日本ほど治安の良い国はないと表現されることも多いが、実際にそうであるのかどうかということについては、かなり疑問が残る。
例えば、バンコクから福岡に行った時には、たまたまどんたく祭り最終日だった博多駅周辺の方が不穏な空気がした。
あるいは新宿の歌舞伎町であるとか、そういった日本の中でも比較的危険とされる場所であれば、海外の治安の良い国や、治安の良いエリアと比べて、むしろ空気はピリピリしている。
海外移住が危険であるという認識は、一部には正しいし、また一部には未知の世界に対する恐怖というバイアスがかかっているだけで、感情によって不当な評価をしている側面もある。
そこで、実際に海外移住をしてみて感じた危険と安全の度合について、まとめておこうかと思う。
顔面流血事件は移住先のことではなく
海外に住み始めてから2年目に中国に旅行に行った際、タクシー乗り場の順番待ちで割り込んできた中国人に、未開封で中身が入ったままの330mlの缶のお茶を顔に投げつけられて、左目が開けられないぐらいに流血したことがある。
こういった事件は、海外は危険というイメージを植えつけるが、これは移住先での出来事ではなくて、中国というかなり特殊な国に旅行に行った時のこと。
その後数日は病院で派手に包帯を巻かれていたので、大けがのような感じになってしまったが、フィリピンやマレーシアでこうした危険を感じたことがあるかというと、ほとんどない。
皆無とは言えないところなのは、マレーシアで一度のこぎりを持って走ってきた男を、20mほど離れたところで見かけたことがあったから。
辺りはほとんど人通りがなく、コンドミニアムから出た直後の場所だった。
なぜのこぎり男が必死に走っていたかというと、どうやら強盗か何かに失敗したらしく、後ろからゴルフクラブや金属バットを持った男たちが追ってきていたので、そこからの逃走だった模様。
すぐに警察が来て逮捕されていたが、もしも男が私の方に走ってきたらと思うとゾッとする。
結果的には別の方向に行ったので危害を加えられることはなかったが、当然ながら武器も何も持っていない丸腰の状態で、いきなりのこぎりで切りつけられても、対応できるはずもなかった。
マレーシアに住んでいた時に、唯一ヒヤッとしたのはこの時の経験のみで、タクシーの運転手との言い合いは日常茶飯事になってしまったが、他のトラブルに見舞われることはなかった。
移住先の治安情報はあまり役に立たない
一般論として言うと、フィリピンの方がマレーシアよりも危険と言われることが多いし、統計を見てみると、その通りということになる。
しかしながら、マレーシアにおいては細かいトラブルが頻発していたのに対し、フィリピンに移住してからは、特にそういったことはなかった。
この理由は単純で、運に恵まれていたとか、実を言うとフィリピンの方がマレーシアよりも安全だとか、そういうことではなくて、住んでいたエリアの違い。
基本的にマレーシアにおいては、クアラルンプールにしろペナンにしろジョホールバルにしろ、日本人の移住先として人気のある町は、どこも治安が良いとは言えない。
悪くはないというレベルであって、本当の意味で安全なわけではないし、例えば首都のクアラルンプールであれば、友人がタクシーに乗って指定先とは違う場所に連れ去られそうになったこともある。
国全体として言うと、そこそこに安全だが、結局どこに行ってもそれなりに危険というのがマレーシア。
それに対してフィリピンは全体としては危険だが、私が住んでいたマカティとか、それ以外でもマニラ市内であれば、グローバルシティやオルティガス、セブ島の中でもマクタン島やセブシティ等のエリアであれば基本的に安全。
そのため、マカティに住んでいた頃には、ヒヤッとしたこともない。
ここであれば、それこそ日本の一部のエリアよりも、よほど気楽に歩くことができるし、夜であっても何の問題もなく一人歩きをしていた。
国全体の情報を掴んだところで、その国の隅々まで走り回るわけでもないのだし、自分が住むエリアがどうであるのかが治安情報においては重要。
特にフィリピンのように、外国人の居住エリアについては治安を徹底的に改善し、外国人を誘致してお金を落としてもらおうと優先策を取っている国もあれば、マレーシアのようにどこに行こうが中途半端な治安で、十分に安心してのんびり気を抜けるようなエリアがほとんど存在しない国もある。
かと思えば、タイのように基本的には全体的に安全で、外国人の居住エリアに関しても、軽犯罪を除けばほぼ安心といった国もあるので、ここら辺は国単位だけではなくて、町単位、さらに言えばエリア単位での事情も考える必要がある。
もっと言えば、それぞれのコンドミニアムや戸建の住宅が集まっているエリアであれば、タウンハウスがバリケードで囲まれていて、そのエリアに部外者が入ってこれないようになっていたりもする。
そういった場合であれば、その壁の内部は、だいたいの場合は安全だし、壁から出る時にどのような交通手段を取るのか、例えば自家用車なのか、タクシーなのか、運転手が付くのかどうか等の生活スタイルによって危険に見舞われる頻度も大きく変わってくる。
こういったところまで考えて海外移住の危険度を計る必要があるし、一概に日本にいる時と比べて危険であるとは言えない。
また、リスクが多少高まったとしても、それは人生の中で気にしなければならないほどのものなのかどうか、という点も重要なポイント。
どうしても治安に関することは、一部の事件がショッキングに取り上げられるので、悲惨な想像をしてしまう。
しかし、身の危険ということであれば、微妙に犯罪率が上昇するよりも、運動不足や食事の食べ合わせ等の問題によって生活習慣病になるリスクの方がはるかに高かったりもする。
ただ単に感情に流されてリスクを判定するのではなくて、そういったことも冷静に考えてみると、必ずしも海外移住は危険なものではないという結論が妥当ではないかと、これまでの4年半の生活を振り返ってみて感じる。
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