ホームステイは受け入れ先の家庭がどのような動機でやっているのかが様々で、一部の人は単純にビジネスとして行っている。
というのも、ホームステイを斡旋している機関から、受け入れ先が一定の報酬をもらえることがあるので、そのお金を目当てにしている場合もある。
この場合には、異文化交流であるとか外国人との会話を楽しみたいわけではなくて、あくまでも素人がホテルビジネスをやっているような形になる。
その結果何が起こるかというと、双方にとって不愉快な生活が続くことになる。
以前に聞いた話だと、オーストラリアでホームステイをしていたという知人が居る。
現地に到着した初日に言われたのは、いくつかのその家庭のルール。
たとえばトイレットペーパーの使い方であるとか、シャワーを浴びて良い時間とか、そういったものが軍隊のように規定されているということだった。
しかもそれがすべて紙に一覧表として書かれていて、どうやらこれまでに受け入れていたホームステイの外国人にも同じものを見せていたものと思われる。
つまり、いかに流れ作業で効率よくルールを覚えさせられるか追求していたということで、非常に堅苦しく、そして息苦しい一週間を終えたということだった。
実際のところ、ホームステイで泊まったからといって、劇的に出費が安くなるわけでもない。
安ホテルに泊まれば一泊数千円程度で済むわけだし、結局往復の空港券代もかかる。
そういったことを考えると、無理に人の家に泊まって気を使い、そしてお土産等を持っていくぐらいだったら、もっと居心地の良いホテルに泊まったほうが良かったとその人は語っていた。
もちろんホームステイの本来の目的は、単純に宿代を浮かせたいわけではなくて、現地の人との交流を楽しみにしていたり、現地での生活をよりリアルに体験することが目的だったりするので、そこら辺の相手選び、受け入れ先選びは非常に重要な要素。
私のような人見知りの性格であれば、そもそも他人の家庭に入り込むこと自体が難しいので、何度か迷ったことがあるものの、やはり常にホテル暮らし、それも一人で部屋を取るようにしている。
一度だけ相部屋に泊まってみようかと、いわゆるドミトリー形式のホテルに泊まってみようかと思ったこともあって、ロンドンで部屋を見せてもらったこともある。
ただそこに並んでいたいくつもの二段ベッド、それもシーツがめちゃくちゃに散らかって、そして荷物等が散乱した部屋を見たら、やはりシングルのホテルに泊まりたいと思って、そのときは宿泊を辞退した。
こうした経緯があるので、私自身はホームステイを経験したことはないし、よほど信頼できる受け入れ先でなければ無理だろうと感じている。
ただなぜか私のところにはそういった相談が来ることが多くて、海外生活が長いためなのか、いろいろと問い合わせが来る。
そのときに答えているのは、とにかく受け入れ先の情報を集めること。
それが出来ないのであれば、メールでやり取りをして人柄を知るとか、あるいは危険な橋を渡りたくなければ止めておくのが無難という見解を伝えている。
一晩くらいならともかく、たとえば一週間という期間を過ごすのであれば、居心地の悪い場所で暮らすのは無視できない大きさのストレスになる。
そこでトラブルを抱えながら暮らすぐらいであれば、その分のホテル代を払って快適な旅を続けるほうが良いのではないかと思う。