ヨーロッパで仕事をしようと思わない理由


移住したいとは思いつつも、
ヨーロッパで仕事をしようという考えは浮かんでいない。

以前にフィンランド移住を検討したが、
これもヘルシンキで働きたいと思っていたわけではない。

たしかに現地でビジネスを興すなり、雇われて働くなりすれば、
国によってはビザが取りやすい。

たとえばオランダやドイツがその例で、
多くの日本人がSOHOビザ等を取得して働いている。

それなりに多額の資金と手続きが必要な投資ビザに比べると、
ハードルが低いと感じる人が多いのがこの方法だろう。


移住のための視察を繰り返した

クロアチアのリエカ
私もヨーロッパに住みたいとこの数年感じてきたし、
現地の住環境を観察するために
毎年3ヶ月を向こうで過ごしてきた。

この数年だけでも、
イギリス、アイルランド、ドイツ、ポルトガル、スペイン、
イタリア、クロアチア、ポーランド、チェコ、スロバキア、
ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアに足を運んできた。

その結果、住みたいという気持ちは揺らいでいないが、
仕事をヨーロッパでする気は相変わらずない。


というのも、私はすでにビジネスを持っているため、
ビザ取得のみのために新しい仕事をするのは本末転倒。

生活のためでも、収入のためでもなく、
ただSOHOビザやワーカービザを得るために
法人を立ち上げ、売上を作るのはいかがなものかと。

すでに場所に囚われずに仕事ができる環境は整備したので、
ヨーロッパにいても今のビジネスを継続可能。

それは東南アジアをウロウロしながら暮らせていることでも
すでに証明してきた。

当初は日本で始めた仕事だったが、
フィリピンやマレーシアに住んでいる間も問題なかったし、
ヨーロッパを3ヶ月に渡って旅しても困ることがない。


ただ、そのビジネスを使って
ビザを取るのは手続きとしてなかなか難しい。

ベルリンでSOHOビザの取得も検討したことがあるが、
現地の複数の会社の推薦状をもらう必要があり、
そうしたつながりを作るところからのスタート。

はっきり言えば、要らない仕事が増えることにほかならない。

そこまでしてヨーロッパの特定の国でビザを取るより、
ノービザでの滞在をするほうが合理的ではないかという気もしている。

その結果、毎年3ヶ月をヨーロッパで過ごしながらも、
結局本格的なヨーロッパへの移住はしないという煮え切らない結果につながっている。


仕事の位置づけ

仕事の目的は人によって違うが、
かつては生きるためのお金を稼ぐことが第一義だった。

そのためにサラリーマンになったし、
組織の中で活動する息苦しさや、やりがいのなさを嫌って
独立することにした。

収入が増えてからはやりがいや貢献に興味がシフトしていったが、
ここでヨーロッパに住むことを目的に
仕事の形態を変えたいかと言われると、割り切れない思いが残る。

今のビジネスを向こうに持っていくのか、
あるいはもう1つ追加で加えるのか?

どちらを選んでも、
無用な面倒が増えることは間違いない。

そして、本質的に相手国が求める就業形態と、
私が望んでいる働き方の間には微妙な齟齬があり、
本質的には相容れないだろう。

そうなってくると、
いっそのことハンガリーの投資永住権でも取って
ヨーロッパ各国(正確にはシェンゲン圏)に住めるようにする方が
判断としての妥当性の面で軍配があがる気がしている。


さらに言えば、
ノービザでの滞在期限内で移動する現在のスタイルも
特に問題があるわけではない。

飛行機の長距離フライトが年に何度か生じるので、
それが少々面倒なぐらいで。

そちらもマイルをためてビジネスクラスにアップグレードすれば
身体への負担は減らすことができる

体力の消耗を抑えられるのであれば、
ヨーロッパとアジアの間を年に一往復するぐらいは
ビザ取得の手間と比較したらかわいいものかもしれない。


1つの国に住みたいかどうか

プラハ
元々、私はヨーロッパの特定の国に住みたいわけではなく、
基本的に色々な国で暮らしたい。

シェンゲン協定という特別な仕組みがあるおかげで、
フランスでビザを取ればスペインにもドイツにも
パスポートにスタンプも押されずに移動できるという
特殊な事情があるからこそ、
ヨーロッパという大まかなくくりでものを考えてはいる。

見方を変えれば、
仮にオランダで労働ビザが取得できたとしても
他の国に住むことをすぐに考えるだろう。

オランダにとどまるのは長くて一年、
アムステルダムやハーグ等の1つの街ではなく、
複数の街を渡り歩きながらだろう。

もっと言えば、
冬の寒さの厳しいオランダは
年末が近づいてきた頃には脱出して
南欧かポルトガルにでも行く可能性が高い。

そうなると、
コンドミニアムやアパートメントを
1年単位で借りるという生活は送れない。

結局ホテルぐらしとか、
短期でのアパートメント契約を繰り返すことになり、
実質的に現在の生活と似たようなスタイルになる。

ただ1回の滞在の期限が90日以内か、
もっと長くなるかだけの違いで。


私は別にロンドンのシティで金融の仕事をしたいわけでもないし、
プラハの観光ガイドの職に就いたり、
ベルリンの街をビジネスマン然としてスーツ姿で
取引先や同僚と談笑しながら歩きたいわけではない。

私が希望しているのは、ヨーロッパに住むこと。

もしくは期限を気にせずに長く旅すること。

半年で90日以内という制約を外して
もっと長く滞在したいというだけで、
ヨーロッパで仕事をするとしても、
それはビザを取るための手段でしかない。


そして、手段と目的を取り違えることがなければ、
アプローチの方法はたった1つではない。

投資ビザを含めた別のビザの取得、
現在のような移動の多い無拠点生活(ホテル暮らし)、
こうした選択肢も合理性を帯びてくる。


リスクを冷静に分析すると

すでにビジネスを保有していて、
それがうまくいっている状態において、
わざわざビザ取得目的で他の国でビジネスを立ち上げ、
結果として可処分時間や意志力を分散させることが
破綻の原因になるリスクはどれだけあるだろう?

それを考えると、
ヨーロッパでビザが取れる形で仕事を作るのは
あまり賢明ではないように思えてくる。

たとえ割り当てる時間が短くても、
新規事業には相当な意識や注意を持っていかれる。

新しい取り組みや結果が気にならないわけもなく、
無意識に多くのエネルギーを奪われてしまう。

しかもその多国籍展開が、
単にSOHOビザや労働ビザを取得する目的となると
合理性があるかは疑問。

もし私がそうした相談を受けたとしたら、
実質的には思いとどまる方向を示唆しつつ、
慎重に判断するように諭すだろう。


人は人生に新しい展開を求めがちだし、
特に環境が安定すればたまには刺激が欲しくなる。

ヨーロッパで仕事をしてビザを取り、
数年はアジアに戻らずに向こうで暮らすというのは
喉から手が出るほどではないにしろ、
魅力的なビジョンには違いない。

しかし、他の選択肢とメリット・デメリットを比較した場合、
必ずしも優位性は認められない。

暫定的な結論ではあるが、
今のところはそのように判断している。


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