海外移住先人気ランキングがあてにならない理由


シンガポールの歩道
海外移住先の人気ランキングとか、
移住しやすい国ランキングというのを
見かけることがある。

マレーシア、フィリピンと住んできて、
次に他の国に住もうと思って色々調べているが、
そこで気づいたことがある。

それは、現実的に住めるかどうかが
考慮されていないということ。

こちらが住みたいと思うだけならただの片想い。

向こうの国に受け入れてもらって、
初めて実現する。

にも関わらず、
海外移住先人気ランキングの上位国には、
一般人ではとても越えられないようなハードルが
ビザ取得に課されている国が多い。

たとえば、オーストラリアやシンガポール。

人気国なのは間違いないものの、
億単位の資産を持っていることが基本的な条件。

他に投資や事業の経歴、
現地での起業予定等によってもビザの種類や条件が変わるが、
基本的に一般的な収入・資産ではとても手が出ない。

オーストラリアは過去にビザを取りやすかったこともあり、
イメージだけで海外移住したい国のランキングに入ってしまう。

しかし、それは過去の話。

少なくても富裕層以外にとっては、
オーストラリア移住は選択肢にすら入らない。

カナダもランキング上位の常連だが、
こちらもあくまで富裕層向け。

世界一住みやすいと言われるバンクーバーを擁する国が
大した資産もない人間を住まわせてくれるはずもない。

移住者を受け入れる国にとってメリットがなければ、
わざわざビザを発行したりはしない。

日本人のパスポートが強いと言っても、
ビザなしでとりあえず住み始められるのは
マレーシアやフィリピン、中国といった
ごく例外的な国だけ。

基本的には就労ビザやリタイアメントビザ、永住権等を
取らなければ住むことはできない。

そして、富裕層以外が移住することを考えると
アジアの国が有力な選択肢にならざるをえない。

これらの国はビザのハードルが低く、
よくランキングでも上位にくるマレーシアなら
50歳未満で1500万円以上の資産、
50歳以上なら900万円程度の資産があればいい。

