マリーアントワネットのイヤリングにみるコンテクストの重要性


物を大量消費する時代が終わって、必要品が満たされた時代に重要になってくるのが、ストーリーであるということは各所で言われている。

言い換えれば、コンテクストがどれだけ人を惹きつけられるかによって、商品の価値は大きく変わってくる。

逆に言えば、コモディティ化しているありふれた商品を扱っているところは、薄利多売をせざるを得なくなるし、そうなってくると、大量仕入れ・大量販売ができる大手が有利になってくるし、低い利益率であるために為替相場の変動や中間業者の都合によって、いつ利益が飛んでしまうかわからない不安定な状態に置かれることになる。

今回そんなことを改めて考えるきっかけとなったのは、ワシントンにあるスメソニアン博物館の一つ、自然史博物館で、マリーアントワネットのダイヤモンドのイヤリングを見た時。

自然史博物館は鉱石関係の展示もそれなりに充実していて、特にダイヤモンドについては、かなり大きなカラットの展示物が目立つ。

30カラット、40カラットといったものもあるので、通常の宝石店よりも当然ながら非常に高価だし、加えて歴史的な価値を持っているものも多い。



マリーアントワネットのイヤリング


マリーアントワネットが愛用していたイヤリングが自然史博物館に展示してあったが、こちらはエピソードが明確。

何しろ、マリーアントワネットと言えば、西洋史に詳しくない人であっても必ず知っている人物なので、よくわからない大統領や提督が使っていた宝石よりもはるかにわかりやすく心に響いてくる。

単純にダイヤモンドの輝きとか、大きさだけで言えば、他にもっと価値が高いものがあるものの、その博物館の中でも、マリーアントワネットという際立ったネームバリューを持っている所有者がいたことで、その展示に目を引かれる人が多いのが、人の流れを見ていてわかった。

実際私も立ち止まってしまったわけだし、そこには強烈なコンテクストがあると思わざるを得なかった。

スメソニアン博物館には、様々な展示物がありすぎて、裏で収納されていて表に出ていないものも多いし、展示されているものであっても、ほとんどのものは素通りされてしまう。

仮に丁寧に見ていると、1週間でも10日でも見ていられるぐらいの量があるわけなので、たとえ本質的な価値があっても、キャッチーな部分がないと、裏に隠されているのと同じことになってしまう。

そして、これは今後の世界においてますます重要になってくること。

というのも、もはや必要に迫られて何かを買うとか、行動を起こすことはますます少なくなってくるわけで、新興国においてすら娯楽や自己充足感を得るための消費がどんどん増えてきている。

まして先進国においては、必要なものはすでに10年以上前に出そろってしまっている印象があって、消費が鈍化するのも当然のこと。

しかしながら、コンテクストがある商品としてiPhoneが人気になったように、まだまだ人が欲しがるものを作ることはできる。

そしてその際に、感覚を刺激するのがコンテクストということになる。

このことをスメソニアンで改めて考えさせられることになった。

夕食で入ったBlue Duck Tavernも、独特の世界観を店の作りやウェイターの立ち振る舞いから醸し出せていた気がする。

もっとも、ワシントンの基準がいまいち把握できていないので判断がつきづらいところだが、そんな目で眺めていると色々学びを得られた。


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