バイリンガルとは意味があるのか?意外な落とし穴とは?

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厳密な意味でのバイリンガルとは2か国語を母国語レベルで
使いこなすことが出来る人ということになる。

つまり、多くの日本人のように中学等で英語を勉強し始め、
その後にいくら努力しても基本的にこの定義に該当しない。


学術論文ではないので厳密な定義にこだわるのは意味がないし、
ここでは幼児教育として2か国語を習得した人という程度の意味で
バイリンガルという言葉を使っていこうと思う。

日本で言えば、バイリンガルや帰国子女とは特殊な存在で、
良くも悪くも目立ってしまう。

実際、帰国子女といえばオーバーリアクションとか、
ツンケンして和を乱すとか、
何かしらのステレオタイプなイメージがあるはず。


ただ、日本から出てみて分かったのは、
国によっては二ヶ国語を話せるのはごく普通のこと。

たとえばフィリピンはタガログ語(島によっては別の言葉)と
英語が話せる人が多い。

アジアでもトップクラスの英語力を持つ国なので。


マレーシアでも中華系住民はマレー語と中国語を使う。


彼らは特別に優秀なわけでもなく、
英才教育を受けたわけでもない。

バイリンガルになることが普通の環境で育っただけ。

その程度のことでしかない。



そして、彼らの平均所得を考えた時、
バイリンガルとは本当に意味があるものだろうかと
疑問に感じることがある。

たとえばフィリピン人は英語ができても
月収5万円もいかなかったりする。

日本人とフィリピン人では働く環境が違うので、
もちろん一概に比べることはできないし、
そもそも比較に意味がないと思うかもしれない。


ただ、国際的に見たバイリンガルの価値が
この程度でしかないというのも事実。


二ヶ国語を話せるから優秀なのではなく、
ただ普通なだけと考えてみると
必死に教育するモチベーションは失われてしまうかもしれない。

たとえば子供を幼児期から留学させたり、
親子で教育移住をするのは簡単なことではない。

実際、私の友人でもマレーシアに母子留学をしている人がいるが、
決して簡単に行えているわけではない。


その対価として得られるものが
せいぜい給料が月に2,3万上乗せされるだけとか、
下手したらその程度の価値もないとすれば
バイリンガルを目指す意味とは何だろうと思ってしまう。



経済が停滞し、
それどころか長い目で見ると衰退する日本を出て、
国際的に活躍できる人材に我が子を育てたいなら
海外経験を積ませることや語学を習得させるのは有益。

それがないとスタートラインに立つのも難しいので。


ただ、バイリンガルになっただけでは、
他の国の人とも競争することになるのも事実。

アメリカ人やヨーロッパ人ばかりではなく、
圧倒的に人件費が安いアジアや南米の人とも競合する。

ちょっと二ヶ国語を使える程度なら、
その競争の中で生き残るのは容易ではない。


バイリンガルどころか、トリリンガルの人も
海外ではよく見かける。

たとえばマレーシアとフィリピンで
それぞれ永住ビザを申請した時には、
サポートしてもらった会社の人には
そうした語学堪能な人がどちらにもいた。

マレーシア人ならマレー語・英語・日本語を話せ、
フィリピン人ならタガログ語・英語・日本語を話せる。

それでも彼らの収入は日本人の新卒の給料より低い。


中国系マレーシア人の場合、
マレー語と中国語のバイリンガルは普通。

優秀な人だと、
さらに英語を習得してトリリンガルになる。


むやみに海外に出て働いたところで、
こういった優秀で安い人件費で喜んで働いてくれる人と
戦っていかなくてはならなくなる。

結局、バイリンガルになってもゴールではなく、
まだまだスタートにすぎない。

事実、使いものにならない帰国子女の話なんて
耳にすることはいくらでもあるはず。


必死に教育環境を整えても、
ある意味でその程度の効果しかないのかもしれない。

それでもより良い教育をしたいと思うなら、
たしかに日本で学校に通わせることに不安な点はあるし、
海外に出すことも1つの方法なのは事実。

ただ、バイリンガルとは成功が約束されているものと
誤解してしまっているのなら考えなおした方がいいかと。

日本を出てしまえば、そんな人はゴロゴロいるので。

そして、海外生活をしていく上では母国語並みに
流暢な英語を話せる必要もないし、
(実際に私は4カ国に住んだが片言の英語だけ)
ビジネスをする際もたどたどしいビジネス英語だけで
実は渡り合えたりする。

むしろ変に言語だけうまい人よりも、
ビジネスに強い人の方が海外でも重宝されるのが現実。

その点はどの国でも変わらない。


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帰国子女のジレンマ

親の海外赴任に伴って日本を離れていたり、
長期の留学で帰国子女となった場合、
環境の関係でバイリンガルやトリリンガルになっていることが多い。

日本でも中学・高校で英語は主要科目だし、
できないよりはできた方がいい。

就職の際、TOEICやTOEFLの点数を
アピールポイントとして使う学生も少なからず存在する。

では、帰国子女は就職戦線において引く手あまたなのか?

