車から公共交通機関の充実へ移行する試み


新興国を見ていると、豊かになった象徴として車を保有する傾向がしばしば見受けられる。

マレーシアのように家族の人数が多い場合、一家で1台の車ではなくて、何台も保有していることも珍しくない。

そのおかげで、マレーシアの首都クアラルンプールをはじめ、各新興国の首都や大都市は、慢性的な渋滞に悩まされているうえに大気汚染がひどく、ジャカルタやクアラルンプールのようにマスクをしながら日常的に生活をしている人も、数多くみかける。

確かに車が普及する過程は多くの先進国もかつて体験した道だし、そういった流れを新興国が追っていくことも、十分に納得できる。

相対的に将来の不安が少ない成長経済著しい国では、基本的に消費意欲が旺盛で、様々なものを購入しようという気持ちにあふれている。

言ってみれば、まだまだ物が不足しているわけで、体験価値であるとか、思い出とか、そういったものよりも、物質的な価値に重きを置いているところがある。

しかしながら、こういった消費行動がもたらしている都市問題や環境への負荷、資源の枯渇といったことを考えてみると、車をどんどん増やすことよりも、むしろその購入費用や道路の整備等の予算を使って、電車やモノレール、あるいはバスといった公共交通機関を充実させた方が、先進的な試みなのではないかと感じる。



マニラの例

例えば、フィリピンのマニラを見た場合、電車は通っているものの、路線の本数は少ないし、電車の車内は清潔でもなければ、安全でもない。

電車の使い勝手は非常に悪く、マニラの渋滞は年々緩和はしているらしいが、それでもひどい状態にある。

実際、タクシーを拾って移動をするにしても、なかなか進まないことはザラだし、到着時間も読めないので、極力徒歩圏内で済ませようと思ってしまうほど。

マニラにしてもあれだけの車が走っているということは、潜在的に購買意欲や経済力は備わっているわけなので、例えば地下鉄を作るとか、高架鉄道を作るとか、そういったことによって渋滞を緩和させることは、理論上十分に可能。

日本のような技術や経験を持っている国が技術提供することも可能なわけだし、あるいは、バンコクやクアラルンプールのように、比較的経済力が近い国の都市を見本として、そこでのノウハウを学ぶこともできる。

バンコクにしろ、クアラルンプールにしろ、地下鉄とモノレールが、使い分けられているので、フィリピンの首都であるマニラも、そういったものを場所によって、使用したらいいのではないかと思う。

特に地上を走っている電車はどうしても車の交通を邪魔するので、ますます渋滞がひどくする要因の一つとなっている。

しかしながら、高架鉄道や地下鉄であれば、そういった問題もないわけだし、公共交通機関をどんどん整備して、車の数を半分〜1/3に抑制すれば、その国の国民の呼吸器官、ひいては全身への健康のプラスの作用も期待できる。

もしこれが実現すれば世界中から注目されることになるわけだし、結果的に物価が安く、なおかつ空気がきれいで環境がいいということであれば、それを目当てにやってくる観光客も増えるだろうから、それはそれで一つの開発の形ではないかと考えられる。

どの国も同じようなことをして、差別化をはかるのは難しいし、ブータンやラオスのようにその国独自の基準で発展していく方が面白いのではないかと、最近感じるようになった。


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