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1人の少年が変えたヨーロッパの移民事情



中東やアフリカからの慢性的な移民に悩まされているのがヨーロッパの課題の一つだが、世論やポピュリズムによって、その動向が左右されてしまう側面を持っているのも、一つの真実。

先日メトロという新聞紙の紙面に、「ヨーロッパは彼を救えなかった」という見出しで記事が載った。

Metro紙:Photo of drowned Syrian infant refugee shocks internet

その記事には、シリアからの移民である3歳の少年、アイラン君の写真が載っており、この写真が多くの人の心を動かすことになった。

基本的に貧しい国や内戦地からの移民は、治安の悪化や失業率の上昇といった頭の痛い問題を引き起こすし、勝手に入ってこられる側の国民としては、拒否反応を示すのが一般的。

しかし、一人の少年の遺体の写真と記事を見て、なぜ幼い命を救えなかったのか、という疑問や後悔、罪の意識を持ったヨーロッパ各国の国民が、移民の受け入れに消極的な自国政府を批判する動きも出ているという。

そういった流れも汲んで、イギリスのキャメロン首相は、これまでの方向転換を決め、シリアから数千人の移民を受け入れることを発表した。

フランスのフランソワ・オランド大統領も、同様の動きを示している。

しかしながら、冷静に考えると、移民問題は今に始まったことではなく、これまでもずっとヨーロッパにおいて取り沙汰されてきたこと。

今回の騒動の発端となったのは1人の少年の犠牲だが、移民問題全体から見れば、言い方は悪いが些細な出来事ということになる。

2015年の1月から9月頃までに限定しても、移民の数は36万5千人ほどになると報道されているし、その中にはボートの転覆等で多数の人が亡くなっていることも指摘されてきた。

具体的には、地中海に密航船に乗ってきて転覆事故や転落等で亡くなっている人、さらには行方不明者も含めると、約2500人ほどではないかと推定されているし、この数字で本当に十分なのかもはっきりとはしない。

それだけの中で、たった一人のケースを取り上げ、突然世論が変わるのも、一見すると奇異な話に思える。



ストーリーが人を動かす

こういった現象は、これまでにも散々心理学の分野では取り沙汰されており、地震で数千人の死者が出たと報道するよりも、その中の一人にスポットを当てて、生い立ちや普段の行動、その人の持っていた夢などを語って募金を呼びかけた方が多くの金額が集まることは、もはや常識となっている。

今回のアイラン君の件についても、同様のプロセスをたどったと思われ、統計的な数字よりも、ストーリーが人間の心情を動かすことを、改めて証明した結果となった。

しかしながら、ヨーロッパが移民問題にさらされるのは今後も変わらず、感情的に世論が動くたびに方針転換をするのは、あまり望ましいことではない。

キャメロン政権にしても、オランド政権にしても、ポピュリズムに走ったということだし、まさか本当に一人の少年の写真を見て、一国の大統領や首相が心を動かされただけで、政策を転換するほど感情的ではないことを祈るばかり。

そうした感情的でヒステリックな方針転換でないのなら、世論の人気取りに彼らが走っていることになり、それはそれで残念な結果ということになる。

一方で難民が流れ込む南欧やドイツ、オーストリアへの拠点となっているハンガリーでは、国境管理を厳重管理をせざるを得なくなり、ハンガリーのオルバン首相は、セルビアとの国境沿いに、有刺鉄線がついたフェンスを設置して、世論に批判されている。

しかしながら、放置しておくことが出来る状態ではないことも事実で、ハンガリーの判断が一概に悪いとは言えない側面もある。

結局のところ、人権を無視する先進国は、それらの思想の根付いていない国に対して、大きな責務や義務を担うことになり、ただでさえ弱っているヨーロッパが、その重荷でますます悲鳴を上げている側面も無視することはできない。

私もフィンランド移住を考えたり、ハンガリーの永住権の取得を検討したりしているが、今後はアジアからの移住者も規制が厳しくなるのかもしれない。


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