ベトナム料理はフォーやバインミーをはじめとして日本人の舌に合いやすく、さらにタイ料理のように激辛のものが少なく、マレーシア料理のように油っぽくないので、お腹にも優しくカロリーも低め。
さらに香草や野菜がふんだんに使われているので、ヘルシーな食事ができる。
また、外国人の旅行者や移住者も多く訪れる国なので、ホーチミンやハノイのような大都市はもちろん、フエやホイアンといった古都においても外国人向けのレストランが多く、和食レストランもちらほら見かけた。
今回は南部のホーチミンから北上して中部のフエとダナンを訪れ、さらにそこから再び飛行機で飛んでハノイに行き、ベトナムの国土を北へ北へと北上していった。
その中で楽しみだったことの一つは、やはり食事。
ベトナムは東南アジアのなかでも、特に料理がおいしい国の一つだと感じている。
日本でも人気のフォー
ベトナム料理の代表格といえば、米を使った麺料理のフォーだろう。
現地ではローカルレストランだと100円くらいから食べることができ、牛肉や鶏肉、豚肉、シーフードなど様々な種類がある。
パクチーが苦手な場合は「ノー・パクチー」と言えばたいていの場合は通じるので、一言注文時に添えておきたいところ。
これを忘れてしまうと食べるときに苦労することになる。
現地でフォーを食べても麺のコシの強さやスープの味にはかなり差があり、当たりはずれがあるが、地元の人に人気の店が必ずしもおいしいわけではない印象。
ここら辺はベトナム人と日本人の味覚の差が現れていると思われる。
むしろほとんど人が入っていないような店のフォーが、良い意味で予想を裏切っておいしかったりすることもあった。
バインミーはフランスとベトナムの融合
ベトナムは一時期フランスに統治されていて、その時代の名残は料理にも、一部の街並みにも残っている。
例えばホーチミンの中央郵便局はフランス人のエッフェルが設計をしているし、ベンタイン市場やハノイのソフィテルレジェンドメトロポールにもフランスの面影が色濃く残っている。
それ以外にもホーチミンであればサイゴン大教会、オペラハウスなどがあるし、ハノイであれば、ハノイ大教会や大劇場、迎賓館等が該当する。
食べ物においては、ほかの東南アジアの国に比べてパンが格段においしい。
特にフランスパン(バゲット)はパリパリで、タイやマレーシアで食べるのとは明らかに違う。
そしてバインミーはこのフランスパンを使ったサンドイッチで、パンのおいしさとベトナムの食がいい意味で一体となったファーストフード。
スタンドと呼ばれる屋台で売られていることが多く、あまり時間がないときや、軽めに食事を済ませたいときに重宝した。
このバインミーにもパクチーが入っていることがあるので、念のためノーパクチーと伝えるようにしていたが、時々忘れてパクチーを入れられてしまうこともあった。
春巻きと生春巻き
フォーと並んで、日本人にとってベトナム料理の定番といえば生春巻きだろう。
ホーチミンからハノイまで、南から北まで縦断してみた結論としては、街によって皮の種類が違うということ。
さらには中身のジューシーさにも差があり、個人的には生春巻きはホイアンが一番美味しかった。
同じく中部のフエは、皮が糊っぽいのと中身がパサパサな店が多く、ホイアンの後に訪れたら生春巻きはいまいち。
生春巻きがある以上、当然ながら揚げた春巻きもある。
こちらはホーチミンが当たり外れが少ない印象を受けた。
パリパリでジューシーなバインセオ
バインミーと名前が似ているが、バインセオはベトナム風にアレンジされたお好み焼きのようなもの。外側はパリパリしていて、中はジューシーになっている。
お好み焼き以外にベトナム風クレープと称されることも多く、主に南部の地域での食べ物となる。
種類豊富なホットポット
ベトナム料理にはホットポット、つまり鍋料理が多く、辛いものから辛くないものまで楽しめる。
野菜だけのもの、シーフードをふんだんに使ったもの、牛肉や鶏肉、豚肉等を入れたものなど、様々な種類がある。
ローカルなレストランでもホットポットを取り扱っていることは多く、細かい注文を考えずにいろいろな食材を楽しみたいとか、栄養のバランスを取りたいと思ったときには重宝するメニュー。
感覚的にはタイスキに近い。
シーフードも豊富
ベトナムは南北に国土の長い国だが、東側には南シナ海がありシーフードがふんだんに採れる。
そのため魚や貝、カニ、エビなどのシーフード料理も多く、特に中部ダナンのビーチ近くではシーフード料理の専門店が多かった。
あさりの酒蒸しや、エビを炒めたもの、各種の魚料理などもたくさんあるし、ホーチミンのブイビエン通りというバーなどが立ち並ぶ通りでは、スルメを売る移動式の屋台も出ていた。
スルメを買ってみたら日本と味はほぼ変わらず、ビールにぴったりだった。
海にあまり面していないタイと比べても、ベトナムのほうが海産物関係は豊富で新鮮な印象を受ける。
