ニューヨークのソーホーで画廊巡り


17番通り近くのホテルからグラウンドゼロまで、せっかくなのでニューヨークの町を歩いてみることにした。

地下鉄を使った方が時間は短縮できるものの、町の色々な部分を見てみたかったので、自分の足で歩いて道中も楽しむことにした。

そしてその途中で通りかかったのが、ソーホーと呼ばれる地区。



この地区には画廊や写真館が多く、そういったものをいくつか冷やかして回っていた。

ここ最近は美術館を訪れることも多かったので、画廊に入るのも久しぶりという感じがあまりしなかった。

一つの通りにいくつもの画廊が並んでいるので、効率的に見て回ることができて、ブロードウェイ通りは個人的にはかなり気に入った。

その中でいくつか気になる絵も発見できて、例えば小さな絵ではあったものの、シルクハットをかぶった男が空に手を伸ばしていて、その上の方にZという文字がいくつも並んでいる。

これは眠る時の効果音としてということではなくて、何かのメッセージという意味で描かれていると思われる。

そして文字が啓示のように降ってきているようにも見えるし、逆にその男が手放した物であるかのようにも見える。

そこら辺の解釈も自由にすることができるし、気になって食い入るように見てしまった。

画廊によっては、扱っている絵に特長があった。

アメコミのような大胆な技法で描かれた絵を中心に扱っているところもあれば、ファンシーなタッチの絵が多かったりとか、あるいは、ジョジョの奇妙な冒険の作者である荒木先生が描きそうなポーズをとった女性を多く描いている絵が飾られている画廊もある。

そこら辺はこのソーホーの中でもだいぶ差別化が出来ていて、同じような画廊が並んでいるだけの通りとはだいぶ雰囲気が違う。

ここはさすがにニューヨーカーが鎬を削って競争しているところが垣間見えて興味深かった。

午後5時には、日が暮れてしまったので、画廊を巡っているうちにあっさりと太陽が落ちて、外は真っ暗になっていたが、画廊の中は暖かく居心地がよかった。

ニューヨークも安全なわけではなく、ワシントンDCの治安が悪いのと同じように、危険な部分は多々ある。

日が落ちると少々心がざわつく。

画廊を出て、グラウンドゼロに向かうまでの道は震えるほど寒く、外を歩いているのが嫌になるほど。

そして途中で見つけた電光掲示板によると、その時の気温が6度だったらしい。

オタワでは5度という気温を見かけたので、このところの旅の中で一番寒いわけではなかったものの、むしろニューヨークの方が体感的には寒いような感じがした。

前日は雨が降っていたので、靴が濡れて冷えていたし、なかなかニューヨークの気候は慣れない。

到着した日はかなり暖かくて、12度と表示されていたので、カナダよりも南下しただけ気温が上がったような感じがしていたが、どうやらその日が特別だっただけらしい。

この町もまた10月の終わりには寒さが厳しくなり、そして11月に入った現在となっては、気温が一桁なのが当たり前になってしまった。


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