶ怪しく、にはどうなるか、かなり先行きが不透明とのこと。

さらに言うと、現段階の計画では地下鉄を作るといっても1路線で、距離としては全長20キロに満たない。

ホーチミンの場合、比較的街がコンパクトなのと、タンソンニャット国際空港も市街地から離れた位置にはないので、タクシー移動でもそこまでの不便は感じないが、やはり公共交通網の発達はタイやマレーシアと比べても、明らかに遅れている。


しかしながら、その部分が整備されることによって、沿線沿いの物件価格が上がるというのは不動産投資のセオリーであり、実際に多くのコンドミニアムが着工しプレビルドの状態で売りに出されている。

なお、ベトナムは人口が9千万人近くいて市場規模はかなり大きい。

人口統計を見ても、きれいなピラミッド型になっていて、今後の賃貸需要が増えていくということは投資家にとって大きな魅力と言えるだろう。

 

登記(レッドノート)の問題

日本において不動産を購入すれば、当然登記を行うことになる。

この登記制度については各国で事情が異なり、ベトナムにおいてはレッドノートという登記制度がある。

当然ながら、登記の制度がある以上、不動産を購入した場合、登記しないのは不自然だし、転売の時に大きな不利益を被りかねない。

もしも、あなたが中古の戸建住宅やコンドミニアムを買うのであれば、当然ながら権利が保全され、公に保証されている登記済みの人から買いたいと思うだろう。

これは当然の心理で、本当に所有者かどうか怪しい人から購入して、その取引が無効だったりしたのではたまらないのだから、慎重にならざるを得ない。


しかし、ベトナムはこの辺がいい加減なところで、改正住宅法が施行される前の段階で不動産を購入することができる条件を満たしていた日本人がレッドノートを請求したところ、日本人だから、言い換えれば外国人だからレッドノートの交付はできないと拒否されるという謎の出来事があった。

このレッドノートとは、日本における登記簿謄本、あるいは権利証に該当するものなので、あると無いとでは大違い。

結局その人は、ベトナム人の奥さん名義にして無事にレッドノートを手に入れることができたらしいが、こういった意味不明な行政の仕組みというのはまだまだ残っている。

国が決めたことと、実際に市町村の役場がやることの間に齟齬が生じることも多いらしく、さすがに改正住宅法の施行によって外国人の不動産購入が増えてくることで環境は改善していくとは思うものの、購入後にこのようなトラブルをいちいち相手にしなければいけないのはいただけない。


配偶者名義にしたところで、フィリピンやタイでよく見かけるように奥さんに逃げられたら不動産は取られてしまうし、そもそもベトナム人と結婚していない場合には配偶者名義にできない。

レッドノートを取得するためにノミニーを立てるようなことになれば、それはそれでリスクを背負わなくてはいけなくなり、まだまだ安心して不動産を取引できる環境にないのがベトナムの現状となっている。


ベトナムのゆるさがリスクに

余談だが、どの国でも比較的レギュレーションが厳しく比較的きっちりとしている業界の1つに航空業界が挙げられるが、ホーチミンのタンソンニャット国際空港からフエのフバイ国際空港まで国内便で移動する時にもこの国の適当さは身に染みて感じた。


まず列に並んでチェックインカウンターで航空券の交付を受けようと思っても、搭乗時間ギリギリになってからやってくる人が多く、航空会社もそれを認めているため彼らを優先して、列が全く前に進まない。

結局、列の最前列まで来ても15分以上待たされることになり、さらにその間中ずっと列の外からやってきたホームレスのような身なりの男が終始腕を叩いてきたり話しかけて来たりして迷惑だったのだが、そういった人物に注意するスタッフもおらず、明らかに見えているはずだが何も対策はしない。


そして、ようやく搭乗時間が迫った乗客を捌き終えた後もしきりに文句を言っている列を優先して進めていくので、だまって待っているだけではいつまでたってもチェックインカウンターに案内されず、テープで制止されたままという状態になる。

秩序やルールが根付いている状態ではない国なので、こういった慣習は民間企業だけでなく当然ながら役所も引き継いでいる。

不動産投資においても、この点は大きく影を落とすところなので、覚悟しておかなくてはいけない。

 

日本人駐在員に貸し出す場合の注意点

部屋の使用のマナーや、何かあった時の交渉を考えても、日本人が借りてくれるのが安心だし、駐在員であれば多くの日系企業がベトナムのハノイやホーチミンに進出しているため、彼らに貸し出すのがベストだと思い、そこから家賃収入を得ようと思っている人もいる。