フエには独特な食文化がある
ベトナム中部の街で、古都として多くの観光客を魅了して止まない街にフエとホイアンがあるが、特に食文化という面でみると、フエは独特なものがある。伝統的な宮廷料理と家庭料理の二種類があるが、現代においては純粋な宮廷料理はあまり食べる機会がない。
なにしろクジャクの肉等を利用するので、そういった食材を簡単に手に入れることはできず、結果として王道の宮廷料理ではなく、宮廷風の料理を楽しめる店がフエには多い。
ではどういったものがあるかというと、まずはバインコアイ。
さきほどのベトナム風クレープまたはお好み焼きと称されるバインセオに近い料理で、バインセオと比べると、バインコアイのほうが具だくさんで味付けが濃いことが違いとなっている。
ヌクマムやマントムと呼ばれるタレを使って食べるが、タレの味が口に合わない場合には何もつけなくても充分に味付けがされているので、それだけでも楽しめる。
続いてはゴイチャイバで、こちらはエビや豚肉、野菜などを細かくみじん切りにしてタレをかけ、エビのせんべいにのせて食べるもの。
パリパリとした食感と、独特な味との組み合わせが面白いのがこのゴイチャイバ。
肉料理としてはネムルイというものがあり、これはレモングラスの茎に豚肉を巻き付けているもので、日本でいうとつくねに近い感覚。
チャー・ヨー・クン・ディンという揚げた春巻きをレタスと一緒に食べる料理もある。
米を食べたい場合は、コム・センという料理があり、蓮の葉に包まれて提供される独特な見た目と、高級食材でもある蓮の実を使いつつ、それ以外に海老や鶏肉、豚肉などを具にしたチャーハンのような料理。
同じく米関係の料理としては、バイン・ラー・チャー・トムというものがあり、これは米をそのまま使うものではなくて、餠状にしたうえで海老のすり身などを入れた料理でレア度が若干高め。
ブン・ティ・ヌンは米から作られた麺の上にグリルした豚肉をのせたもの。
個人的に好きだったのはバイン・ベオというもので、こちらは小皿の中に餅が入っていて、その上に海老や肉などがあり、ヌクマムという調味料をたらしてスプーンですくってひと口で食べるようになっている。
また米と実の組み合わせということでいえば、バナナの葉の上に、タピオカと米をペーストにして海老を入れたバインナムなどがある。
こういった宮廷風の料理以外にも、フエの街を歩いていてローカルのレストランでしょっちゅう見かけるのがブンボーフエ。
この麺料理はフォーに比べると麺が太目でピリ辛となっている。
フエ料理は全体的に味付けが濃い目なのが特徴。
フォーや生春巻きなどの淡白な味付けとは少々方向性が違うのが面白い。
フルーツシェイクや果物も豊富
ホテルの朝食では、ドラゴンフルーツ、パッションフルーツ、バナナ、パイナップル、すいか、メロン、パパイヤ等がビュッフェ形式で提供されてたりするし、タイと同じように屋台での果物の販売も目立つ。南国のイメージに違わず、ベトナムでは果物が非常に安価なので、南国フルーツ好きにはうれしいところ。
個人的には、最近ドラゴンフルーツからパッションフルーツに興味が移っている。
すべてのホテルの朝食ではなかったものの、半分ぐらいの所にはパッションフルーツがおいてあって、朝から独特な種の食感と酸味を楽しむことができた。
それ以外にも果物の安さを反映して、フルーツシェイクも150円くらいで飲めたりするので、料理だけではなく飲み物においても南国の雰囲気を楽しむことができる。
ただし、年末年始においてはベトナムの中部にあるフエやダナン、ホイアンといった街や北部のハノイはそれなりに気温が下がり、暑いというほどではないので、東南アジアだから常に真夏のような気候だろうと思って現地を訪れると拍子抜けするかもしれない。
まとめ
ベトナム料理はおいしいし、数日くらいであればそれだけを食べていても飽きない。もう少し長期間にわたって滞在するとしても、ステーキやピザ、パスタ、ハンバーガーをはじめとした洋食を出している店も多く、バーなども頻繁に見かけるので、ここら辺をうまく交えていけば飽きるのを防ぐことができるだろう。
次は観光ビザを取って三カ月滞在する予定なので、その時にはまた改めてベトナム料理を堪能してこようと思う。
なお余談だが、世界各国、特にアジアを出て北米やヨーロッパ圏にいくと、ベトナムのネームバリューはかなり高いことが分かった。
東南アジアのなかでみると、タイが料理及びマッサージにおいて圧倒的に頻繁に見かける国名だが、それに続くのがベトナム。
それ以外の国、例えばカンボジアやミャンマー、マレーシア、フィリピンなどの国名を見ることは非常に少ない。
そういった意味で考えると、ベトナム料理はアジアの中に限らず世界各国で愛されているといってよいのだろう。
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