残念ながら、むしろ就活においては冷遇されている面が強い。

ダイバーシティ(多様性)が世界のビジネス界で叫ばれても、
まだまだ内向きな日本企業は多く、
同質性に軸を置いている会社が主流。

そんな中で、
扱いづらそうな帰国子女を雇うのは
それなりにリスクを感じるのだろう。

日本人としての感覚を共有できることの方が、
バイリンガルとして語学に長けていたり、
海外生活の経験を持っていることよりも
サラリーマン市場においては高く評価されている。


これは価値の絶対評価の話ではなく、
目的に合ったキャリアになっているかどうかが問題。

日本の会社で差し障りなく勤め上げたいなら、
バイリンガルになるために帰国子女になるのは
不利な選択かもしれない。

しかし、海外赴任を希望していたり、
外資系企業に就職したかったりするのなら、
プラスに働く場合も多々ある。


そして、私のように個人で仕事をする場合には、
どの国に住んでいたかを強みにできる場合も、
どうでもいい場合もある。

何しろひとくくりに起業家と言っても、
活動内容は人によって千差万別なので。


言語が話せることの先の世界


仮に15ヶ国語を話せる人がいたとしても、
おそらくいくつかの言語は役に立っていないのではないかと
素朴な感覚として思う人が多いだろう。

これは2カ国語の場合にも言えること。

バイリンガルになっただけでは、
将来の安定も成功も幸せも確定しない。

ただ、意思を伝達する手段を得ただけ。

もちろん、母語しか話せないよりも可能性は広がる。

しかし、過剰な期待も考えもの。

特に大人になってから外国語を学習する場合、
戦略的に計画を練らないと
役に立たない資格試験の勉強のようになってしまう。

中途半端に語学力だけあっても、
役に立つスキルがなければ単純労働力にしかならない。

そして世界的に見て、
単純労働力は現在でも買い叩かれているし、
ロボットや人工知能に置き換えられる方向性で世界は動いている。


また、中国で生活したいわけでもないのに、
中国語ができるという理由で海外転勤を余儀なくされた人も。

インドや中国のような大きなマーケットは
経済的に見ればたしかに魅力的。

しかし、そこで暮らしたいかどうかと問われれば、
人によって答えはまちまちだろう。

余計な強みを持ったために、
住みたくもない国への移住を強制されては
笑うに笑えない。



子供の教育を考える場合には、
大人のように戦略をしっかり立てることは不可能なので、
ある程度活動の幅を広げるために
無駄になる可能性も受け入れつつ
バイリンガルとして育てるのはありだろう。

ただし、母語の能力がしっかり育たないと、
思考力や論理を司る力まで巻き添えで伸びず、
浅い思考しかできなくなるリスクもある。

幼い頃から複数の言語を習得させるのは
メリットもあるがリスクもあるため、
そのことはあらかじめ把握しておくことをお勧めする。


友人夫妻は息子をトリリンガルに育てたが、
使わない言語があると忘れていってしまうため、
中国語のメンテナンスのために香港に行ったりしている。

覚えたら終了ということではなく、
その後も使い続けることが必要なので、
環境が変わると覚えたものが抜け落ちる可能性についても
検討材料の1つに加えておいた方がいいだろう。



脳トレとしての語学学習

ここまではバイリンガルになることに
疑義を呈す話が多かった。

しかし、日本人が英語や他の言語を
持つことに意味がないわけではない。

たとえば、二ヶ国語以上の話者になる方が
自分を客観的に見ることができるとする研究もある。

複数の言語、複数の文化からの視点を持つことで
自分自身を多角的に見ることができる。

これは悪くない。


あるいは使っている言語によって
性格が変わるという話もある。

私の知人のトリリンガルの人も、
日本語を話している時に比べて、
中国語を話している時は押しが強くなると言っていた。

ランカスター大学の言語学者、
パノス・アサナソプロスの研究でも
この点は証明されている。

文法が変わると物事の捉え方が変わり、
性格にも影響が出るらしい。

複数の視点を得られるという意味では、
2つ以上の言語を操れることはプラスになるのだろう。


海外に移住するのは本当に難しいのか?


日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。

同時に、

「英語が苦手で・・・」

「海外での部屋選びで失敗しないか不安」

「他の国での生活を想像できない」

「下見で何を確認したらいいか分からない」

「移住後の仕事やお金が問題」

等々の様々な不安や悩みも耳にする。

そこで、10年以上海外で暮らし、
4ヵ国に住んできた経験を凝縮した電子書籍、
『「いつか海外に住みたい」を手の届く現実にするための本』
を無料でプレゼント
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電子書籍の目次等も掲載しているので、
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