海外に留学することは、私が10代の頃にはとても勇気のいる決断だった。
私自身は全く外国に興味がなかったので、留学を考えたことすらもない。
中学のときには学校の制度としてオーストラリアにホームステイをするチャンスもあった。
男女1名ずつだったが、私はこれにも応募をしなかったし、当時の生徒会長たちがオーストラリアまで行ってきた。
それから15年ほど経って、今現在では私自身が海外移住者としてフィリピンに住んでいるが、一度も留学は経験したことがない。
あくまでも生活の場がたまたま外国であるだけで、そこで何か学ぼうとか、学校に通うとか、あるいは就労しようという意志は微塵もない。
自分自身でビジネスを持っているので、他人の組織に入って生きていくこと自体を考えていないので、今後もそういったことをする予定はない。
フィリピンにも語学留学をしている人は多いし、これは日本人の場合でも同じこと。
ただその効果が高いのかといえば、それには疑問を感じる。
フィリピンがネイティブの英語を話す国ではないからという意味ではなくて、例えばカナダやアメリカのようなネイティブの国であっても同じ。
というのも、スカイプ英会話のように安い価格で英会話ができるようになっている昨今、わざわざ現地に行く意味がどれだけあるのかは疑問。
これは英語を学びたいという目的に特化して留学している人の場合で、もちろん他の目的で現地の学校に通っているのであれば別。
例えば、私の友人でデザインを学ぶためにイタリアに留学した人がいる。
こういった場合であれば、それなりに留学をする価値はあると思う。
本場で学んできたという自信もつくし、実績として箔が付くことにもなる。
もし仮にその後独立してビジネスをしていく場合、本場イタリアでデザインを学んだとか、本場フランスでピアノを学んだという実績があるのであれば、それはブランディングにも使える。
もちろん実際にレベルの高い生徒たちに囲まれ、ライバルとして競い合って、そして優秀な指導者につくのは、それ自体とても大きな価値を持っている。
ただそうは言っても、単なる語学留学で海外に行くのであれば、はっきり言えば大して役には立たないと感じている。
それを行ったところで、今後の人生の中でどのような武器になるのか、その点が曖昧と言わざるを得ない。
しばらく海外に住んでみたくらいでは国際感覚なんて大して養われるものでもないし、異文化コミュニケーションも実際行ってみると大したことはない。
しかも仕事をしない世代との交流になるので、現地でビジネスをしていく上でどういったことが支障になるのか、あるいは何に気をつけてやっていかなくてはいけないかということもわからない。
そうなってくると、生きていく上で一体何の役に立つのかという面で見た時に、留学の効用は疑問に思わざるを得ない。
あくまでも旅行の延長のように考えるのであれば、それは私も賛成する。
海外で生活するのは楽しいし、刺激に満ちているのも事実。
しかし、それだけで人生の道が開けると思ったら大きな間違いで、それはサラリーマンがどうでもいい資格を取って未来が保証されていると思っているのと同じように危険なこと。
例えば営業職のサラリーマンが簿記や法律系の資格を取ったところで、履歴書に書ける項目が増えるだけで、現実問題として使える道具にはならない。
留学もそれと同じように、自己満足のためだけに行っている人が多いと思うし、明確なビジョンがない限りは人生を変えるほどのきっかけになることは少ない。