遺伝による能力・才能格差が絶望的

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努力できるかどうかは遺伝子によって決められている。人柄でも環境でもなく、生まれる前から才能があるかどうかに決められている。

小学生の子供が教師に向かって口にしたら、長々と説教された上に親にまで連絡が行きそうな話だが、科学的にはこのような話が現実だと言われている。

音楽や絵画のような芸術分野、言語能力、スポーツ、数学等も才能が問われることは周知のとおりだが、そもそも頑張れるかどうかも遺伝子によってかなりの部分まで規定されている。

日本人は努力を美化する風潮にあるし、ある程度才能がなくても頑張ればどうにかなると思っている節がある。

しかしながら双子の研究をしていくと、どのように遺伝が能力に関係しているのかということがわかるようになり、音楽等の芸術分野やスポーツ、文筆等、様々な分野で才能というシビアな壁が立ちはだかることが報告されている。

そして、努力することすらも、遺伝による才能であることが判明してしまった。

人気漫画Narutoでは忍術の才能がないが過酷な修行を続けるロック・リーが、師匠のマイトガイから「努力の天才」の称号を与えられるが、文字通り努力できることは遺伝による才能の部分があり、いわゆる努力遺伝子の力であることが突き止められている。



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双子が示す残酷な現実

一卵性双生児と二卵性の双子を比べれば、DNAがどれだけ彼らの能力や知性、さらに言えば性格に影響を及ぼすかということは、その違いから割り出すことが出来る。

一卵性双生児であれば遺伝子は全くの同一で、逆に二卵性であれば通常の兄弟、姉妹と同じようにDNAは当然一致しない。

こういった差分を取ることによって、遺伝子が私たちに及ぼしている影響というのを窺い知ることが出来る。

こういった研究によると、一部の能力は著しくDNAの影響を受けることが突き止められている。

例えば音程は、80%程度は遺伝によって育まれるもので、環境要因、つまり努力や、どういった教育を受けるかといった要素は20%程度しか影響しない。

さらに言うと、音楽の才能はもっと顕著で、約92%が遺伝によって決まるとすら言われている。

同じ芸術分野においても美術の場合は随分とこの比率が下がって、約56%。

執筆になると83%が遺伝の影響を受けるとされる。

もはや才能がないと、音楽や執筆においては、話にならないことがよく分かる。


他にも数学やスポーツの業界においては80%以上がDNAによって決まってくるし、病気に目を向けると、統合失調症になりやすいかどうかは、80%以上が遺伝の要因によって決まってくる。

こうして見てみると、努力をすれば報われるというのはいかに幻想であるのかがよく分かる。

最初から才能のない人がいくら音楽の業界で頑張ったところで、その世界で花を開く可能性は限りなく低い。

もちろん、音楽の王道に行くのではなくて、もっと奇抜な方向に移っていくとか、もしくは他の要素を組み合わせれば成功出来る可能性はある。

王道のクラシックの世界でやっていくことは、才能がない人には難しい。

しかしながら、新ジャンルを開発することによって生き残るとか、あるいは奇抜なパフォーマンスによって独自の世界観を生み出し、そのことによってファンを魅了することでの成功は考えられる。

もしくは音楽をライブ等で聞かせるだけではなくて、他のジャンルと組み合わせて、そもそも音楽を使用するシチュエーションを新しく定義し直すとか、そういったことによって上手くいく可能性は秘めているので、そもそも音楽にかかわること自体が間違っている訳ではない。

なんにせよ、才能がなければ食っていけない競争の激しい市場に参入するのであれば、自分の遺伝子がそもそもそちらの方向に適しているのかどうか、ということを問われることになる。

実際、陸上の選手等であれば努力の限界を自分で見抜いたうえで、もはやもう筋肉の質が違うといった壁に当たることもある。

逆に言うと、努力したことがない人の場合は、頑張ればどうにかなるだろうと気安く考えているので、才能なんて大したことがないとか、頑張ればそれによって報われるとか、そういった見当はずれなことを臆面もなく口にすることが出来るようになる。

一方で、本当に何かを追及したことのある人の方が、才能による限界という残酷な壁があることを知っているだろう。

それは音楽でも、スポーツでも、芸術でも、その他の分野でも。


ちなみに加えておくと性格に関しては、遺伝によって受ける影響はだいたい30%から50%程度のことが多いので、半分からもう少しの部分は環境要因によって決まってくる。

したがって能力に比べると、DNAの影響がそこまで大きいわけではない。


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