ホテル近くの公園には、小さな池というか湖があって、その向かいにはヘミングウェイというレストランがある。
あの文豪の名前を使ったレストランを抜けて少しだけ北の方に行くと、大きな教会の向こう側に丘がそびえている。
ブダペストのドナウ川左岸は丘が多く、西側を見ても丘か山がそびえているのがわかる。
そしてこの北側の丘は距離的にも近いし、いくつか家が立ち並んでいたりして、とても風情のある風景となっている。
その近くをブラブラしていて、丘の遊歩道の入口を見かけたので、上ってみることにした。
坂を上り始めると、すぐにバス停があって、そこに地元の人が座っていた。
年齢によっては厳しい傾斜
かなり急な坂なので、お年寄りには距離の問題というよりは傾斜の問題で、バスが必要になるかもしれない。リスボンでは、急な坂のところには、その坂を上るためだけにリフトやケーブルカーが通っていたりするが、そこまでの傾斜ではないため、かえって地元の人には使いづらいのかもしれない。
なにしろ、バスが頻繁に来るわけでもないだろうし、そうなると自分の足で上ることになる。
30代の私であっても軽く息が切れるぐらいなので、これが60代、70代、80代と年齢が上がってくると、かなりの重労働になるだろう。
下りにしたって、転倒して骨折をしたりすると、それがきっかけで寝たきりになったり、治るまでの間動き回ることができないので、筋肉量が下がってますます介護が必要になったり、老化が進んでしまったりするリスクもある。
運動不足は認知症の悪化につながるので、そういった意味でちょっとした転倒が心身ともにむしばんでしまう原因になり兼ねない。
実際にこのエリアに住んでいるのがどのような年齢層なのかはわからないが、見た目の美しさとは裏腹に、なかなか住みづらい地形なのかもしれない。
頂上に到着
戸建住宅やマンション、そして電気関係らしき会社等を横目に見ながら上っていくと、頂上にはレストランがあった。あまり人通りも多くはなさそうだが、このレストランの売りは、わかりやすく眺望。
確かにこの丘は高いところにあるし、建物の隙間や木々の間からブダペストの南側の方を見渡すことができるのはわかるが、なかなか視界が開けた場所がない。
しかしこのレストランの窓際の席は、見事にさえぎるものがなさそうな感じがしたので、その部分が売りになっていると思われる。
せっかくなので入ってみたかったが、先程ヘミングウェイでヨーグルトチキンと蒸し野菜と甘めの赤ワインを飲んできてしまったので、すでに満腹だった。
ということで、このレストランには入らないことにしたが、近くの道の表示を見てみると、向こう側にシタデラがあるという表示があった。
このシタデラというのは、ゲッレールトの丘の上にある建物だが、位置的に考えると、ここからゲッレールトの丘まで繋がっているとは考えがたい。
そう考えると、道順に沿って歩いていっても、下ってからもう一度上ることになるのだろう。
すでにゲッレールトの丘には以前に上っていたので、この日の散策はここまでで打ち切りにして、再び来た道を少し変えながら戻って、ホテルに戻ることにした。
それにしても坂道はともかく、階段を選ぶと日本の瀬戸内海の辺りのどこかの地方のような雰囲気がして、空模様や気温も初夏を思わせるものがあったので、どこか懐かしくもあった。