ロンドンの風景に慣れるまでの期間




初めての海外に出たのがロンドンだった。

空港から地下鉄の駅に乗り換え、街に出てみて、その風景に感動したのを今でも覚えている。

その反面で、その初対面のような思いというのは、すぐに消え去ったことも記憶している。

だいたい3日ぐらいすると、すっかりと慣れてしまって、特別心を動かされることはなくなった。

あれから何年も経って、再びロンドンを訪れてみたが、やはり最初のうちというのは、アジアの風景との違いにハッとさせられるものがある。

どうしても、国であるとか地域によって、全く建物の建築様式であるとか、町並みというのは変わってくるので、そこら辺の風景というのは住んでいるとどんどん飽きてしまうし、むしろうんざりしてしまうことすらある。

こういった感覚を拭い去る為に、時々他のエリアに移動するというのは、感覚を保つ為にもいいと思っている。

しかしながら今回は、シドニーやメルボルンに行ってからそれほど間も経っていなかったので、ロンドンに来て半日もしないうちにこの風景にすっかり慣れてしまい、特別感動することもなく、勝手知ったる場所のような感じになってしまった。

実際、以前に観光名所と呼ばれるような場所は訪れているし、2週間以上滞在していたので、それなりにロンドンというのは勝手がわかっている。

今回も、ケンジストンガーデンを中心に一日を過ごしたりとか、後はテイトブリトゥンや大英博物館等のいわゆる見所と呼ばれるような場所を転々としたりとか、そういった過ごし方をしていたので、目新しい場所に行くというよりは、以前にも見たことのある風景を、再び目にするという感覚になる。

そうなってくると、季節の違いであるとか、あるいは新しく開発されたりとか、そういった点もあるとはいえ、基本的には同じものを見ているというだけで、飽きるまでの期間が三日から半日に短縮されてしまったというのは、かなり残念だった。

これまでに、オセアニアやヨーロッパには訪れているし、基本的にアメリカや南米に行ったところで、そこまで風景が激変するわけではない。

そう考えてみると、どこの国に行っても、その町並みについて驚いたりとか感動したりするということは、今後少なくなってしまうのかもしれない。

これは、経験を積んでいく以上は仕方のないところではあるものの、ワクワクした思いとか、キラキラした感情がなくなっていくというのは、若干残念なところではある。

実際問題として、訪れたかった場所に行ってみたら、意外にがっかりだったということはよくある話だし、実際にそういった場面もあった。

例えば、北アイルランドのベルファーストという町から更に北上して、巨人が石を積んだ場所という伝説が残っている崖に行ってみたが、こちらは事前に期待していたほど風変わりな光景というわけでもなく、意外に普通の場所という印象だった。

そういったことを経ながらも、様々な経験を積むことで、次の新しい目標であるとか、望みというのも出てきているので、先行きに希望がなくなってしまうということはないと思うが、かつての海外を全く知らなかった頃に比べると、若干の閉塞感が漂っているというのも、否めないところではある。



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執筆者、伊田武蔵
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