しかしながら、多くの日系企業においてはすでに取引のある不動産会社があり、そこの物件を優先的に使うので、駐在員を派遣している日系企業とコネがない不動産会社に仲介を頼んでも、賃貸付けが全くできなかったりする。

これはフィリピン等で不動産投資をした時にもよく見かけたことで、駐在員へのアプローチは意外に難しいものなので、既存のコネがある業者に賃貸付を委託するのでないかぎり、期待できないと思っておいたほうがいいだろう。

 

値崩れを起こす危険性

ホーチミンのロッテリア
改正住宅法の施工は2015年の7月から。

外国人が比較的自由に投資できる環境が整ってから間もないため、どこまでコンドミニアムや新しい戸建て住宅が乱立するかは、まだまだ予測できない部分がある。

タイやマレーシア、フィリピン、インドネシア等を見ても過剰にコンドミニアムが乱立している状況があり、そのことによって賃貸付をするのもキャピタルゲインを得るのも厳しい物件が散見される。


しかもこれらの国の不動産価格はすでに上昇し、その波はカンボジアやミャンマー、スリランカ等にも及んでおり、投資マネーが行き先を見つけられずに困っているという側面がある。


その中でのベトナムの改正住宅法の施行により、多くの資金が集まってきた場合、ハノイ及びホーチミンにおいても同様の事象が起こる可能性は充分に存在する。

プレビルドの物件を購入して完成した直後はともかく、そこから5年10年たっても同様の家賃収入を得られるかということについては、まだまだ先行きの見通しが難しい状況にあるし、業者の示す高利回りを真に受けてしまうのはかなり危険だと思う。

特に表面利回りが10パーセントを超えてくるという予想は、現実問題としてはなかなか厳しいだろう。

上手いタイミングで世界的に経済が傾き、資金が調達し難くなる等の幸運に恵まれない限りは、今後数年の間に供給過剰の市場に移行していくのは、東南アジア各国の条件をみれば、かなりの確率で訪れる未来として予想されるのではないだろうか。

 

ローンは難しい上、金利が高い

Autobank
外国人が不動産購入をするため、ベトナムの銀行でローンを組むのは厳しい模様。

当然ながら、地元の人は住宅ローンを利用しているが、その場合であっても金利が高く、例えばVietocom Bankの場合で言うと約8パーセント、Acb Bankだと約9パーセント、VP Bankだと10パーセントを超えるほど。

8パーセントから10パーセントの金利というのは負担が大きいし、こうなってくるとプレビルドの物件を購入して、着工からの期間に応じて分割して支払いをするか、もしくは一括購入するかになる。

改正住宅法の影響もあって、今後外国人にも銀行ローンが組めるようになる可能性はあるが、それにしてもこの高金利ではメリットを見出すことは難しい。

 

ベトナムドンの持ち出し制限

ハノイもしくはホーチミン、あるいはそれ以外の街でもいいが、ベトナムにコンドミニアムや戸建て等を購入して毎月安定した家賃収入を得ることができて、もしくは上手く売り抜けてキャピタルゲインを得ることができたとして、そのお金をどうするかという問題がある。

当然ながら、全てのお金をベトナム国内で使おうと思っている人は少ないだろう。

ビジネスをベトナムで行っているとか、あるいはそこで生活をしているという場合ならともかく、それ以外の投資目的の人であれば、日本円に変えるとか、もしくはそれ以外の通貨に変えてベトナム国外に出したいと考えるもの。


しかしながら、ベトナムドンは持ち出し制限がかけられており、自由にお金を国外に出せるわけではないので、せっかく利益を出したとしても、最後の最後で国外に持ち出すことができず、身動きがとれないまま、お金が宙に浮いてしまうことが起こりえる。


こういったリスクもあるので、メリットとの兼ね合いを考えながら検討していくことになるが、今の段階ではベトナムの不動産は迂闊に手を出せる環境だとは思わない。

改正住宅法の施行という分かりやすい宣伝材料があるので、一部の業者はそれをうまくニュースとして利用しているが、数々のリスクがあるということは決して無視することはできない。


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執筆者、伊田武蔵

「旅をするように暮らしたい」

そんな思いで2011年に
下見なしで海外移住後、
フィリピンとマレーシアで
コンドミニアムを借りて住む。

その後、
今後の移住先候補の視察のため、
各国を周り住環境の研究をしながら
2年9ヶ月のホテル暮らし。

1年間の台湾生活を経て、
現在はタイでの暮らしを満喫中。

フィリピン永住権と
マレーシアのリタイアメントビザ、
タイランドエリートを取得済み。

8カ国に資産分散。

伊田武蔵の変人疑惑

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