一言で海外の永住権の条件と言っても国ごとに異なり、
シンガポールのように億単位の資産を
積まなければ取得できない国もあれば、
そもそもそうした制度を用意していない国もある。
あるいはカナダのように制度の変更が頻繁で、
現状を把握するだけでも大変な上、
取得に向けて動いている途中でハシゴを外されかねない国も。
国籍を変えることなく、
日本以外に住む国を確保しておくことの重要性は
3.11を契機に多くの人が認識することになった。
とは言え、
日本でサラリーマンをしていれば事実上は海外に住むのは無理。
ほとんどの人は日本に住むことを正当化する理由を探し、
以前と変わらない生活を送っている。
ただ、一部の人は確実に動き出している。
どちらの流れに乗るべきか考えた時、
迷わず永住権を取得する側を選んだ。
では、条件がゆるく取りやすい国はどこかと考えた時、
私が知るかぎりではフィリピンが一番だった。
永住権取得のための条件
クオータービザという永住権を取る場合、
5万USドルの資産の証明が必要になるが、
これは実際に保有している必要がない。
国外銀行からフィリピンの銀行に送金した記録が必要なだけで、
確認手続きが完了したら再び国外に出すことも、
あるいはフィリピン国内で引き出して利用することもできる。
一定額を銀行に預金しておく必要すらない。
フィリピンで永住権を取得するなら、
イミグレ等の役所とつながりがあるエージェントを使うことは必須。
事実上の条件となっている。
そして、エージェントによっては5万USドルを立て替え、
確認終了後まで口座に入れておくサービスをしていることも。
つまり、5万USドルの金額を払えなくても
数万円の手数料を余分に払えばクオータービザが取れる。
取得後は預託金も不要。
さすがにここまで簡単な条件で永住権が取れる国は
他に見つからなかった。
他国と比較すると・・・
たとえば、海外移住先として人気のマレーシアにも
MM2Hというリタイアメントビザが存在する。
ただし、こちらは50歳未満なら1500万円以上の金融資産と
900万円以上のマレーシア国内の定期預金が求められる。
それだけならいいが、
10年更新である上に、最低預金額を大幅に引き上げる動きがあり、
今後もずっと更新し続けられるか不安が残る。
取りやすいリタイアメントビザではあるが、
持続性には疑問が残る。
事実、私はMM2Hを2013年3月に取得済みであるにも関わらず、
フィリピンのクオータービザも申請した。
それは永住権として権利の強さ、確かさが違うから。
正直、マレーシアのMM2Hは要らなかったかもしれない。
住民としてフィリピンの住環境を見ると
住みやすさとしてフィリピンとマレーシアを比べると、
両方の国に住んでみた感想として、
フィリピンの方が優れていると感じる。
単純に永住権が取りやすい国というだけでなく、
国民性を考えても長く滞在しやすい国。
もちろん治安面での懸念等はあったが、
外国人居住区は安全が確保されているし、
国の中でもメリハリがついた開発がされている。
その結果、マカティやグローバルシティ、
セブシティ他いくつかの限られたエリアなら
マレーシアのように身の危険を感じることなく暮らせる。
国全体として見た場合と、
外国人が住むエリアに限定した場合では
違う評価が下されることがあり、
フィリピンとマレーシアを比べる時には
その視点が欠かせない。
なお、MM2Hはリタイアメントビザだが、
永住権と混同されることも少なからずある。
フィリピンにおいても、
リタイアメントビザであるSRRVが
永住権として紹介されることも。
また、タイの1年更新のリタイアメントビザも
なぜか永住権の比較に入れられていたことがある。
効力が1年しかない段階で、
どう見ても永住権ではないはずなのだが、理解に苦しむ。
そうしたまやかしの情報も多いので、
その点については要注意。
では、なぜフィリピンの永住権の条件がゆるいのか?
これほど取りやすくしてあるか?
