ベトナムにおける外国人とベトナム人の給料の差

新興国から先進国に発展していくほど、外国人の給料とその国のローカルの人の所得水準は、だんだん近づいていく傾向にある。

実際、日本で働いている外国人が日本人に比べて何倍も高い給料を得ていることは、それほど多くはない。

もちろん、それなりのポジションについている人であれば、月収が高いことはあるとしても、誰でもできるようなサラリーマンやバイトの仕事をしているだけで、月収50万円、60万円を稼ぐとか、そういったことは、たとえ外国人が就労した場合でも考えられないのは納得できる話。

アジアの中で見てみると、香港などもこういった傾向にどんどん近づいている。

これに対して、ベトナムのようなまだまだ発展途上の国においては話が違って、日本人であれば、ベトナム人の4倍ぐらいはもらっているのが一般的になる。

そうは言っても、日本人の給料から見ると、現地雇用のサラリーマンは給料が安くて、だいたい下限であれば1000ドル、つまり10万円程度から働くことになる。

これに対して、ベトナム人で一応英語が話せるというレベルの大卒の人であれば、250ドル程度からの雇用ということになるので、だいたい4倍程度の差がある。

こうした格差は、ある意味でいうと不平等であると考えられる。

同じ仕事をしたところで、ある人は別の人の4倍も給料をもらえるのだから、不満が溜まるのも仕方がない。

しかしながら、これも需要と供給のバランスを考えると、納得できる部分もある。

もし仮に、日本人に月収2万円〜3万円でフルタイムで働いてくれという話を持ち掛けたら、断られるのは目に見えている。

ということは、日本人の力が必要であるということになれば、必然的に最低でも10万円程度は出さないと雇用を確保することができない。

なにしろ、2万円〜3万円で働くということになったら、日本人は自分の国に帰ることもできないわけだし、それなら日本でフリーターでもやっていた方が、よほど稼げるということになってしまう。

どうしても一部の職種は先進国の技術が必要だったり、あるいは日本語をはじめとした、ベトナム語以外の外国語が必要なこともあるので、一見すると同じ職種でありながら、明らかな所得の格差が生まれるという現象が起きている。

ただ、逆に言えば、ベトナムが香港や日本のように、先進国化していくことによって、この溝は埋まっていくのだろう。

言ってみれば、今現在の状況は直接的な職務上の能力というよりは、それ以外の文化的な背景とか、あるいは言語上の希少性とか、そういった部分で日本人や外国人の収入が増えている状況なので、ベトナム人としては面白くないところがあるとは思うが、仕方がない部分でもある。

雇用主側の立場に立って考えてみると、できるだけ人件費は安く買い叩くのが彼らの論理なので、わざわざ250ドルや300ドルで雇うことができるベトナム人に、1000ドル払う気持ちはないだろう。

逆に言えば、月収1000ドル払わなければいけない日本人を、必要以上に雇用しようともしないはず。

そして今後、ベトナム人の能力が伸びて日本人を必要としなくなっていけば、必然的に日本人はベトナムの中で失業するか、もしくは給与水準が低くなることに甘んじなければいけなくなる。

それはそれで正しい競争原理の範疇での話なので仕方のないことだし、そういった事を避けるためには、やはり個人としての能力を高めて、自らの価値を上昇させるしかない。