金融の世界は動きが速いもので、新陳代謝の激しい小動物のようにどんどん古い物を捨て去って新しい物を取り込んで行く。
そのためファンドマネージャー等は、多忙を極めながら命を削って仕事をせざるを得ない場合もあるし、投資家であっても、取り扱っている案件によっては眠る時間を惜しんで情報収集をしている人もいる。
私の場合はそこまで投資に力を傾ける気も無いので、あくまでもビジネスを中心にしながら悠々自適とも言えるような生活を持続したい。
そのため、時折各分野の専門家と膝を交えて直接話をしたりする機会を除けば、そこまで必死になって最新情報を追っている訳ではないが、先日香港でHSBCの口座開設等をサポートしているプロから驚きの情報が入った。
というのも、HSBC香港は日本人が海外投資をする際の第一歩の受け皿となることが多いのだが、どうやら海外居住の日本人に関しては、新規の口座開設を断っているという話が入ってきた。
実は先日香港でクルージングパーティーに行った際にもその話は小耳に挟んでいて、インドネシアの首都ジャカルタからやってきた人が口座開設を断られ、結局いくつかの支店を回った結果として最後の支店では保留という結果になったと聞いていた。
その後の動向については聞かずにいたのだが、どうやらその人は口座開設を拒否されてしまったらしい。
以前にも、バンコク在住の人が似たような状況に陥ったケースがあったらしいが、その時は保留になった後2週間ほどで無事に口座開設が認められ、香港まで来た甲斐はあったということだったが、今回のジャカルタの人に関しては、書類の不備も影響していた模様だが結局念願は叶わずに終わってしまった。
そしてこの口座開設をサポートしているプロからの話によると、どうやら現在日本以外の国に住んでいる日本人の口座開設については、一様に厳しい状況が続いているようだとのこと。
もし仮に海外居住者がHSBC香港に口座を開設する場合でも、極力日本の住所を使った住所証明を取得してもらっているという話だった。
元々銀行の口座開設については常に状況は変わってきていて、例えば以前であればオーストラリアの口座開設を日本人であることを理由に断れたという人もいる。
別にどの国でも銀行にさえ行けば口座開設を認めてもらえるのが当たり前という訳ではなく、実際にはその国特有の法律であったり、あるいは日本政府との関係であったり、そういったことによって様々な規制がかけられている。
むしろ、ふらっと立ち寄ってその場で銀行口座を開設できることの方が、経験上まれと言える。
しかしながら、HSBC香港はそこら辺の訳の分からないマイナーな地銀とは違って、資金移動をする際のメインバンクとして使っている人も多く、そういった意味で口座開設が出来ないのはかなりの痛手になる。
もっとも多くの場合、日本人であれば日本の住所で住所証明をとりあえず用意しておいて、後ほど住所を変更するとか、そういった手続きをすることもできる、致命的といえるほどのダメージにはならないのだろうが、なんだかHSBCも不穏な動きをしていると思わざるを得ない
その一方で先日友人から聞いた話だと、セブのアヤラセンターの目の前にあるHSBCフィリピンの支店では、居住者でもなんでもないのに、いきなり口座開設に成功したと言っていた。
フィリピンに関しても非居住者で、なおかつ不動産購入やビザの取得の予定が無い人についての口座開設は原則として断られるし、私がマカティの支店にいた時もそのような対応をされたのだが、時々このようなイレギュラーが起こるのが、なんだかいまいち腑に落ちないところ。