オーストラリアのやよい軒のサバ定食が約2500円になるということが、Yahooニュースに出ていた。
この価格は一見すると異常に見えるが、各国の物価を見てみるとそうでもない。
実際問題として、オーストラリアのレストランであれば、ランチでも2000円程度することが通常だし、飲み物代を含めれば2500円から3000円ぐらいになるのは、全くおかしなことではない。
元々オーストラリアといえば、日本よりも物価が安い国として認識されていたし、そのため老後の移住先としても人気があった。
しかしながら、今は立場が逆転していて、オーストラリアは原則として富裕層か労働者しか受け入れないという体制を敷いているし、日本人が移住しようとしても、一部の富裕層を除けばワーキングホリデーとか、あるいは和食レストランや観光業でのワーキングビザを取るぐらいしか、選択肢がなくなっている。
そして、全体的な物価としても、日本よりもオーストラリアの方が圧倒的に高い印象があり、体感的に言うと、2倍程度はする。
なぜこのようにイメージと現実が乖離してしまっているのかというと、オーストラリアはこの20年ほどでだいたい物価が1.7倍程度に上がっている。
おおよそ年平均3%弱のインフレを続けてきたのがオーストラリアであるのに対して、日本は先日までずっとデフレの状態が続いていたので、物の価格は下がってきていた。
デフレが続くのは、世界的に見てもかなり特殊で、むしろ異常という言葉が当てはまるほど。
逆にインフレが続くのが、世界的にみると標準。
こうしていつの間にかオーストラリアの物価は、インフレが続くことで徐々に上がっていき、それに対して日本は価格が据え置きか、むしろ安くなっていく傾向に動いていた。
こうしていつの間にか、物価が安いはずだったオーストラリアは日本よりも高く感じるようになり、旅行者や移住者の家計を圧迫するようになった。
やよい軒の海外戦略
やよい軒の件に話を戻すと、やよい軒は日本だけではなくて、例えば、バンコクにも進出している。それぞれの国で、ターゲットとする顧客層とか、ポジションを変えていて、日本で言えばやよい軒というとかなりリーズナブルな金額で食事ができる場所というイメージだが、バンコクの場合はややステータスがあるというか、大戸屋やそれ以外の本格的な和食レストランほどではないにしても、タイ人から見るとそこそこの金額を取る店というイメージになる。
例えば、大戸屋であれば、1食が1000円程度するが、やよい軒であれば、1食500円から600円、700円ぐらいが標準。
これは、屋台で食べる100円や200円の食事に比べると、随分と高い。
さらに言えば、オーストラリアの場合、より格調が高い店を作っているということで、ただ単に自社のブランドをそのまま海外に持ち出して移植しているのではなく、その国でどういったポジショニングを取るのか、というところから再検討していることがわかる。
結局それぞれの市場は国ごとに違うわけだし、労働環境や人件費、テナント代等も経営に関わってくる。
そう考えてみると、日本人にとってのやよい軒と、オーストラリア人にとってのやよい軒は、全く別の位置づけになるのは自然な話。
そして、サバ定食が2500円というと、日本からすればあり得ないほどに高額に思えるものの、オーストラリアの物価を考えてみると、意外に普通であるという結論に至ってしまう。
それ以外の和食レストランであっても、2000円の定食とか、そういったものは普通な国なので、この点については特に違和感を感じなかった。