毎年ヨーロッパで3ヶ月を過ごすようになって、
貧富の差や移民問題等の負の側面についても
否応なしに目にすることになった。
私が普段暮らしている東南アジアは
国全体としてまだまだ豊かではないことが多く、
いくら急成長しているとは言え、
十分な所得を得られない層が相当数存在する。
たとえば、マレーシアでは主流派のマレー系が
中華系に仕事を奪われたり、
経済の根幹を握られていることへの不満が募り、
それを緩和するためにブミプトラ政策によって
マレー系を保護して国の形を維持しているほど。
フィリピンでも暮らしたが、
学校に通えない子どもたちがまだまだいる。
いわゆるホームレスの人は多いし、
マニラの一部エリアでタクシーに乗っていると、
信号で停車したところで物乞いが寄ってくることもあった。
ジャカルタになると、
停車中の車によってくる人数はマニラの比ではなく、
物売りから物乞い、
勝手にフロントガラスを拭き始めて
チップを要求する人が入り乱れる。
東南アジアは貧富の差がもちろんあるし、
一部の上流階級は財閥を形成して世界的な富裕層になっている。
フィリピンのようにお金持ちに有利な税制や
銀行の情報開示システムを持っている国もあるので、
構造的に貧富の差が広がりやすいという問題もある。
ヨーロッパの中流階級の崩壊
一方、ヨーロッパに目を向けるとどうか?
中流階級と言える人達の割合は、
やはり東南アジアの新興国よりも圧倒的に多い。
二極化している状態から
中流階級の層が厚くなりつつある東南アジアに比べ、
ヨーロッパは日本と同じで中流階級が崩壊する傾向にある。
そのため、今までは貧困層ではなかった人達も
自分たちの将来に不安を感じている。
移民や難民の問題は、安い経済力が入ってくるという意味で
中間層・低所得者層にとって深刻な問題。
一方、移民は一般にヨーロッパの移住先の国の中で
元々住んでいた人達よりも所得が低く、
彼らも貧富の差の貧しい部分を担うことが多い。
フランスのように人種等で統計を取ることすら禁じる国もあるが、
ドイツ等の調査結果を見る限り、
このような傾向が見て取れる。
結果として、
ヨーロッパの貧富の差のほうが
貧しい層が限られているだけに
心理的には厳しいのではないかと思う。
ホームレスがより不幸になる街
ニューヨークのホームレスは
他の街で同じように暮らす人よりも不幸と言われることがある。
それは豊かな暮らしを目の当たりにする機会が多く、
彼我の差を見せつけられるから。
ヨーロッパの中でも、ドイツ、イギリス、フランス、
北欧諸国、スイスのような
特に豊かな国であれば同じことが言えるだろう。
また、チェコのようにそこまで経済力が強くなくても、
プラハは観光客の陽気さであふれる街。
そうした場所で十分な所得を得られず、
食べ物にも住むところにも困る人はどんな気持ちだろう?
貧富の差が生じた時、
一昔前の東南アジアのように国民の大部分が貧しく、
ごく一部の富裕層がいる場合には
横並び意識を持てる。
自分だけがみじめなわけではないと。
しかし、ヨーロッパの環境の場合、
上流階級や中流層が相当数を占めるだけに
精神的には厳しいものがあるだろう。
旅行者目線でもデメリットが
貧富の差が広がるということは、
どうしても治安の面で問題が出るということ。
ヨーロッパは国によっても差があるが、
全体としてみると体格が大きい。
彼らが丸腰で暴れだしただけでも十分に脅威になる。
平均身長が世界一と言われるオランダをはじめとして、
やはり日本人とは体格が違うことを感じるし、
初めてアムステルダムを訪れた時には
到着数時間後に男達のつかみあいを目撃した。
また、チェコのブルノの郊外においては
貧しい家庭が入居しているアパートメントが立ち並ぶエリアがあり、
それを知らずにホテルを予約してしまった。
結果、ブルノ中心部からホテルまでの間にそのエリアが存在し、
通らざるをえない状況に。
アパートメントの上の方から
火が付いたままのタバコが投げ捨てられたり、
ピリピリした空気が漂っていた。
ヨーロッパの貧富の差は、
そこで働かなければ関係ないわけではない。
上記のように治安面にも関わってくるため、
私達日本人が旅行で訪れる時にも関係してくる。
また、リスボンではポルトガル語で
二人組の若者から大声で罵倒されたが、
これも経済的な不満が背景にあったのかもしれない。
職を奪われて外国人嫌いになった若者の憎悪が原因になっていたとか。
なにしろポルトガル語が分からないので、
様子から敵意を持っていることがうかがえるぐらいで、
言葉の内容は理解できなかったが。
しかし、貧富の差は世界的に見ても広がる一方で、
特に中間階級の消耗が激しい。
そう考えると、治安の悪化や
一部の人の間での外国人排斥感情は止められそうにない。
世界の動いていく方向として、
当面は改善していく余地がなさそうである以上、
個人として防衛策を講じる以外はないのだろう。
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