
何かの著作の中で、高城剛氏がアジアの中でグルメを楽しむのであれば香港がいいという話をしていた記憶がある。
確かに多様性や店のレベル、そして狭い範囲に多くの店が凝縮されているという密集度の面から考えても、香港はグルメの街と言っていいだろう。
米線や點心、煲仔飯、点心、魚蛋粉等のB級グルメから高級店まで、食欲を満たすのに事欠くことがない。
アジアの中で言うと、例えばバンコクも相当食べ物がおいしいものの、街が広いのもあって、どこかボンヤリとしているというか、ギュッと店が集中しているというよりはあちこちに点在している印象があるし、和食レストランなどで言うと、プロンポン・トンロー等の一部エリアを除くと、あまり見かけないという問題もある。
そもそもが香港は東京くらいの面積しかないし、その一部が山だったりするので、なおさら市街地となっている部分、その中でも中心部は限られてくる。
香港は和食レストランも充実
先日は旺角や尖沙咀といった九龍を中心に歩いてきたが、とにかく和食レストランも目につく。しかもメニューを見てもかなりレベルが高いことは予想され、海外在住者としては羨ましい限り。
私が住んでいるセブにも和食レストランはあるが、徒歩圏内に限ると、焼き肉屋が一軒と総合的な和食レストランが2軒のみ。
それ以外にもアヤラセンターというモールに、なんちゃって日本食レストランがいくつか入ってはいるが、Sumo Samとか来来軒とか東京ボックスとか、あそこら辺は明らかにフィリピン系の店なので、期待はできない。
それに対して香港の場合、おそらく日本人経営であろう店をいくつも見かけるし、大戸屋やワタミ、ゴーゴーカレー、新宿さぼてん、フレッシュネスバーガー、モスバーガー、吉野家、牛角、つきじ近富などのチェーンも見かけた。
進出しているのはレストランばかりではなくて、そごうや西武百貨店もあるし、旭屋書店もあって、日本人にとっては非常に住みやすいと感じる。
個人的にはクルージングパーティの後に立ち寄ったベトナム料理店の目の前にあった、和風スイーツの店が気になった。
抹茶ケーキなどのかなり手が込んでいるであろう和風ケーキがいくつも並んでいて、お腹がいっぱいでなければその場ですぐに買って帰るところだった。
しかし、船酔いのあとでもあったので、流石にその日はケーキを買う気にはなれず、残念なことをした。
美食の街、香港
こうして考えると、香港は金融だけでなく、食い倒れの街と言ってもいいかもしれない。もちろん中華料理もいろいろあるし、小籠包なども日本で食べるのと比べて半額程度で楽しむことができる。
クルージングの前日に友人たちと行った上海料理の小南国という店では、旬の上海蟹も食べてきたが、こちらも非常にレベルが高く、薄いゴム手袋を着けながら野性的に貪る上海蟹はなかなか乙なものだった。
ただし、手が汚れている状態なのでビールを飲もうとしてもジョッキをつかむことが難しく、その点が少々上海蟹の難点となる部分。
そういえば先日香港国際空港に到着した際、ランチを食べる時間帯だったので店を見回していて思ったのだが、味千ラーメンが撤退している気がした。
しっかり探したわけではないので、もしかしたら気のせいかもしれないが、今まであった位置に味千ラーメンが見当たらず、ひょっとすると空港内の勢力図が若干書き換わっているのかもしれない。
ちなみに、味千ラーメンについて言うと、日本では大規模展開をしていないが、フランチャイズの権利を得た華僑がやり手で、香港や中国本土はもちろん、アジア各国に展開する最大級のラーメンチェーンになったということだった。
日本人が食べてもそこそこに美味しいとは感じるので、海外に住んでいると時々行くことがあるが、やはり山頭火や日本から出店しているこだわり系のラーメン店に比べると味は落ちるというのが正直なところ。