フィリピンなら年齡に関係なく500万円程度。

先進国に比べて一気にハードルが下がる。

なお、タイも海外移住先として人気だが、
現在は50歳未満のビザ取得は難しくなってしまった。

私も住みたかった国なのだが、
30代の私がタイのビザを取るのは困難。

このように、年齡によって条件が大きく変わることもある。

単なる旅行とは違うので、
海外移住を現実として捉えるのであれば、
自分の希望以外に相手国がビザを出してくれる条件という
現実の部分も見ておかなくてはならない。

人気国のランキングばかり見ていても、
この点がクリアできないと絵に描いた餅になってしまうので。

不人気国への移住が難しい理由


移住人気ランキングが当てにならないと言っても、
まったく役に立たないというのも極論過ぎると感じることがある。

日本人にまったくなじみのない国に住もうとしても、
それも現実的ではなかったりするので。

たとえば、ラトビアは7万ユーロ以上の不動産を購入すると、
ビザを取得することができる。

約1000万円なわけなので、
マレーシアでMM2Hビザを取るのと変わらない。

しかも、ラトビアに住むことを提案したいわけではなく、
ヨーロッパの他の国に住む権利を得られる点が大きい。

シェンゲン協定加盟国内の移動にはパスポートの確認がないので、
ラトビア以外にチェコやドイツ、オランダ、ベルギー等の
様々な国に住むことができる。

同様の制度はギリシャやポルトガル等も提供しているし、
ハンガリーは5年の特別国債の購入で永住権まで得られる。

こう聞くと、マレーシアのビザを取得するなんて
バカバカしく感じてしまう。

マレーシアにしか住めないビザよりも、
ヨーロッパの大部分の国に住めるビザのほうが
価値が高いのは間違いない。

しかし、そのための手続きを確認しようとしても、
日本語では十分な情報が出てこない。

ラトビアなんて、日本人にとって縁遠い国なのだから。

こうして、参入障壁は一気に上がる。

ニーズがないので、サポートしてくれる業者の出現も期待できない。

移住先として不人気な国の場合、
このような問題が起きてしまう。

英語で情報収集をするにしても、
それなりに大きな金額が動くので慎重な判断が必要になる。

自分で全部できるのか、という問題がある。

仮に手続きを丸々自分でやるなら、
行政書士的な仕事も数多く発生する。

こうしたハードルを前にして、
なし崩し的に人気国への移住でお茶を濁すというのは
ある面でやむをえないことなのかもしれない。

ランキングの賢明な活用法

移住先にあてがない状態であれば、
ランキングを見て見当を付けるのは1つの方法。

うのみにして盲信するのは論外だが、
海外事情は限られているのも事実なので、
足がかりとして利用するのはありだと思う。


まずはランキング上位の国を見て、
その中から住んでみたい国をピックアップ。

次に調べるのはビザのような現実的な側面と
住み心地が良さそうかどうかということ。

加えて物価や生活費、必要なら仕事等も
合わせて確認しておく必要がある。



ビザ取得に最低でも7,000万円以上出せる富裕層以外なら、
現地で働いてワーキングビザを取るのか、
リタイアメントビザや永住権が安い国に移住するかの
2択がメインとなる。

それ以外に20代ならワーキングホリデーや留学も
選択肢として加わるといった具合。


私は自分の仕事を持っているため、
海外に移住しても現地で会社をおこすわけでも、
まして雇用されるわけでもない。

しかも30代なのでリタイアメントビザも
ほとんどの国で年齢要件に引っかかり取得不可能。


そんなわけで、フィリピンの永住権を取ったり、
今になって思えば微妙だがマレーシアのリタイアメントビザを
取得して住んだりしてきた。



その後は特定の国に住むのもビザが大変なので、
拠点を持たない暮らしに入った。

要は各国を周りながら生きているわけで、
ホテルに泊まるので家を持つ必要もない。

もうこうなってくると、
海外移住先人気ランキングも関係ない。

何しろ、どこにも住まない身でありながら、
海外生活を送っているという不思議な状態なので。

一国に運命を託すリスク


せっかく海外に移住するのに、
どこか特定の国のカントリーリスクに不用意にさらされ、
心中するつもりなのかと疑われるような生き方をする必要はない。


自然災害であればパターンがあるので、
長期的にはある程度予期できる。

日本であれば地震大国だが、
ほぼ地震のない国だって世界にはいくらでも存在する。

震度3でも多くの外国人にとっては
心底肝が冷えるほどの一大事というように、
地震と無縁に生きられる国もあれば、
そうではない国もある。

津波にしろ、台風にしろ、ハリケーンにしろ、
ピンポイントでタイミングを当てられなくても、
長期的なリスクの大きさは予想できる。


もし自然災害によって
大きな被害を受ける可能性がある国に住むなら、
リスクヘッジはしておくべきだろう。

免震構造の部屋に住むとか、
避難用グッズを用意しておくだけではなく、
いざという時には他の国に移る方が合理的な場合もある。



これは自然災害に限らず、人災でも同じこと。

治安が著しく悪くなるようなことだってありえる。

2014年の段階では、
パリで2015年にあのような大規模なテロが起き、
大統領が非常事態宣言をすると予期していた人は
ほとんどいなかっただろう。


周辺国含め、2015年のヨーロッパは移民問題もあり、
相当に揺れ動いていた。

それは治安にも当然影響を及ぼすし、
彼らのアイデンティティが揺らげば
外国人への接し方も変わってくる。


同様の事態が世界のどこでいつ起きても
おかしくないという事実を踏まえれば、
一刻と命運をともにするのは危険。

特別な思い入れや事情があるならともかく、
そうでなければ身軽さを信条にしたほうが
流動的で変化のスピードの早い時代に生き残りやすい。


そう考えると、
移住先の国は1つだけではなく、
第二、第三の候補があるにこしたことはない。

ただ単に快適に暮らすというだけでなく、
海外移住をリスク管理に活かすということを考えるのであれば。


私の場合、1年半以上ホテル暮らしをしつつ
各国をビザなしの期限内で周っていたこともある。

これなら特定の国、あるいは地域に問題が起きても、
そのエリアを回避しながら生きていける。

また、フィリピンの永住権も取得したため、
マニラやセブにいつでも住める。

こういった環境を整えておくことは、
リスクを一極集中させないためには有効だろう。


海外に移住するのは本当に難しいのか?


日本を出て海外に住むようになってから
「海外に移住したい」という話をよく聞くようになった。

同時に、

「英語が苦手で・・・」

「海外での部屋選びで失敗しないか不安」

「他の国での生活を想像できない」

「下見で何を確認したらいいか分からない」

「移住後の仕事やお金が問題」

等々の様々な不安や悩みも耳にする。

そこで、10年以上海外で暮らし、
4ヵ国に住んできた経験を凝縮した電子書籍、
『「いつか海外に住みたい」を手の届く現実にするための本』
を無料でプレゼント
することにした。


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