アイルランドの首都であるダブリンの郊外にホテルを予約してみたが、この辺りは一戸建てや、ベッドアンドブレックファースト、あるいはホステルが多い。
閑静な住宅街という位置づけになるものの、不思議と朝歩いていても人を見かけることがない。
実際、先程散歩に出たのは月曜日の朝7時半頃だが、通勤していると思われるほとんど人がいない。
これまで見かけたのは三人ほどで、そのうちの一人はジョギングをしていたし、明らかにいま現在通勤中という服装ではなかった。
この辺りのエリアはある程度立派な家が多いので、既にリタイアした人であるとか、そういった人が多いのかもしれない。
この辺はまだ何とも言えないところではあるものの、少なくとも他の国と比べて、朝から慌ただしいという雰囲気が漂っているということはない。
さらに言えば、もう8月になろうとしている時期にもかかわらず、朝であればダブリンは涼しく、とても歩きやすい気候となっている。
この辺りはダブリンが本当に住みやすい街だと思う一方で、いま現在が気温のマックスであるということを考えると、かなり寒めであるという印象もある。
しかしながら、冬になっても大西洋からの暖かい風が来るので、比較的ヨーロッパの中では暖かい方だと聞いているので、そこら辺もダブリンの良いところではないかと思う。
私が泊まっているこの辺りのエリアは高層ビルがないし、町の中心部の方に南下していかない限りはとても静かな環境が広がっているが、それを見て、かつて住んでいたジョホールバルを思い出した。
ジョホールバルとダブリンの違い
マレーシアのジョホールバルも非常に人口密度が低く、元々高層ビルを立てなくても十分に土地が余っている状態。にもかかわらず近年の開発によってどんどん高層コンドミニアムやショッピングモールを乱立させ、明らかに需要よりも供給が過多な状況を作り出していた。
一部ではシンガポール人が移住してくるとか、中国人富裕層が移住してくるとか、その手の楽観論が出ていたものの、そこまで大量にシンガポール人や中国人がやってくるわけもなく、明らかに供給過剰に陥っている状態だった。
そうなってくると五年後十年後の先行きが見通せなくなってくるし、ジョホルバルに関してはかなり厳しいところがあるのではないかというのが、実際に住んでみていて感じたところ。
やはり人口が密集していない場所、むしろ土地が有り余っているような場所を集中開発するということになると、どうしても不要になった土地が大量に出てきてしまう。
そしてそういった土地にコンドミニアムを立てているような業者もいるので、そういった場合には購入者が大きな不利益を被ることになる。
実際、日系の業者もハズレ物件としか思えないような物件を扱っていることも多いので、ジョホールバルの数年後はかなり暗いのではないか。
損失を出した投資家から、ジョホールバルが糾弾されることになるのかもしれない。
もちろん、それは投資家としての無知が生んだことでもあるし、その街を責めることに何の意味もないとはいえ、実際に人間の感情としてそうしたことが行われてしまうのだと思う。