どの国においても、経済的に余裕が出きてくると、暮らしのための必需品の需要から娯楽や嗜好品への移行が顕著になってくるし、美容や自分磨きの分野での出費も増えていく。
経済成長が著しいフィリピンにおいても同様の傾向は見られていて、マニラにおいては、男性のフットケアも増えているという。
具体的にどのようなことかというと、足の角質の除去とか、あとは爪を揃えてくれたりするという。
セントネイルというネイルサロンでは、30分で350ペソということなので、日本円にすると900円弱ということになる。
この金額であれば、日本人の感覚なら安いと感じるかもしれないが、平均月収が2万円ぐらいのフィリピン人から考えると、決して安い金額ではない。
先日セブで日本人のホテルオーナーに聞いた話だと、従業員が1日働いて得られる日給が250ペソぐらいだということだった。
となると、セブでホテルのフロントや掃除係として働いても、1日分の給料でフットケアを受けることもできないことになり、フィリピンの中では決して安くないサービスであるということがわかる。
しかしながら、フィリピンにも当然ながら様々な階層の人がいるので、美容にお金を出すことができる人達も少なくない。
実際、先日セブで訪れたジェイシティーモールというショッピングモールの中には、150ペソの美容院もあれば、そのすぐ近くにはカットだけで1000ペソを取る店もある。
このようにフィリピンの中で、様々な階層分けがされているし、以前であればごく一部の富裕層と外国人がこういった必需品以外のサービスにお金を落とす構図があったが、フィリピンにおいても比較的給料の高い会社で中間管理職をやっているような中間層も、徐々にではあるが増えてきている。
もちろん日本のように、総中流社会と揶揄される状況とはほど遠く、フィリピンの中間層は非常に数としては少なくなっていて、一部の富裕層と圧倒的大多数の貧困層という構図が根本から覆ったわけではない。
しかしながら、貧困層の中からも徐々に上の方に階層がシフトしてくるケースが増えているのも事実。
こうなってくると、男性であっても美容に気を使って、美白用のメンズ・フェイシャル・ウォッシュを使ったり、美容を意識し始める傾向があるのは、シンガポールやタイにおいて、すでに事実として認識することができる。
マニラにおいては、5年前ぐらいまではネイルアートを専門に行う店が少なかったというが、今では女性用ばかりではなく、男性向けのサービスができるほど状況は変わっている。
ただし、フィリピンにおいてネイルアートの専門店がなかったといっても、こちらでは美容院がマニキュアやペディキュアを行っていた。
専門店がなかっただけで、5年前までネイルアートがほとんど根付いていなかったかというと、それはまた別の話ということになる。
マカティのマッサージでも、低単価の通常のマッサージから利益率の高いエステやスパへの業態転換が一部で注目されているとのこと。
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