考えられるのは、外国人が住みやすい国であり、
外貨を落としてもらうことがフィリピンにとっても
重要な国策であることが挙げられる。
フィリピンはアジアの中でも英語ができる国。
事実、アメリカを筆頭に海外で働く人口が
常時国民の1割ほど。
彼らは何年か賃金水準の高い国で働いて家族に仕送りをし、
帰国後に起業資金にしたり、住宅を購入したりしている。
こうした国なので、
外国人が移住してきても言葉が通じやすい。
物価も安く、気候が温暖なのも外国人誘致に追い風になる。
リタイアメント世代が老後に暮らすのなら、
年金の範囲内で生活ができることや、
体に負担のかからない暖かい気候は助かるので。
しかもヨーロッパ人(特に北の方の国)は
日本人よりずっと太陽を求める。
日光が豊かな南国への渇望は異常なほど。
フィリピンをはじめとした東南アジアは
暑すぎることなく太陽の恵みを受けられるので、
彼らには相当に嬉しい環境らしい。
そんなわけで、外国人からの永住権のニーズがある。
フィリピン側もお金を持っている外国人がやって来て
お金を使ってくれれば国が潤う。
平均月収が4万円ぐらいの国なので、
富裕層ではなくても先進国から人が来れば
国としてプラスになる。
こうした思惑があるために永住権の条件をゆるく設定し、
簡単に取得しやすくしている。
そもそも外国人が住みたがらない国であれば、
いくら条件を簡単にしてもニーズがないので無意味。
むしろ制度を作ったり、
維持するためのコストのほうがかかってしまう。
たとえばアフガニスタンが門戸を広く開放しても、
先進国から人が集まるとは思えない。
所得水準が高い先進国であれば、
外国人の流入は自国民が職を奪われることになるので、
失業率の上昇や政権への不満が高まる原因になる。
そのため、ヨーロッパ各国やアメリカは
むやみに外国人を受け入れないし、
富裕層や特別な能力のある人だけに絞る。
平均レベルの資産・収入レベルの日本人では相手にされない。
こうした事情の中で、フィリピンが特殊な国であること、
クオータービザという永住権の条件が
イレギュラーなレベルで恵まれていることは
単なる偶然ではない。
年間の永住権取得数には上限も
フィリピンの永住権は取りやすいが、
日本人への割当は年間50人という上限がある。
この人数を満たしたら翌年まで待つしかなく、
厄介な人数制限が存在する。
ということで、私は現在申請手続き中。
すでに健康診断や銀行口座開設(私の場合はHSBC)を終え、
エージェントが取得に向けて動いてくれている。
後日談、永住権を取得できた
上記の記事を書いてから、面談を経てフィリピンの永住権を先日取得できた。
ついに初めての永住権を獲得したことになる。
手続きの手順としては、
最初の渡航で健康診断とマニラの警察本部での手続き、
2回目に移民局で面接、
最後はビザをもらうだけとなる。
私の場合、マカティに住んでいる時に手続きを始めたため、
1回目と2回目は渡航することなく、
そのまま手続きを行った。
その後、最後の手続きだけは
海外にいたのでマニラに戻ってきた。
すでに私は世界一周をしつつ非定住生活をしているので、
すぐにフィリピンに住むわけではない。
マニラのマカティには以前に住んだが、
現在はコンドミニアムも引き払った後のため、
予定通り、居住候補地の保険として使っていくことになる。
それにしても、
思いの外簡単に取得することができた。
ただし、このハードルの低さもいつまで続くかは不明。
さすがに常識外のレベルなので、
条件が是正されたとして不思議はない。
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後日談その2、セブに住むことにした
フィリピンの永住権、クオータービザが取れてから
すでに1年以上が過ぎた。
当初は将来の保険として取得したが、
早くも効果を発揮する機会に恵まれた。
というのも、1年半ほど各国を転々とした後、
しばらくセブに住むことにしたから。
以前にはマニラのマカティで暮らしたが、
セブではまた違ったライフスタイルを送れそう。
こういった選択の幅が広がるのは嬉しい。
そしてもう1つ、永住権を取ることには大きなメリットがある。
というのも、本来は外国人向けに発行されている
ジャパンレールパスを使えること。
このジャパンレールパスは外国人旅行者、
海外在住で永住権を保有している日本人のみが使える鉄道パス。
破格の値段で新幹線も含めてJRの電車を利用できるため、
日本の旅をローコストで楽しめる。
日本の移動コストは世界的に見ても高いため、
この点の費用を削減できるのはありがたい。
ということで、折を見てジャパンレールパスも
活用してみようと思う。
※追記:ジャパンレールパスの海外在住日本人への発給は終了
ただし、日本は四季があるため、
訪れるタイミングが難しい。
一時帰国をする際にも、
最低限の用事だけを済ませてさっさと去るのが
通例のようになっているが、
うまく季節を選んで全国を周ってみるのも面白そう。
海外生活が長くなることで、
新しく見えてくる側面も出てくるのではないかと思う。
セブでは、メイドを雇うかどうかも考え中。
家事から解放されるのは
フィリピン生活のメリットの1つ。
ただし、10年といった長い単位で住むわけではなく、
しばらくコンドミニアムを借りて暮らした後は
再び他の国にも住んでみたい。
そのため、メイドを専属で雇うのではなく、
週に何度か掃除に来てもらうことも考えている。
メイド部屋はあるものの、
住み込みで働いてもらうほどの仕事量はないし、
自宅に他人がいるのも気が散る。
通いでメイドを雇うか、
それとも掃除の外注サービスのようなものを使うか、
この点は考えどころ。
どちらにしても、
家事に割く時間が減るのは嬉しい限り。
海外に移住するのは本当に難しいのか?
日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。
同時に、
「英語が苦手で・・・」
「海外での部屋選びで失敗しないか不安」
「他の国での生活を想像できない」
「下見で何を確認したらいいか分からない」
「移住後の仕事やお金が問題」
等々の様々な不安や悩みも耳にする。
そこで、10年以上海外で暮らし、
4ヵ国に住んできた経験を凝縮した電子書籍、
『「いつか海外に住みたい」を手の届く現実にするための本』
を無料でプレゼントすることにした。
電子書籍の目次等も掲載しているので、
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